宇宙の「なぜ?」Q&A

宇宙の膨張、光速の壁、ブラックホール……夜空を見上げたくなる16問。

宇宙の話は「想像を超えている」ようで、実は観測と理論でしっかり支えられた答えがあります。代表的な16問を集めました。

Q. なぜ宇宙は膨張しているの? A. 1929年にハッブルが「遠い銀河ほど速く遠ざかる」ことを観測で示し、空間そのものが伸びていると考えると辻褄が合いました。さらに1998年、遠くの超新星の観測から膨張が加速していることが分かり、原因となる未知のエネルギーはダークエネルギーと呼ばれています。この成果は2011年のノーベル物理学賞につながりました。
Q. なぜ何も光速を超えられないの? A. 特殊相対論では、静止質量のある物体の速さが真空中の光速 cc に近づくと、必要なエネルギーが限りなく増えます。静止質量自体が増えるわけではありません。c=299792458c = 299792458 m/s は物質や情報が局所的に伝わる速さの上限で、光子は真空中でこの速さで進みます。宇宙膨張による遠い銀河の後退速度などは、局所的な運動とは区別します。
Q. 星はなぜ瞬いて見えるの? A. 星の光が地球の大気を通る間に、気温や密度の揺らぎで屈折が刻々と変わるからです。観測条件のよい山頂では影響を減らせますが、瞬きがなくなるわけではありません。宇宙では地球の大気による瞬きはありません。惑星は見かけの広がりがあるため揺らぎが平均化され、一般に恒星より瞬きにくくなります。
Q. ブラックホールはなぜ真っ黒なの? A. 一般相対論では、事象の地平面の内側から出た光は外部の遠方へ届かないからです。「脱出速度が光速を超える」は直感的なたとえで、光が減速して引き戻されるわけではありません。回転も電荷もない場合の地平面の半径は、太陽と同じ質量なら約3km、地球なら約9mmです。2019年にはM87の中心で、周囲の明るいガスに囲まれたブラックホールの影が撮影されました。影は地平面そのものの写真ではありません。
Q. 宇宙空間で声は聞こえないの? A. 音は空気などの物質の振動が波として伝わるもので、真空中には振らせる媒質がないからです。一方、光や電波は電磁波なので真空でも進み、映画の宇宙船同士の会話は電波で成立します。太陽の爆発が直接「聞こえない」のに観測できるのも同じ理由です。
Q. 月はなぜいつも同じ面を見せるの? A. 恒星を基準にした月の自転周期と公転周期がどちらも約27.3日で一致する「潮汐固定」の状態だからです。長い時間にわたる潮汐作用でこの状態になったと考えられます。ただし軌道の楕円形や傾きによる「秤動」で見える範囲は少し揺れ、長期間では表面の約59%を地球から見られます。裏側は1959年にルーナ3号が初めて撮影しました。満ち欠けの周期約29.5日とは区別します。
Q. 太陽はなぜ50億年近くも燃え続けられるの? A. 太陽は酸素で燃えているのではなく、中心で水素原子核が融合してヘリウムになる反応で光っています。反応前後の質量の差が E=mc2E = mc^2 に従ってエネルギーになり、現在の光の放射だけでも1秒あたり約400万トン分の質量に相当します。現在の年齢は約46億年で、中心の水素を使って安定に光る主系列星としての期間は合計約100億年と見積もられます。その後も赤色巨星や白色矮星となり、すぐ消滅するわけではありません。
Q. 夜空はなぜ暗いの?(星が無数にあるなら明るいはずでは?) A. これはオルベルスのパラドックスと呼ばれる古い難問です。答えは、宇宙に始まりがあり年齢は約138億年で、全方向の星の光がまだ届いていないこと、そして膨張により遠方の光は赤方偏移で弱められることです。つまり「夜空の暗さ」自体が宇宙に歴史がある証拠です。
Q. 惑星と恒星はどう違うの? A. 主系列星は中心で水素の核融合を持続して光ります。惑星はそのような核融合を行わず、可視光では主に恒星の光を反射して見えます。ただし惑星も自身の熱を赤外線として放射します。2006年の国際天文学連合による太陽系の惑星の定義では、太陽を回り、ほぼ丸く、自身の軌道周辺で重力的に支配的であることが条件です。最後の条件を満たさない冥王星は準惑星に分類されました。
Q. 流れ星はなぜ光るの? A. 小さな塵などが高速で大気に突入し、空気分子との衝突によって塵が加熱・蒸発するとともに、周囲の気体や蒸発した物質が励起・電離され、光を出します。物体の大きさや大気の密度によって衝撃波や圧縮も関わるため、全てを単に「摩擦」や「圧縮だけ」で説明するのは不十分です。発光は高度約100km付近が中心で、流星群は母天体の塵の帯を地球が通るときに見られます。
Q. 渦巻き銀河の腕はなぜ崩れないの? A. 腕を星が固定された棒のように考えると、場所による回転速度の違いで巻き込まれてしまいます。密度波理論は、星やガスが出入りする密度の高い模様として腕を説明します。ガスが集まって星形成が活発になると若い星が明るく見えます。ただし全ての腕が長く保たれる波とは限らず、一時的な腕や、ほかの銀河との相互作用で生まれる腕も研究されています。
Q. 重力で時間の流れは本当に変わるの? A. 一般相対論では、静止した時計同士を比較すると重力ポテンシャルが低い場所ほど時計が遅く進みます。GPS衛星の時計は地上に比べ、この効果で1日約45マイクロ秒速く進み、運動による特殊相対論の効果で約7マイクロ秒遅れます。合計は約38マイクロ秒の進みであり、重力だけの値ではありません。GPSではこれらの効果を補正します。
Q. 人類は月に行けたのに、なぜまだ火星に人が行っていないの? A. 通常の計画で片道数か月以上かかる旅、帰還用の推進剤、放射線、長期間の生命維持などの課題が重なるからです。地球と火星の距離はおよそ5500万〜4億kmと大きく変わり、電波の片道の通信時間も約3〜22分になります。月への通信の片道約1.3秒とは大きな違いで、遠隔操作にも遅れを考慮する必要があります。
Q. 宇宙線とは何? A. 宇宙の彼方から飛んでくる、ほぼ光速の陽子などを主体とした高エネルギー粒子です。1912年にヘスが気球による観測で放射線源が地上ではなく空にあることを示し、宇宙線の存在が確かめられました。超高エネルギーの宇宙線の起源は今も研究が続く謎で、超新星残骸などが有力候補です。
Q. 惑星はなぜ太陽の周りに円盤状に並ぶの? A. 太陽系のもととなった回転するガスや塵の雲が収縮すると、角運動量の保存により回転が速くなります。同時に衝突や放射でエネルギーを失い、回転面から上下に外れる運動が弱まって、薄い原始惑星系円盤ができます。角運動量保存だけで薄くなるわけではありません。八大惑星は主にこの円盤で育ったため、公転面がほぼ一致します。
Q. 国際宇宙ステーションの宇宙飛行士はなぜ「落ちていない」のに無重量なの? A. 実はISSは常時地球に向かって落ちています。高度約400kmを秒速約7.7kmで飛ぶことで、落下の曲線が地球の丸みに追いつき、地面に届かず周回し続けているだけです。船内の万物が同じ加速度で一緒に落ちるため、体重計も体も浮いたように見えます。これが無重量の正体です。

