Q. なぜ国境線は直線のまま引かれたのか? A. 条約交渉などで緯線・経線を境界に選んだ地域があるためです。アメリカとカナダの国境の一部は北緯49度線に沿います。アフリカでは植民地分割の過程で住民社会の範囲と合わない境界も引かれました。ただし1884〜85年のベルリン会議で現在の全国境が一度に引かれたわけではなく、個別の条約や現地の交渉を経て決まりました。
Q. なぜサハラ砂漠はかつて緑だったのか? A. 約1万年前ごろのサハラには、現在より多くの湖や草原が存在しました。地球の歳差運動などの軌道要素の変化で北半球の夏の日射が強まり、アフリカのモンスーンが北へ広がったことが重要と考えられます。植生や湖も気候に影響しました。約5000年前ごろまでに多くの地域で乾燥化が進みましたが、その時期や進み方には地域差があります。自転軸の傾きだけで説明できる現象ではありません。
Q. なぜ日本は四季がはっきりしているのか? A. 地軸が傾いたまま地球が公転するため、季節によって日照時間と太陽の高さが変わることが基本です。日本の多くが中緯度にあり、季節風や気圧配置の変化も重なって、気温や降水に季節差が生じます。冬の日本海側の雪には北西季節風と山地が関係します。北海道と沖縄などでは季節の現れ方が異なり、海流だけが四季を作るわけではありません。
Q. なぜ日本は地震が多いのか? A. 列島の周囲では太平洋プレートとフィリピン海プレートが陸側のプレートの下へ沈み込み、溜まったひずみが繰り返し解放されるからです。日本は環太平洋造山帯(火の輪)の中枢に位置し、2011年の東北地方太平洋沖地震(M9.0)も沈み込み帯で発生しました。地震の割合を比べるときは、対象地域・期間・規模の条件をそろえる必要があります。
Q. なぜナイル川は砂漠の中を流れ続けられるのか? A. 上流が湿潤地帯にあるからです。白ナイルはヴィクトリア湖から、青ナイルはエチオピア高原のタナ湖から流れ、特に雨季の青ナイルがエジプトへ大量の水と肥沃な土を届けます。国土の大半が砂漠のエジプトで人口がナイル沿いに集中するのもこのためです。
Q. なぜ国土の4分の1が海面下のオランダは水没しないのか? A. 数百年にわたる干拓と堤防建設の技術があるからです。風車で水を汲み上げてきた歴史を持ち、1953年の北海高潮災害(1800人以上が死亡)を受けてデルタ計画で巨大な可動式防潮堰を整備しました。海との戦いの末に国土を作り続けている国といえます。
Q. なぜアイスランドには氷河と火山が共存するのか? A. 島は大西洋中央海嶺に位置し、プレートが離れる境界と地下の高温域が火山活動を支えています。一方、高緯度で山地が寒冷なため、積もった雪が長年残って氷河を作ります。火山活動は氷河がある条件を打ち消すわけではなく、氷河の下で噴火すると融水による洪水が起こることもあります。ヴァトナヨークトルはヨーロッパ最大級の氷河です。
Q. なぜ熱帯雨林の土壌はやせているのに森だけは濃密なのか? A. 高温多雨のため落葉の分解と養分の吸収が極めて速く、栄養は土壌に留まらずすぐ生物体内を循環するからです。雨水が養分を溶かし流すため土自体は酸性で貧しく、焼畑農業では数年で地力が尽きます。森の豊かさと土のやせやすさは表裏一体なのです。
Q. なぜモンスーンアジアでは稲作が発達したのか? A. 夏の季節風などが大量の雨をもたらし、高温と水がそろうため水田に適しているからです。インドから中国南部、日本に至るモンスーンアジアでは、狭い土地で多くの人を養える稲作が人口密度を高めました。雨のリズムと作物の組み合わせが文明の型を決めた例です。
Q. なぜ砂漠だらけのオーストラリアが農業大国なのか? A. 国土の約7割が乾燥地帯である一方、南東部と南西部の降水量のある地帯に小麦と羊(メリノ種)の生産を集中させたからです。大自流井盆地の湧き水が牧畜を支え、マレー・ダーリング川流域の灌漑が果樹や稲を育てています。乾燥との付き合い方が農業の形を決めた国です。
Q. なぜアマゾンは「地球の肺」と呼ばれるのに、酸素の供給源としては微妙なのか? A. 森林は光合成で酸素を出しますが、自身の呼吸や枯死体の分解で消費するため、純増は小さいと考えられるからです。アマゾンの本当の役割は、大量の水蒸気を大気へ送る水循環や炭素の貯蔵、生物多様性の維持にあります。キャッチフレーズは印象的でも、科学的には修正が必要な例です。
Q. なぜ大都市は川沿いに発達したのか? A. 川は飲水と農業用水を供給し、船による廉価で大量の輸送を可能にしたからです。ロンドンはテムズ川、パリはセーヌ川、上海は長江河口に近い黄浦江、カイロはナイル川の流通点から育ちました。海と内陸をつなぐ川の位置が、交易と人口の集積を決めてきました。
Q. なぜ世界の時差は1時間ずつなのか? A. 1時間刻みが多いのは、平均的な太陽の動きで考えると、24時間で360度、つまり経度15度が1時間に対応するためです。ただし実際の標準時は各国・地域が決める制度です。インドはUTC+5時間30分、ネパールはUTC+5時間45分で、必ず1時間刻みではありません。日本標準時はUTC+9時間です。経度による太陽時の差と、時計に使う標準時の差を区別しましょう。
Q. なぜブラジルは首都を内陸のブラジリアへ移したのか? A. リオデジャネイロへの人口と機能の過密を分散し、未開発だった内陸部の開発を促すためです。1960年、クビシェッキ大統領のもと、わずか41カ月で建設された計画都市へ遷都しました。近代建築の傑作として、都市全体が世界遺産に登録されています。
Q. なぜ北欧は高緯度なのに冬も比較的温暖なのか? A. メキシコ湾流の延長である北大西洋海流が暖かい海水を運び、偏西風がその熱を陸地へ届けるからです。ノルウェー西岸には冬も凍りにくい港があります。ただし北欧の内陸部や北部には厳寒の地域もあります。緯度が高いから寒冷、と思いがちですが、海流が気候を書き換える好例です。
Q. なぜ太平洋を囲む地域は「火の輪」と呼ばれるのか? A. 太平洋周辺にはプレートの沈み込み帯が多く、地震や火山が帯状に分布するためです。関係するのは太平洋プレートだけではありません。例えば南米西岸ではナスカプレートが南米プレートの下に沈み込みます。また、太平洋の周囲のすべてが沈み込み帯というわけではありません。