力のつり合いと物体の運動

二力のつり合いを理解し、等速直線運動では合力が0になることを学ぶ。

この単元の目標
  • 力の大きさ・向き・作用点で力を表すことができる
  • 二力のつり合いの条件を使える
  • 等速直線運動と慣性の法則を理解する
📑 目次
  1. 力の表し方
  2. 二力のつり合い
  3. 等速直線運動と慣性
  4. 力を考える対象を一つに決める

力の表し方

力は大きさ・向き・作用点の3つで決まります。矢印で表し、単位はニュートン [N]。1 N は 100 g の物体が受ける重力の大きさにほぼ相当します。

二力のつり合い

  • 同じ物体にはたらく二力で、大きさが等しい
  • 向きが逆向き
  • 同じ直線上にある
例題

机の上に置いた質量 500 g の物体が静止している。物体にはたらく重力と垂直抗力の関係を説明せよ。(g = 9.8 m/s²)

解答・解説

500 g = 0.500 kg より、重力は 0.500 × 9.8 = **4.9 N(下向き)**。垂直抗力は **4.9 N(上向き)**で、同じ物体にはたらく二力がつり合う。合力が 0 なので速度は変わらず、**もともと静止していた物体は静止し続ける**。

等速直線運動と慣性

等速直線運動でも加速度が 0 なので合力は 0。力がつり合っていても動いていることはあります。「力がないから動く」のではなく「力のつり合いの中で等速で動き続ける」——これが慣性の法則です。

よくある誤解:「動いているものには必ず前向きの力がはたらいている」。正しくは、速度を変えようとする(=加速度を出す)ときだけ合力が必要です。
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プレイグラウンド: 放物運動も「水平の等速+鉛直の加速」の合成。中学で学んだつり合いと運動の考え方が高校につながります

力を考える対象を一つに決める

まず「どの物体の運動を考えるか」を決め、その物体がほかの物体から受ける力だけを描きます。机の上の本なら、地球から受ける重力と机から受ける垂直抗力です。本が机を押す力は机にはたらく力なので、本の力の図には入れません。二力の作用点は同じでなくてもよく、作用する直線が同じであることが条件です。

つり合う二力は同じ物体に、作用・反作用の二力は別々の物体にはたらきます。本が机を下向きに押す力と、机が本を上向きに押す力は作用・反作用です。これらを足して「本の合力が 0」とすることはできません。
例題:動いていてもつり合う

水平な床の上で箱を右向きに 8 N の力で引くと、箱は等速直線運動した。水平方向には引く力と摩擦力だけがはたらく。摩擦力の向きと大きさは?

解答・解説

等速直線運動なので水平方向の合力は 0。右向きの 8 N とつり合う摩擦力は **左向きに 8 N**。力がつり合うことは「止まっていること」と同じではない。

練習:合力と運動の変化
  1. 右向きに動いている台車に右向き 6 N、左向き 2 N の力がはたらく。水平方向の合力と、その直後の速さの変化を答えよ。

    解答・解説

    合力は **右向き 4 N**(6 − 2)。運動と同じ向きに合力がはたらくため、速さは増す。

  2. 右向きに動く物体に左向きの合力がはたらき続ける。物体はすぐ左向きに動くか。

    解答・解説

    **すぐには左向きにならない。**まず右向きの速さが減る。左向きの合力がその後もはたらけば、一度止まってから左向きに動き始める。

  3. 静止している本にはたらく重力と机からの垂直抗力は、作用・反作用の関係か。理由も述べよ。

    解答・解説

    **作用・反作用ではなく、つり合いの関係。**両方とも同じ本にはたらく。垂直抗力の反作用は、本が机を押す力である。

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