人口と都市化

人口移行モデル、都市化とそれに伴う課題を資料から読み解く。

この単元の目標
  • 出生率と死亡率から自然増減を求め、社会増減と区別できる
  • 人口移行モデルの限界と都市化に伴う課題を具体例で説明できる

人口移行モデル

人口移行(人口転換)モデルは、死亡率が先に低下し、遅れて出生率が低下する長期的な変化を整理したものです。衛生・栄養・医療の改善は死亡率低下に、教育の普及や子育ての費用、生活・家族観の変化などは出生率低下に関わります。ただし、すべての国が同じ速度・順序で変化するという法則ではありません。

段階出生率死亡率自然増減
多産多死高い高いほぼ0
多産少死への移行(死亡率低下期)高いまま低下急増
少産少死への移行(出生率低下期)低下低い増加が鈍化
少産少死低い低いほぼ0〜減少

出生率が低い国では少子高齢化が進む例が多い一方、同じ所得水準でも人口動態は異なります。人口減少を独立した第5段階とする整理もあります。また、出生数が死亡数を下回っても、移入・入国が移出・出国を上回れば総人口が増える場合があります。自然増減=出生数−死亡数、社会増減=転入数−転出数を区別しましょう。

例題:人口増加の内訳を計算する

架空のA市の年初人口は10万人。1年間の出生数800人、死亡数1,200人、転入数3,000人、転出数2,000人だった。自然増減・社会増減・年末人口を求めよ。他の人口調整はないものとする。

解答・解説

自然増減は800−1,200=−400人、社会増減は3,000−2,000=+1,000人。総人口は600人増え、年末人口は100,600人となる。出生・死亡だけを見ると減少だが、転入超過がそれを上回っている。

都市化を割合と暮らしの両面から読む

都市化は都市に人口や機能が集中する過程です。都市人口率は「都市人口÷総人口×100」で求めますが、都市の定義は国や統計で違います。仕事・学校・医療が集まる利便性の一方、住宅不足、交通渋滞、大気汚染、洪水時の被害集中などが課題です。都市人口率が上がっても、都市人口そのものが増えたとは限りません。

具体的な課題対策の例検討すべき点
郊外への市街地拡大と自動車依存公共交通と土地利用を一体で計画する高齢者や車を持たない人の移動も確保する
住宅供給が人口流入に追いつかない住宅・上下水道の整備を進める住民の立ち退きや家賃上昇への配慮が必要
人口減少下の公共施設の維持拠点の集約と地域交通の整備を組み合わせる周辺地域のサービス利用を損なわないか確認する
練習問題:統計から言えること・言えないこと
  1. 出生率が人口千人当たり28人、死亡率が8人の国の自然増加率を、‰と%で求めよ。

    解答・解説

    28−8=20‰=2%。出生率・死亡率の分母と期間が同じことが前提で、移民による増減は含まない。

  2. ある国の総人口は1,000万人から900万人へ、都市人口は600万人から585万人へ変化した。都市人口率の変化を求め、「都市人口率上昇=都市人口増加」といえるか説明せよ。

    解答・解説

    60%から65%へ上昇する。しかし都市人口は15万人減少しているため、割合の上昇だけで人数の増加とはいえない。総人口の減少割合がより大きいことによる。

  3. 人口移行モデルの死亡率低下期に、人口が急増しやすいのはなぜか。

    解答・解説

    死亡率が低下する一方で出生率がまだ高いため、出生数が死亡数を大きく上回り、自然増加が大きくなるから。

統計資料問題では「何年のデータか・何の割合か(分母は?)」を必ず確認するのが得点力になります。
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