具体例:宇宙の通信は「距離÷光速」

電波は真空中を光と同じ速さで進みます。ここでは光速を約30万km/sとすると、通信にかかる片道時間は距離を30万で割って求められます。返事を受け取るまでには往復の伝搬時間に加え、相手の作業や処理の時間も必要です。地球と火星は公転しているので、遅れはいつも同じではありません。

火星まで2億2500万kmなら

電波の片道時間と、即座に返信された場合の往復時間を求めましょう。

解答・解説

片道は 225000000÷300000=750225000000 ÷ 300000 = 750 秒、つまり12分30秒です。往復は1500秒=25分で、実際には処理時間などが加わります。

宇宙の数字を検算しよう
  1. 月までの距離を38万4000kmとすると、電波の片道時間は約何秒ですか。

    解答・解説

    384000÷300000=1.28384000 ÷ 300000 = 1.28 秒です。往復なら約2.56秒です。

  2. 地球と火星が5500万km離れているとき、片道の通信時間は約何分ですか。常に十数分以上だといえますか。

    解答・解説

    55000000÷300000≈18355000000 ÷ 300000 ≈ 183 秒、約3.1分です。距離によって変わるので、常に十数分以上とはいえません。

  3. GPSの時計について、重力による1日45マイクロ秒の進みと、運動による7マイクロ秒の遅れを合わせるとどうなりますか。

    解答・解説

    45−7=3845-7=38 マイクロ秒の進みです。38マイクロ秒は重力の効果だけではなく、二つの相対論的効果の合計です。

確認クイズ(宇宙)

問1. 宇宙の膨張が加速していることを示唆した観測はどれ?

問2. 質量を持つ物体が光速に到達できない主な理由は?

問3. 月がいつも同じ面を見せる現象の名前は?

問4. 太陽が光っているエネルギーの源は?

問5. ISSの無重量(無重力に見える状態)の正しい説明はどれ?

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