電気と磁石の「なぜ?」

電子レンジ、雷、静電気、IH——暮らしの電磁気学Q&A。

この単元の目標
  • マイクロ波加熱・雷・静電気の仕組みを説明できる
  • 高圧送電やモーターの原理を式や法則と結びつけられる
Q. 電子レンジで金属を入れてはいけないのはなぜですか? A. 電子レンジは2.45GHzのマイクロ波を出し、金属表面の自由電子がこれに応答して動きます。すると波は反射されて庫内で干渉し、フォークの先端のような尖った部分では電場が集中して放電(火花)が起きます。薄いアルミ箔はジュール熱で発熱して燃えることもあります。
Q. マイクロ波はどうやって食品を温めているのですか? A. 家庭用レンジでは主に2.45GHzのマイクロ波を使います。水分子の電荷の片寄り(双極子)が変動する電場に応答しますが、その応答には遅れがあり、電磁波のエネルギーが熱へ変わります(誘電損失)。食品中のイオンの動きも加熱に寄与します。「水だけの共鳴周波数」ではありません。氷は液体の水より吸収が小さく、加熱むらも生じるため、解凍モードは出力や休止時間を調整して熱が伝わる時間を設けます。
Q. 冬にドアノブを触るとバチッとなるのはなぜですか? A. 衣類などの接触と剥離で電荷が移り、体が帯電することがあります。湿度が高いと物の表面に吸着した水分などを通じて電荷が逃げやすくなりますが、乾燥時には蓄積しやすく、ドアノブとの間で急に放電します。電圧は数千V以上でも通常の静電気のエネルギーは小さいものです。ただし電子機器の故障や可燃性蒸気への引火につながることもあり、常に無害とはいえません。
Q. セロハンテープを剥がすと青白く光ることがありますが、何ですか? A. 摩擦発光(トリボルミネセンス)です。粘着面が剥がれる瞬間に強く帯電し、微放電が空気分子を励起して光を出します。暗い部屋で素早く引き剥がすと観察しやすく、冬の乾燥期にはっきり見えます。
Q. 雷はどうやって鳴るのですか? A. 雲の中では氷粒の衝突で電荷が分離し、数億Vの電位差ができます。放電が起きると電流通路の空気は一瞬で約3万Kまで加熱され、急激に膨張して衝撃波が生まれます。この衝撃波こそが雷鳴です。光は毎秒30万km、音は約340m/sなので、稲妻から3秒ごとに約1km離れていると計算できます。
Q. 雷鳴がゴロゴロと長く続くのはなぜですか? A. 放電の通路が枝分かれして数kmに及ぶため、各部分から出た音が距離に応じて時間差で届くからです。さらに山や地面、建物での反射や、大気中での音の屈折なども響き方に影響します。雷鳴が聞こえたら落雷の危険があるので、距離の計算を待たずに頑丈な建物や窓を閉めた自動車の中へ避難します。
Q. 避雷針は雷を呼び寄せて逆に危険ではないのですか? A. 避雷針は、近くに落ちようとする雷を受け、導線と接地設備で電流を大地へ流す雷保護設備の一部です。周囲から遠くの雷を無制限に呼び寄せる装置ではありませんが、落雷する場所には影響を与えます。保護範囲は設計によって決まり、被害を完全になくすわけではありません。雷のときに避雷針や接地線へ近づいたり触れたりしてはいけません。
Q. 電力はなぜ27万5000Vもの超高電圧で送られるのですか? A. 送電線での損失は Ploss=I2RP_{\text{loss}} = I^2 R と電流の2乗に比例します。電圧を100倍にすれば同じ電力を運ぶ電流は100分の1になり、損失は1万分の1に減ります。発電所近くの超高圧塔から、変電所で段階的に降圧して各家庭の100V/200Vへ届けています。
Q. 乾電池はどこから電気を作り出しているのですか? A. 化学エネルギーを電気エネルギーへ変換します。マンガン乾電池では亜鉛が酸化し、二酸化マンガンが還元され、回路をつなぐと外部回路に電子が流れます。電圧は主に電極の材料などで決まるので、単1形も単4形も公称1.5Vです。同じ種類なら大型ほど一般に使える活物質が多く、容量や取り出せる電流が大きくなりますが、寿命は負荷や温度にも左右されます。
