オームの法則と回路

電流・電圧・抵抗の関係(オームの法則)を理解し、直列・並列接続を計算できるようになる。

この単元の目標
  • オームの法則 V=IRV = IR を使って電流・電圧・抵抗を求められる
  • 直列接続・並列接続の特徴を説明できる
  • 電力と発熱量を計算できる
📑 目次
  1. 電流・電圧・抵抗
  2. オームの法則
  3. 直列接続と並列接続
  4. 電流の働き(発熱)
  5. 練習問題

電流・電圧・抵抗

電流は電気の流れの強さ(単位 A)、電圧は電流を流す「押し出す力」(単位 V)、抵抗は電流の流れにくさ(単位 Ω)です。水道にたとえると、電圧が水圧、電流が流量、抵抗が管の細さに対応します。

オームの法則

V=IR(I=VR,  R=VI)V = IR \quad (I = \frac{V}{R}, \; R = \frac{V}{I})

🔍 オームの法則 V = IR はどこから来るか——電流の正体から

  1. Step 1: 電流とは何か
    電流 I=導線の中を流れる電荷の量/秒\text{電流 } I = \text{導線の中を流れる電荷の量/秒}

    電子がたくさん流れるほど電流は大きい。電子は導線の原子にぶつかりながら(抵抗を受けながら)進む。

  2. Step 2: 電圧は「押す力」
    電圧 V=電気エネルギー [J]電荷の量 [C]\text{電圧 } V = \frac{\text{電気エネルギー [J]}}{\text{電荷の量 [C]}}

    電圧は力そのものではなく、1 C(クーロン)の電荷あたりのエネルギーの差です。「押す力」はたとえです。

  3. Step 3: 抵抗は「流れにくさ」
    同じ Vでも、R が大きいほど I は小さい\text{同じ } V \text{でも、} R \text{ が大きいほど } I \text{ は小さい}

    同じ材質・温度なら細い導線や長い導線ほど抵抗が大きくなります。抵抗は材質や温度によっても変わります。

  4. Step 4: 比例関係としてまとめる
    I=kV,R=1k⇒V=IRI = kV, \quad R = \frac{1}{k} \quad\Rightarrow\quad V = IR

    温度などの条件を一定に保った金属抵抗器では、電流が電圧にほぼ比例することが実験で確かめられます。比例定数 k の逆数を抵抗 R とすると V = IR になります。

温度などの条件が一定の金属抵抗器では、電圧を 2 倍にすると電流もほぼ 2 倍になる——この比例関係がオームの法則です。電圧 VV を横軸、電流 II を縦軸とするグラフの傾きは 1/R1/R。点灯中の電球のように温度が大きく変わる場合や、ダイオードには単純な比例関係は使えません。

例題

4.0Ω4.0 \Omega の抵抗器に 6.0 V6.0 \text{ V} の電池をつないだ。流れる電流は何 A か。また、このとき消費される電力は何 W か。

解答・解説

I=V/R=6.0/4.0=I = V/R = 6.0 / 4.0 = **1.5 A**。電力は P=VI=6.0×1.5=P = VI = 6.0 \times 1.5 = **9.0 W**

直列接続と並列接続

接続合成抵抗ポイント
直列R=R1+R2R = R_1 + R_2どこでも電流は同じ。電源電圧を各抵抗で分け合う
並列1R=1R1+1R2\dfrac{1}{R} = \dfrac{1}{R_1} + \dfrac{1}{R_2}各抵抗にかかる電圧は同じ。合成抵抗はどれより小さくなる
測定のしかた:電流計は回路上に直列に、電圧計は抵抗に並列につなぐ。逆につなぐと電流計をショートさせてしまい危険です。
例題:並列回路は枝ごとに考える

6 Ω と 3 Ω の抵抗器を並列につなぎ、全体に 6 V を加えた。各枝の電流、電源から流れる電流、合成抵抗を求めよ。導線の抵抗は無視する。

解答・解説

並列では両方の抵抗器に **6 V** がかかる。6 Ω の枝は 6 ÷ 6 = **1 A**、3 Ω の枝は 6 ÷ 3 = **2 A**。電源からは和の **3 A** が流れ、合成抵抗は 6 ÷ 3 = **2 Ω**。枝の抵抗のどちらよりも小さいことも確認できる。

