波と光と音
波の基本量(波長・振幅・振動数)から、音の三要素、光の反射・屈折・全反射までを「なぜ」つきで整理する。
- 波長・振幅・振動数・周期・波速の関係を式で計算できる
- 音の三要素(大きさ・高さ・音色)を対応する物理量で説明できる
- 光の反射・屈折の規則と、全反射の起こる条件を理由とともに説明できる
波の基本——伝わるのは振動
波は振動や変化が空間を伝わる現象です。弦や空気中の波では、媒質の各部分が平衡位置の周りで振動し、波と一緒にずっと運ばれるわけではありません。一方、光は電場・磁場の変化が伝わる電磁波で、真空中でも伝わります。振動方向が進行方向に垂直なら横波(弦の波や光)、平行なら縦波(空気中の音)です。1 秒あたりの振動回数が振動数 [Hz]、同じ状態を繰り返す空間間隔が波長、平衡位置からの最大のずれが振幅です。
| 用語 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| 波長 | 隣り合う山と山(谷と谷)の間隔 | m |
| 振幅 | 振動の大きさ(中心からの最大のずれ) | m |
| 振動数 | 1 秒間に繰り返す振動の回数 | Hz |
| 周期 | 1 回の振動にかかる時間 | s |
| 波速 | 波が伝わる速さ | m/s |
- 分散を無視できる同じ条件では波速は一定: 振動数を大きくすると波長は短くなる()。ただし水面波やガラス中の光など、速さが振動数で変わる波もある
- 音は空気の疎密が伝わる縦波、光は媒質がなくても伝わる電磁波
- 空気中の音速は 15 ℃ で約 340 m/s。温度が高いと速い(分子の動きが活発になり、振動が隣へ渡るのが速くなるため)
音の三要素
音の感じ方を整理すると、大きさは主に耳に届く波の振幅、高さは主に振動数(楽音では基本振動数)、音色は波形や時間的な変化に対応します。同じ周波数などの条件なら、振幅が大きいほど一般に大きく聞こえます。ただし耳の感度は周波数によって異なるため、振幅だけですべての音の聞こえ方を比較することはできません。同じドでもバイオリンとフルートを聞き分けられるのは、倍音の構成や音の立ち上がり・減衰などが違うためです。
| 三要素 | 対応する物理量 | 例 |
|---|---|---|
| 大きさ(音量) | 主に振幅 | 同じ条件で強く弾くと一般に振幅が大きくなる。弦が太いだけで大音量とは限らない |
| 高さ(ピッチ) | 振動数 | 同じ材質・長さ・張力なら細い弦ほど高い。気柱は同じ開閉条件なら短いほど高い |
| 音色 | 波形(倍音の構成)や時間変化 | 同じ音程でも楽器の違いが分かる |
光の反射と屈折
光も波の一種(電磁波)で、鏡などの平らな面では入射角と反射角が等しいという反射の法則にしたがいます。水やガラスなどへ斜めに入射すると、光の速さの変化に伴って進行方向が変わります(屈折)。波面の一部が先に新しい媒質へ入って速さを変え、残りの部分はまだ元の媒質を進むため、波面の向きが変わると説明できます。速い媒質から遅い媒質へ斜めに入る場合、屈折光は法線に近づく方向へ進みます。垂直入射では進行方向は変わりません。
- 反射の法則: 入射角=反射角(各角は光線と、境界面に垂直な法線との間で測る)
- 屈折: 斜めに入射すると、速い→遅いでは法線に近づき、遅い→速いでは法線から離れる。垂直入射では速さや波長が変わっても進行方向は変わらない
- 水中のコインが実際より浅く見えるのは、屈折によって光の道筋が変わるため
全反射