Q. スマートフォンは充電中になぜ熱くなるのですか? A. 充電回路の変換損失や電池の内部抵抗などによって、電気エネルギーの一部が熱へ変わるからです。高温は電池の劣化を進め、布団の下など熱がこもる場所での充電は危険です。使用・充電できる温度範囲は機種の説明書で確認します。保護機能が必ず働くとは限らないので、異常な発熱・膨らみ・異臭があれば使用と充電をやめ、メーカーなどに相談します。
Q. 磁石はなぜ鉄に付き、銅やアルミにはほとんど付かないのですか? A. 鉄だけでなく、常温のニッケルやコバルトも強磁性体です。内部に磁化の向きがそろった領域(磁区)があり、外部磁場に応じて全体が強く磁化されるため引き付けられます。アルミは弱い常磁性、銅は弱い反磁性を示しますが、普通の磁石にくっつくほどの力にはなりません。鉄を含む合金でも、ステンレスの種類などによっては付きにくいものがあります。
Q. モーターはどうやって回っているのですか? A. 電流と磁場の相互作用で回転させる力(トルク)を生みます。ブラシ付き直流モーターでは、コイルが半回転するごとに整流子が電流の向きを切り替え、同じ回転方向のトルクを保ちます。逆起電力が生じることは別の現象で、電流を抑える働きをします。交流モーターなどは回転する磁場を利用し、すべてのモーターに整流子があるわけではありません。
Q. IHクッキングは鉄鍋しか使えないのですか? A. 必ずしもそうではありません。コイルの交番磁場が鍋底に渦電流を誘導し、電気抵抗によって鍋そのものを発熱させます。一般的なIHでは鉄や一部のステンレスが適し、銅やアルミは抵抗・磁気的性質の違いから効率よく加熱しにくいのですが、対応できるオールメタル機種もあります。普通のガラスや陶器は使えず、金属層のあるIH対応品などに限られます。鍋と機器の両方の表示を確認します。
Q. 電源プラグの周りのほこりは取ったほうがいいのですか? A. はい。ほこりが湿気を吸うと刃の間などで微小な放電が繰り返され、絶縁物に炭化した導電路ができて火災につながることがあります(トラッキング現象)。掃除は機器の説明書に従い、電源を切って乾いた手でプラグを抜き、外側のほこりを乾いた布などで除きます。差し込み口へ物や液体を入れてはいけません。焦げや破損があれば使用をやめます。
Q. LED電球はなぜ白熱電球よりずっと省エネなのですか? A. 白熱電球はフィラメントを高温にして光らせますが、可視光以外の赤外線や周囲への熱にも多くのエネルギーが移ります。LEDは半導体中で電子と正孔が再結合するときの発光を利用し、同じ明るさを小さい電力で得られます。例として白熱電球が約15lm/W、LED電球が約100lm/Wなら効率は約6.7倍です。LEDも発熱し、寿命は放熱や電源回路などに左右されます。熱でフィラメントを光らせないことが省エネの要点です。
Q. 除電ブラシはなぜ静電気を取ってくれるのですか? A. 先端に数千本の炭素繊維などの細い導電性繊維が束ねられており、帯電した体に触れなくても近づくだけで微弱なコロナ放電を起こして電荷を空気中へ逃がします。髪や服に直接触れてショックを受ける前に、ゆっくり近づけるのがコツです。
確認クイズ

問1. 電子レンジが使うマイクロ波の周波数はいくつですか?

問2. 雷鳴(ゴロゴロという音)の正体は何ですか?

問3. 稲妻が見えてから3秒後に雷鳴が聞こえたとき、その音が出た場所までの距離の目安は?

問4. 送電を高電圧で行う一番の目的は何ですか?

問5. 磁石が強く付く金属の組はどれですか?

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