説明文・評論文の読み方

筆者の主張と根拠を整理しながら、構造をつかんで読む。

この単元の目標
  • 文章の構造(序論・本論・結論)を把握できる
  • 筆者の主張とその根拠を区別できる
  • 指示語・接続語に着目して論理関係を読み取れる
📑 目次
  1. まず「問い」と「答え」を見つける
  2. 接続語で論理の流れをつかむ
  3. 指示語の解決
  4. 段落どうしのつながりを読む——対比・因果・具体化
  5. 手を動かす:傍線のルールを決めて読む

まず「問い」と「答え」を見つける

説明文・評論文では、どんな問題を取り上げ、何を説明・主張しているかを探します。問いが明示されない文章や、先に結論を述べる文章もあります。「問い・主張・理由・具体例」という各部分の役割を、文章全体の関係から整理しましょう。

接続語で論理の流れをつかむ

接続語示す関係
しかし・けれども・ところが逆接(前の内容から予想される流れと異なる内容へ)
つまり・すなわち・要するに言い換え・要約
なぜなら・というのは根拠・理由
たとえば具体例
「しかし」の後は重要な手がかりですが、必ず筆者の主張とは限りません。反対意見の紹介や具体例の中でも使われます。誰の考えか、前後の段落とどうつながるかまで確かめましょう。

🔍 なぜ接続語で筆者の立場がわかるのか——文の「方向転換」の仕組み

  1. Step 1: 文章は直線ではなくジグザグ
    主張A→(しかし)→主張B\text{主張A} \to \text{(しかし)} \to \text{主張B}

    「一般的な考えを挙げる → 別の見方を示す」は構成の一例。すべての評論文がこの順序になるわけではありません。

  2. Step 2: 接続語は方向のサイン
    しかし/ところが=逆向きへ,なぜなら=根拠を下に掘る,たとえば=具体化\text{しかし/ところが} = \text{逆向きへ}, \quad \text{なぜなら} = \text{根拠を下に掘る}, \quad \text{たとえば} = \text{具体化}

    接続語は文どうしの関係の手がかりです。ただし、省略される場合もあるので内容のつながりも確認します。

  3. Step 3: 主張と根拠を照合する
    主張←理由・資料・具体例\text{主張} \leftarrow \text{理由・資料・具体例}

    主張の候補を見つけたら、本文の理由や資料がそれを支えているか確かめます。位置だけで主張を決めません。

指示語の解決

「これ・それ・あれ」などの指示語は、まず直前の内容を候補にして探します。ただし、離れた箇所や後に述べる内容を指すこともあります。候補の語句を指示語の位置に置き換えて、文の意味と前後のつながりが自然か確かめましょう。

例題

自作例文「毎朝、教室の窓を開け、黒板を拭く。**これ**が私の当番の仕事だ。」——「これ」は何を指しますか。

解答・解説

毎朝、教室の窓を開け、黒板を拭くこと。直前の「黒板を拭く」だけでなく、並列された二つの動作をまとめて受けています。

段落どうしのつながりを読む——対比・因果・具体化

一文ずつの意味が分かっても、「なぜこの段落が必要か」が分からないと、主張と例を取り違えます。段落のつながりは路線図のようなものです。理由から結論へ進む線もあれば、別の見方と比べる枝分かれもあります。段落の関係とは、内容を比べたり、理由を示したり、例で説明したりする働きのことです。まず各段落を短くまとめ、隣り合う段落がどんな関係か、本文に戻って確かめましょう。最初の文は手がかりですが、段落の中心が途中や最後にあることもあります。

段落の関係サインになる言葉読み方のポイント
対比・逆接しかし/ところが/一方二つの見方を比べる、または予想と違う方向に進む。対比は必ずしも一方の否定ではない
因果・根拠なぜなら/だから/そのためどちらが理由でどちらが結論か、矢印の向きを確かめる
具体化たとえば/実際にどの一般的な説明を例で示しているかを探す。例の後で説明をまとめる場合もある
並列・追加また/さらに関連する話題が並ぶ。それぞれが何を説明するか確かめ、必要ならまとめる
接続語のないつながり同じ語/指示語/言い換え接続語がなくても関係はある。共通する話題と文の内容から判断する

🔍 なぜ「言い換え」を見つけると論理が読めるのか

  1. Step 1: 同じ概念を説明し直す箇所を探す
    ある概念=Aという呼び方=Bという別の呼び方\text{ある概念} = \text{Aという呼び方} = \text{Bという別の呼び方}

    難しい言葉を平易な言葉で説明し直すことがあります。この等号は、算数の計算ではなく「この本文で同じ内容を指す」という関係の模式図です。具体例は概念の一部なので、概念全体との等号で結びません。

