電気の基礎——オームの法則と回路

電圧・電流・抵抗の関係から、直列・並列の合成抵抗、電力と発熱までを「なぜ」つきで理解する。

この単元の目標
  • オームの法則を使って電流・電圧・抵抗を相互に計算できる
  • 直列接続・並列接続の合成抵抗を求め、それぞれの性質を理由とともに説明できる
  • 電力と発熱量を計算し、電気器具の定格や電力量と結びつけて説明できる
📑 目次
  1. 電圧・電流・抵抗とオームの法則
  2. 直列接続——一本道
  3. 並列接続——分かれ道
  4. 電力と発熱

電圧・電流・抵抗とオームの法則

電圧は電位の差で、1 C の電荷が移動するときにやりとりするエネルギーに対応します(1 V = 1 J/C)。力そのものではありません。金属では電場によって自由電子が平均として一方向へ移動し、電流が流れます。電流の向きは正電荷の移動方向で定義され、電子の移動方向とは逆です。格子の熱振動や不純物による電子の散乱が抵抗の原因になります。温度などが一定の金属抵抗では、電流と電圧が比例するオームの法則が近似的に成り立ちます。電球のように温度が大きく変わる場合やダイオードには、一定の抵抗として単純に適用できません。

量単位意味
電圧 VVV(ボルト)2 点間の電位差。単位電荷あたりのエネルギー差
電流 IIA(アンペア)単位時間に断面を通過する電荷の量(1 A = 1 C/s)
抵抗 RRΩ(オーム)電流の流れにくさ。材質・温度・長さ・断面積などによる
  1. 回路図の記号を覚える: 電池(長い線が+極)・抵抗(長方形、またはジグザグ線)・スイッチ・電球
  2. 電流計(アンペア計)は直列に、電圧計(ボルト計)は並列につなぐのが原則
  3. 「どこが分岐しているか」「同じ 2 点につながるか」を確認し、直列・並列にまとめられる部分から整理する。ただし、すべての回路が直列・並列だけに分解できるわけではない
V=RI(I=VR,  R=VI)V = RI \quad (I = \frac{V}{R},\; R = \frac{V}{I})

直列接続——一本道

直列は抵抗を一列につなぐ接続です。定常状態では途中に電荷がたまり続けないため、電流は各抵抗で同じです。各抵抗の電圧は V = RI より抵抗に比例します。全体の電圧は各電圧の和なので、V = R₁I + R₂I = (R₁ + R₂)I。したがって合成抵抗は抵抗の和になります。ここでは電源の内部抵抗と導線の抵抗を無視します。

R合成=R1+R2+⋯R_{\text{合成}} = R_1 + R_2 + \cdots

並列接続——分かれ道

並列は分岐をつくる接続で、各抵抗の両端の電圧はすべて等しくなります(同じ 2 点につながっているため)。電流は枝ごとに分かれて流れ、分かれた電流の合計が全体の電流になります。合成抵抗の逆数が各抵抗の逆数の和になり、結果として合成抵抗はどの抵抗よりも小さくなります。これは、流れる経路が増えることは導線を太くすることと同じで、流れやすくなるからです。

1R合成=1R1+1R2\frac{1}{R_{\text{合成}}} = \frac{1}{R_1} + \frac{1}{R_2}

電力と発熱

電力 PP は単位時間あたりに変換される電気エネルギーで、直流では P=VIP = VI と計算します。抵抗器では電子が電場から受け取ったエネルギーが散乱を通じて熱運動に渡り、ジュール熱となります。モーターなどでは機械的な仕事にも変わるので、すべての器具で全電力量がそのまま器具の発熱量になるわけではありません。電力が一定なら、時間をかけた E=PtE = Pt が電力量です。P を W、t を s で入れれば単位は J、P を kW、t を h で入れれば kWh です。1 kWh = 3.6 × 10⁶ J で、kW は電力、kWh はエネルギーという違いがあります。