光が遅い媒質(水・ガラス)から速い媒質(空気)へ出るとき、屈折角は入射角より大きくなります。屈折角が 90° になる入射角を臨界角といい、それより大きい入射角では、相手の媒質へ遠くまで進む屈折光がなくなります。吸収などを無視できる通常の境界ではエネルギーがすべて反射され、これを全反射といいます。境界のすぐ外に電磁場が全く存在しないという意味ではありません。光ファイバーは、芯の屈折率を外側の層より大きくして、適切な角度で入った光を内部に導きます。実際には吸収・散乱や曲げによる損失もあります。
屈折で変わる量・変わらない量
真空中の光速を c、媒質中の光速を v とすると屈折率は です。静止した境界を通る光の振動数は変わらず、速さが変わる分だけ により波長が変わります。入射側を 1、屈折側を 2、角度を法線から測った θ₁、θ₂ とすると、スネルの法則 が成り立ちます。n₁ > n₂ のとき、臨界角 θc は 。これを超える入射角では屈折角の正弦に 1 より大きい値が必要となり、通常の屈折光の方向を決められません。
振動数 500 Hz の音叉の音を、空気中(音速 340 m/s)で聞いた。この音の波長は何 m か。
解答・解説
**0.68 m**。同じ温度などの条件で音速を一定とすると、振動数が 2 倍になれば波長は半分の 0.34 m になる。
空気の屈折率を 1.0、ガラスを 1.5 とする。空気中の波長が 600 nm の光が、法線となす入射角 30° でガラスへ入る。屈折角の正弦と、ガラス内での波長を求めよ。
解答・解説
スネルの法則より 。屈折角は約 **19.5°** で法線に近づく。ガラス内の速さは空気中の約 1/1.5 倍、振動数は同じなので波長も **400 nm**。振動数が増えて波長が短くなるのではない。
壁に向かって短い音を出すと、0.40 s 後に反射音が戻った。音速を 340 m/s として壁までの距離を求めよ。
解答・解説
音は壁まで進んで戻るので、往復距離は m。壁までの片道は **68 m**。波長の計算とは異なり、ここで使う時間は周期ではなく伝わるのにかかった時間。
振動数 250 Hz の音の、空気中(340 m/s)での波長を求めよ。
解答・解説
**1.36 m**
光が空気から水へ斜めに入るとき、屈折光は法線に対してどう曲がるか。またその理由を速さの観点から述べよ。
解答・解説
水中のほうが**光が遅い**ので、屈折光は**法線に近づく**方向に曲がる。境界面を渡るとき速さが変わることが屈折の原因。
全反射が起こるために必要な 2 つの条件を挙げよ。
ヒント
進む向きと、入射角の大小。
解答・解説
①光が**遅い媒質から速い媒質へ**進むこと(例: 水→空気)②入射角が**臨界角より大きい**こと。このとき光は境界面ですべて反射する。
屈折率 1.5 のガラスから屈折率 1.0 の空気へ進む光について、臨界角の正弦を求めよ。入射角 30° と 60° のどちらで全反射するか。
ヒント
sin 30° = 0.5、sin 60° ≈ 0.866。0°〜90° では角度が増すと正弦も増す。
解答・解説
(臨界角は約 41.8°)。30° は臨界角より小さく全反射せず、**60° で全反射**する。空気からガラスへ逆向きに進む場合は全反射しない。
同じ温度の空気中で、ある音の振動数を 500 Hz から 1000 Hz にし、耳に届く音圧の振幅は同じにした。周期と波長はそれぞれ何倍か。「振動数が 2 倍なので音の大きさも必ず 2 倍」といえるか。
解答・解説
周期は より **1/2 倍**、波長も音速一定なら **1/2 倍**。振動数の増加は主に音が高くなることに対応し、大きさが必ず 2 倍になるとはいえない。音の大きさには振幅や耳の周波数ごとの感度が関わる。
問1. 分散を無視できる同じ媒質・同じ条件で振動数を 2 倍にしたとき、波速と波長はどうなるか。
問2. 音の「高さ」を決めているのはどれか。
問3. 光ファイバーの中で光が外に漏れないのはなぜか。