Q. なぜ日本は四半世紀もデフレに悩まされたのか? A. 日本では1990年代後半以降、物価が下がる、または上がりにくい状態が長く問題になりました。バブル崩壊後の債務調整、金融不安、需要の弱さや賃金の伸び悩みなどが背景にあります。ただし物価が毎年一様に下落したわけではありません。物価下落と所得減少が互いを強める悪循環をデフレ・スパイラルといいますが、長期の物価低迷すべてをその状態と断定するのは不正確です。
Q. なぜ日銀は緩やかなインフレを目標にするのか? A. 安定した物価の見通しが、家計や企業の消費・投資の判断を支えるからです。日本銀行は2013年に消費者物価の前年比上昇率2%を「物価安定の目標」としました。単に値上げをすれば豊かになるという意味ではありません。輸入価格だけが上がり賃金が追い付かなければ購買力は下がるので、賃金や経済の動きも見る必要があります。
Q. なぜ消費税は導入され、引き上げられてきたのか? A. 1989年の導入は、所得・消費・資産の間で税負担のバランスを見直す税制改革の一環でした。その後の引上げには高齢化の下で社会保障の安定財源を確保する目的があります。地方消費税を含む標準税率は3%、5%、8%と変わり、2019年10月に10%となりました。同時に酒類・外食を除く飲食料品や一定の定期購読新聞に8%の軽減税率が導入されました。景気の影響を全く受けない税でも、受けた給付に応じて支払う料金でもありません。
Q. なぜ日本銀行は金利を動かせるのか? A. 日銀は銀行間で資金を融通する市場に参加して、金利の土台となる無担保コールレートを誘導できるからです。ゼロ金利(1999年)、量的・質的緩和(2013年)、マイナス金利(2016年)と手段を拡充し、2024年には約17年ぶりの利上げへ転換しました。市場の中の「お金の値段」を中央銀行が調整しているわけです。
Q. なぜ「一票の格差」が裁判で争われるのか? A. 議員1人当たりの有権者数が選挙区ごとに違うと、投票価値が住む場所で異なるからです。例えば各1議席の選挙区で有権者が10万人と20万人なら、議員1人当たりの有権者数に2倍の差があります。裁判では投票価値の平等と制度設計、格差是正までの期間などが検討されます。格差の倍率だけで自動的に違憲・合憲が決まるわけではありません。
Q. なぜ憲法改正には厳しい手続きが定められているのか? A. 憲法は国家の基本的な仕組みと権利保障を定めるため、通常の法律より慎重な手続きを要求しているからです。日本国憲法96条では、衆議院と参議院のそれぞれで総議員の3分の2以上の賛成により国会が発議し、国民の承認を得る必要があります。国民投票法では賛成票が賛成・反対の有効投票総数の2分の1を超えることが必要です。両院を合算した3分の2ではありません。
Q. なぜ国家の権力は三つに分けられるのか? A. 権力が一点に集中すると濫用の危険が高まるため、立法・行政・司法を別機関に担わせ相互に抑制させる思想が生まれたからです。フランスのモンテスキューが1748年の著書『法の精神』で体系化し、日本国憲法も国会・内閣・裁判所の三権分立をとります。権力による権力の制止が自由を守る仕組みです。
Q. なぜ日本の年金は現役世代が高齢者を支える仕組みなのか? A. 現在の公的年金は、現役世代の保険料を給付に充てる賦課方式を基本に、税金と積立金も使って運営されます。厚生年金は1942年の発足時には積立方式を採用しており、「初めから高齢者が多かったため賦課方式を選んだ」という説明は誤りです。戦後のインフレや給付の充実を経て賦課方式の性格が強まりました。2004年改正では保険料水準の上限固定やマクロ経済スライドによる給付水準の調整が導入されました。
Q. なぜ円安は輸出企業に有利なのに家計には痛いのか? A. 円安では、同じドル建ての売上を円に換算した額が増える一方、同じドル価格の輸入品を買う円の額も増えます。ただし輸出企業でも輸入原材料が値上がりすれば利益が増えるとは限りません。ドル価格を据え置くか下げるか、海外生産や為替予約の有無でも結果は変わります。為替は金利差だけでなく、貿易や投資、政策への見通しなどを反映した通貨の需要・供給で動きます。
Q. なぜGDPだけでは国の豊かさを測れないのか? A. GDPは一定期間に国内で生産された付加価値の合計であり、無償の家事労働などの多くを含まず、環境悪化や所得格差を直接測る指標でもないからです。同じGDPでも分配のしかた次第で暮らしの満足度は異なります。そこで国連のHDI(人間開発指数)や幸福度調査が補助指標として使われます。
Q. なぜ独占禁止法が必要なのか? A. 企業が市場を支配すると価格をつり上げたり新規参入を妨げたりして、消費者の利益と経済の活力が損なわれるからです。日本では1947年に私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律が制定され、公正取引委員会がカルテルや不当な取引を監視しています。競争は市場を健全に保つ血液のようなものです。
Q. なぜ国連の安全保障理事会の常任理事国は5カ国だけなのか? A. 1945年の国連設立時に、第二次世界大戦の戦勝国である米・英・仏・露(当時ソ連)・中に特別な地位が与えられたからです。常任理事国は手続事項以外の決定について拒否権を持ち、これが理事会の意思決定をしばしば停滞させています。戦勝国の秩序を固定した設計ゆえに、改革論議が長く続いています。
Q. なぜ自由貿易と保護貿易は対立するのか? A. 理論上は他の財を作る機会費用が相対的に小さい分野に特化して貿易すれば、双方が利益を得られる場合があります(比較優位)。しかし国内産業が外国製品に圧されて雇用を失う地域では、関税や輸入制限による保護が求められます。1995年発足のWTOがルールを管理してきましたが、2018年以降の米中対立で保護主義が再台頭しました。
Q. なぜ少子化は経済全体に影響するのか? A. 子どもの減少は将来の労働力や消費者数、社会保障の支え手の構成を変えるためです。ただし経済規模は人口だけで決まらず、就業率や生産性などにも左右されます。子育て支援に加え、多様な人が働ける環境、生産性の向上などが対応策として論じられます。出生率を比較するときは調査年と対象人口を確認しましょう。
Q. なぜ「平均寿命」と「健康寿命」の差が問題にされるのか? A. 平均寿命は生命表における0歳の平均余命で、ある年の年齢別死亡状況を前提とした指標です。その年に亡くなった人の年齢の単純平均ではありません。健康寿命は、一般に健康上の問題で日常生活が制限されずに暮らせる期間を表します。両者の差は集団の健康状態を見る指標ですが、一人ひとりが人生の最後にその年数だけ寝たきりになるという意味ではありません。