円運動と単振動

等速円運動の向心力、単振動の復元力と周期を学ぶ。

この単元の目標
  • 円運動に必要な向心力を計算できる
  • 単振動の周期公式を使い、ばね振り子・単振り子を扱える
📑 目次
  1. 等速円運動
  2. 単振動
  3. 円運動の影から単振動を理解する

等速円運動

速さ一定の円運動でも方向が変わり続ける=加速度がある。加速度は中心向きで、大きさは次の通り。これを実現する力が向心力です。

a=v2r=rω2,F=mv2ra = \frac{v^2}{r} = r\omega^2, \qquad F = m\frac{v^2}{r}
例題

滑らかな水平台上で、質量 0.5 kg の物体を長さ 0.8 m の軽いひもで固定点につなぎ、ひもを水平に張って等速円運動させる。速さ 4 m/s のときひもの張力を求めよ。

解答・解説

F=mv2/r=0.5×16/0.8=10F = mv^2/r = 0.5 \times 16 / 0.8 = 10 N

単振動

平衡位置からの変位 x に比例した復元力 F=−kxF = -kx を受ける運動が単振動です。変位は正弦関数で表され、周期は振幅によらず一定。

x=Asin⁡ωt,T=2πmkx = A\sin\omega t, \qquad T = 2\pi\sqrt{\frac{m}{k}}

🔍 単振動の周期 T = 2π√(m/k) はどこから出てくるか

  1. Step 1: 運動方程式を立てる
    mx¨=−kxm\ddot{x} = -kx

    復元力 F = −kx(バネのフックの法則)を運動方程式に代入。負号は「変位と逆向き」を表す。

  2. Step 2: 正弦関数が解であることを確認
    x=Asin⁡(ωt)⇒x¨=−ω2Asin⁡(ωt)=−ω2xx = A\sin(\omega t) \Rightarrow \ddot{x} = -\omega^2 A\sin(\omega t) = -\omega^2 x

    sin を2回微分すると符号が変わって元に戻る——これが振動の数学的起源。

  3. Step 3: 係数比較で ω を決める
    −mω2x=−kx⇒ω2=km-m\omega^2 x = -kx \Rightarrow \omega^2 = \frac{k}{m}

    任意の x で成り立つには係数が等しくなければならない。

  4. Step 4: 周期に翻訳
    T=2πω=2πmkT = \frac{2\pi}{\omega} = 2\pi\sqrt{\frac{m}{k}}

    重いほど遅く、硬いバネほど速い。単振り子では振角が十分小さいときに限り k/m の代わりに g/l が入り T ≈ 2π√(l/g)。抵抗を無視し復元力が変位に比例する範囲では、振幅によらず周期が一定になります。

  • 速さ: 変位が 0(中心)で最大、端で 0
  • 加速度の大きさ: 端で最大(ω2A\omega^2 A)、中心で 0。加速度は変位と逆位相で、速度とは位相が π/2 ずれる
  • 単振り子: T=2πl/gT = 2\pi\sqrt{l/g}(振角が小さいとき)
円運動の「遠心力」は慣性力です。慣性系から見れば「向心力が不足して外へ飛び出す」ではなく「向心力がなければ直進する」。答案では慣性系の記述を使いましょう。

円運動の影から単振動を理解する

なぜ円運動と単振動を一緒に学ぶのでしょう。円を一定の速さで回る点を横から見ると、その影は線分の両端を往復します。時計の針の先の横方向の位置だけを見るイメージです。影は端で折り返すので速さが 0、中央付近では最も速く動きます。

円の半径を A、角速度を ω、影の位置を x とすると、中心向き加速度の横成分は −ω²x。これが単振動の加速度と同じ形になります。時刻 0 に右端から出発する場合は x = A cos(ωt) と書けます。sin と cos の違いは開始位置の違いであり、別種の振動ではありません。

x=Acos⁡ωt,vx=−Aωsin⁡ωt,ax=−ω2x,∣vx∣=ωA2−x2x=A\cos\omega t,\quad v_x=-A\omega\sin\omega t,\quad a_x=-\omega^2x,\quad |v_x|=\omega\sqrt{A^2-x^2}
等速円運動の速さ Aω は一定ですが、その影の速さは一定ではありません。また向心力は張力・重力などの「中心向き合力の役割名」であり、力の図に張力と別の向心力を重ねて描くと二重計上になります。
例題:周期から円運動を決める

半径 0.50 m の円を質量 0.20 kg の質点が周期 π s で等速円運動する。角速度、速さ、中心向き合力を求めよ。

解答・解説

まず1周の角度 2π を周期で割り、ω = 2 rad/s。速さは rω = 1.0 m/s、合力は mrω² = 0.20×0.50×4 = 0.40 N(中心向き)。周期と半径から順に求めれば速さの単位も m/s になる。

例題:ばね振動の途中の速さ

滑らかな水平面で、質量 0.50 kg、ばね定数 50 N/m の物体が振幅 0.10 m で単振動する。平衡位置から 0.060 m の点での速さと加速度の大きさは。ばねはフックの法則を満たす。

解答・解説

ω = √(50/0.50) = 10 rad/s。速さは 10√(0.10²−0.060²) = 0.80 m/s。加速度の大きさは ω²|x| = 100×0.060 = 6.0 m/s²。加速度は常に平衡位置向きであり、速度の向きは往路か復路かで異なる。

比例関係で結果を点検する

半径一定で円運動の速さを2倍にすると向心加速度は4倍です。一方、理想ばね振動の振幅を2倍にしても周期は変わらず、最大速度が2倍になります。単振り子の等時性は小振幅近似でしか成り立たず、大きく振ると同じ周期とはいえません。

練習:周期・位相・比例をつなぐ
  1. 質量 0.25 kg、ばね定数 100 N/m の水平ばね振動の角速度と周期を求めよ。抵抗はない。

    解答・解説

    ω = √(100/0.25) = 20 rad/s、T = 2π/20 = π/10 s(約 0.314 s)。角速度を求めてから1周分の位相 2π を割る。

  2. 半径 2.0 m、速さ 3.0 m/s の等速円運動の加速度は。半径を変えず速さを 6.0 m/s にするとどうなるか。

    解答・解説

    最初は v²/r = 9/2 = 4.5 m/s²。変更後は 36/2 = 18 m/s²で4倍。どちらも中心向き。

  3. 振幅 A の単振動で x = A の瞬間の速度と加速度を答えよ。

    解答・解説

    速度は 0、加速度は −ω²A。折り返すには中心へ速度を変化させる必要があるので、停止した瞬間でも加速度は 0 ではない。

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