練習:回路と測定値を結びつける
  1. 電圧を横軸、電流を縦軸にした抵抗器のグラフが原点を通る直線で、4 V のとき 200 mA だった。抵抗は何 Ω か。温度を一定として 6 V のときの電流も求めよ。

    解答・解説

    200 mA = **0.200 A**。抵抗は 4 ÷ 0.200 = **20 Ω**。6 V では 6 ÷ 20 = **0.300 A(300 mA)**。単位を A にそろえてから計算する。

  2. 6 Ω と 3 Ω を並列につなぎ、電源が全体に 6 V を保っている。3 Ω の枝だけのスイッチを開いた。6 Ω の枝の電流と、電源から流れる電流はどうなるか。

    解答・解説

    6 Ω の枝には引き続き 6 V がかかるので **1 A のまま**。3 Ω の枝は 0 A となり、電源の電流は 3 A から **1 A** に減る。枝を切っても、残った枝に電流がすべて移るわけではない。

電流の働き(発熱)

電流が流れると発熱する(ジュール熱)。発熱量は電力と時間に比例します。

P=VI=I2R=V2R,H=Pt  [J]P = VI = I^2 R = \frac{V^2}{R}, \qquad H = Pt \; [\text{J}]

🔍 なぜジュール熱が I²R という「2乗」になるのか

  1. Step 1: 電力=電圧×電流
    P=VIP = VI

    電圧 V は「1 C あたりのエネルギー」、電流 I は「1秒あたりに流れる電荷の量」。掛けると1秒あたりのエネルギーになる。

  2. Step 2: オームの法則を代入
    V=IR  ⇒  P=(IR)I=I2RV = IR \;\Rightarrow\; P = (IR)I = I^2 R

    抵抗と時間が同じなら、電流が2倍になると発熱量は4倍です。大きな電流に使う配線は太くして抵抗を小さくし、発熱を抑えます。

  3. Step 3: 別の形にも書ける
    I=VR  ⇒  P=V⋅VR=V2RI = \frac{V}{R} \;\Rightarrow\; P = V \cdot \frac{V}{R} = \frac{V^2}{R}

    同じ式が「I²R」と「V²/R」の両方で書ける。送電問題では損失 I2RI^2R を減らすため高電圧化する。

例題

100 V100 \text{ V} で 500 W500 \text{ W} の電熱器を 10 分間使ったときの発熱量は? 電気エネルギーはすべて熱になるものとする。(時間の単位に注意)

解答・解説

t=10 分=600 秒t = 10 \text{ 分} = 600 \text{ 秒}。H=Pt=500×600=H = Pt = 500 \times 600 = **3.0×1053.0 \times 10^5 J**

家庭の電気料金は「電力量 [kWh]」で決まります。1 kWh=1000 W×3600 s=3.6×106 J1 \text{ kWh} = 1000 \text{ W} \times 3600 \text{ s} = 3.6 \times 10^6 \text{ J}。

練習問題

練習問題
  1. 12 V12 \text{ V} の電池に 4Ω4 \Omega の抵抗をつないだ。流れる電流は何 A か。

    ヒント

    オームの法則 I=V/RI = V/R。

    解答・解説

    I=12/4=I = 12 / 4 = **3 A**

  2. 3Ω3 \Omega と 5Ω5 \Omega の抵抗を直列にして全体に 16 V16 \text{ V} の電圧をかけた。回路の電流は何 A か。また各抵抗にかかる電圧は何 V か。

    ヒント

    直列の合成抵抗はたし算。各電圧は V=IRV = IR で個別に計算。

    解答・解説

    合成抵抗 8Ω8 \Omega より I=16/8=I = 16/8 = **2 A**。電圧は 3×2=3 \times 2 = **6 V** と 5×2=5 \times 2 = **10 V**(和が 16 V と一致)

  3. 定格 100 V100 \text{ V}・1000 W1000 \text{ W} の電気ヒーターの抵抗は何 Ω か。

    ヒント

    P=V2/RP = V^2/R を変形する。

    解答・解説

    R=V2/P=1002/1000=R = V^2 / P = 100^2 / 1000 = **10 Ω**(このときの電流は 10 A)

確認クイズ(電流)

問1. 電流計と電圧計の正しいつなぎ方は?

問2. 同じ電池に対し、2つの同じ抵抗を並列にしたときの合成抵抗は、1個のときの何倍か。

問3. 抵抗と通電時間を一定にして発熱量を 4 倍にしたい。電流を何倍にすればよいか。(H=I2RtH = I^2Rt)

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