P=VI=RI2=V2RP = VI = RI^2 = \frac{V^2}{R}
以下は抵抗値が一定で正の抵抗器、内部抵抗を無視できる電源、抵抗のない導線を仮定した直流回路の計算です。P=RI2=V2/RP = RI^2 = V^2/R は抵抗器にオームの法則を使った式です。同じ電流なら抵抗が大きいほど電力は大きく、同じ電圧なら抵抗が大きいほど電力は小さくなります。どちらを一定にするかが重要です。
例題:並列部分を含む回路を順にほどく

6 Ω と 3 Ω を並列につなぎ、その並列部分に 4 Ω を直列につないで、全体に 12 V を加える。合成抵抗、全電流、各並列枝の電流、全体の消費電力を求めよ。

解答・解説

①並列部分は Rp=6×3/(6+3)=2R_p = 6 \times 3/(6+3) = 2 Ω。全体は 4+2=64+2=6 Ω。②全電流は 12/6=212/6=2 A。③4 Ω の電圧は 4×2=84 \times 2=8 V なので、並列部分には 12−8=412-8=4 V。枝の電流は 6 Ω 側が 4/6=2/34/6=2/3 A、3 Ω 側が 4/34/3 A で、和は 2 A。④全電力は 12×2=2412 \times 2=24 W。各抵抗の電力 16+8/3+16/3=2416+8/3+16/3=24 W とも一致する。並列の各枝に電源の 12 V が直接かかるわけではない。

例題

定格 100 V・500 W の電熱器がある。(1)正常に働いているときの電流と抵抗は?(2)30 分使ったときの電力量は何 kWh か。

解答・解説

(1)I=P/V=500/100=5I = P/V = 500/100 = 5 A、R=V2/P=10000/500=20R = V^2/P = 10000/500 = 20 Ω。(2)0.5 kW×0.5 h=0.250.5 \text{ kW} \times 0.5 \text{ h} = 0.25 kWh。

練習問題
  1. 抵抗 3 Ω の抵抗器に 6 V の電圧をかけた。流れる電流は何 A か。

    解答・解説

    I=V/R=6/3=I = V/R = 6/3 = **2 A**

  2. 4 Ω と 6 Ω の 2 つの抵抗を(1)直列(2)並列にしたときの合成抵抗をそれぞれ求めよ。

    ヒント

    並列は逆数の和の逆数。

    解答・解説

    (1)直列は 4+6=4 + 6 = **10 Ω**。(2)並列は 1R=14+16=512\frac{1}{R} = \frac{1}{4} + \frac{1}{6} = \frac{5}{12} より R=12/5=R = 12/5 = **2.4 Ω**(どちらの抵抗より小さくなる)。

  3. 100 V の電源に、5 Ω と 15 Ω の抵抗を直列につないだ。各抵抗にかかる電圧を求めよ。

    ヒント

    電圧は抵抗の大きさに比例して分かれる。

    解答・解説

    I=100/(5+15)=5I = 100/(5+15) = 5 A。よって V1=5×5=V_1 = 5 \times 5 = **25 V**、V2=5×15=V_2 = 5 \times 15 = **75 V**(25 + 75 = 100 V で整合する)。

  4. 6 Ω と 3 Ω の抵抗に、それぞれ同じ 12 V をかける場合と、それぞれ同じ 2 A を流す場合について、消費電力を比べよ。

    解答・解説

    同じ 12 V では P=V2/RP=V^2/R より、6 Ω は **24 W**、3 Ω は **48 W**。同じ 2 A では P=RI2P=RI^2 より、6 Ω は **24 W**、3 Ω は **12 W**。抵抗の大小だけでは電力の大小を決められない。

  5. 一定の電力 200 W の抵抗式ヒーターを 3 分間使う。電力量を J と kWh で求めよ。また、理想的にすべて熱になるときの発熱量は何 J か。

    ヒント

    3 分 = 180 s = 0.05 h。

    解答・解説

    電力量は 200×180=200 \times 180= **36,000 J**。別の単位では 0.200×0.05=0.200 \times 0.05= **0.010 kWh**。発熱量も **36,000 J**。電力量と発熱量の単位をそろえて比べる。

確認クイズ

問1. オームの法則を表す式はどれか。

問2. 並列接続の合成抵抗は、もとの各抵抗と比べてどうなるか。

問3. 抵抗器で電気が熱になる(ジュール熱)理由として正しいのはどれか。

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