  2. Step 2: 繰り返しを傍線でつなぐ
    A(1段落目)⟷B(3段落目)\text{A(1段落目)} \longleftrightarrow \text{B(3段落目)}

    同じ概念を指す語を線で結ぶと、その概念をめぐる説明が集まり、文章の中心が浮かび上がります。

  3. Step 3: 対応を置き換えて確認する
    Bの位置にAを代入→文の意味が通るか確かめる\text{Bの位置にAを代入} \to \text{文の意味が通るか確かめる}

    代入して意味が通ることは手がかりです。さらに、指す範囲や条件まで同じか確かめましょう。「動物」と「犬」のように意味が通っても範囲が異なる語は、完全な言い換えではありません。

筆者以外の意見に注意。「〜という研究者もいる」「一般に〜と言われる」で始まる内容は、筆者の考えでないことがあります。筆者は、その意見を紹介したうえで「しかし」で疑う、という書き方をよく使うからです。誰の言葉かに印をつけ、「紹介→反論」の順序を見分けましょう。
例題1:筆者の主張を選ぶ(自作の評論文)

自作の短い評論です。「近年、タブレットを使う授業が増え、紙の教科書はいらないという声も聞く。しかし、書き込みや折り目が残る紙には、学びの記録がそのまま残るという強みがある。だから私は、紙とタブレットのどちらか一方に限らず、使い分けるのがよいと考える。」——筆者の主張はどれか。 ①紙の教科書は使うべきではない ②タブレットでの授業はやめるべきだ ③紙とタブレットは使い分けるべきだ

解答・解説

③。「だから〜と考える」の結論部分が主張です。①は紹介された「紙の教科書はいらない」という他人の意見に近く、②の授業廃止は本文で述べられていません。筆者は紙の強みを認めつつ、どちらも使う立場です。主張の候補を見つけたら、それが誰の言葉か、本文にない強い断定になっていないかを確かめます。

例題2:指示語が指す範囲(自作の文章)

自作の文章です。「リレーのアンカーは、学年で一番速い子が走るという案が出た。しかし、この案では、走るのが速くない子には、アンカーに挑戦する機会がない。そこで、走る順番はくじで決めることにした。」——「この案」が指す内容を、本文中の言葉を使って25字以内で抜き出せ。

解答・解説

「リレーのアンカーは、学年で一番速い子が走る」(句読点を含み、かぎかっこを除いて21字)。「速い子が走る」だけでは、どの役割についての案かが欠けます。「リレーのアンカーは、学年で一番速い子が走るという案では」と補って代入すれば、後の文につながります。指す内容と、文に入れるために必要な語尾は分けて考えましょう。

手を動かす:傍線のルールを決めて読む

傍線を引くときは、線の種類を自分で決めると構造を整理できます。たとえば「主張の候補は直線、根拠は波線、筆者以外の意見はかっこで囲む」と決めます。上の紙とタブレットの例なら、最後の文を直線、紙の強みの説明を波線、冒頭で紹介された声をかっこで囲んでみましょう。次に、波線の理由が直線の主張のどの部分を支えるか説明します。この例の紙の強みは、紙を使う価値を支えますが、タブレットの利点までは説明していません。印をつけるだけでなく、根拠が支える範囲まで点検するのが目的です。

傍線の記号はあくまで一例です。学校で指定された書き込みの方法があれば、それを優先してください。大切なのは、根拠と主張を区別したまま印をつけることです。
練習:論理を読み取る(例文はすべて自作)
  1. 自作の文章(架空の話し合い)「学級新聞は写真だけにすればよい、と友人は言う。しかし、私は写真に短い説明も添えたい。写っていない事情も伝えられるからだ。」——「写真だけにすればよい」は誰の考えですか。筆者の考えとの違いも答えよ。

    解答・解説

    友人の考え。筆者は写真をなくすのではなく、短い説明を添える立場である。「友人は言う」と「私は〜たい」の主語を追うと、考えの持ち主を区別できる。

  2. 自作の文章「掲示板の予定は、急に変更されることがある。(  )、私は帰る前にもう一度掲示板を確かめることにしている。」空欄に入る接続語を「しかし・たとえば・だから」から選び、その理由も述べよ。

    解答・解説

    **だから**。予定が変わることは、帰る前に確かめる理由になっている。「しかし」なら予想と異なる展開、「たとえば」なら前の説明に当たる具体例が必要だが、ここは理由から行動へ進む関係である。

  3. 自作の文章「私は休み時間に外で遊ぶ時間をもっと増やしたい。体を動かすと、午後の授業に集中しやすくなるからだ。」——筆者はなぜ外で遊ぶ時間を増やしたいのか。25字以内で答えよ。

    解答・解説

    「体を動かすと、午後の授業に集中しやすくなるから」(句読点を含み、かぎかっこを除いて23字)。理由を問う設問には「〜から」という形で答える。これは自作の本文中で筆者が挙げた理由であり、運動の効果を一般的に証明する資料ではない。

確認クイズ(構造と主張)

問1. 「しかし」の直後の文が、必ず筆者の主張にならないのはなぜか。

問2. 指示語「これ」の中身を確かめるとき、最も基本的な操作はどれか。

問3. 段落をまたぐ「言い換え」を見つけることは、なぜ読解に役立つか。

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