岩石の粒と組織を読む——火成岩・堆積岩・変成岩の見分け方
岩石を色だけで暗記せず、粒の境界・大きさ・並び方をでき方の証拠として読む。写真の縮尺、堆積物の粒径、変成の前後を使って、三つの岩石の仲間と岩石の循環を考える。
- 岩石をつくる鉱物の結晶と、運ばれてきた岩石・鉱物のかけらを区別して説明できる
- 火成岩の組織を冷え方と結び付け、粒の大きさだけでは分からないことを挙げられる
- れき岩・砂岩・泥岩と、石灰岩・チャートのでき方の違いを説明できる
- 変成岩が固体のまま変化した岩石であることを、融解・再凝固と区別できる
- 観察記録と縮尺から根拠を選び、岩石が別の仲間へ変わる経路を説明できる
📑 目次
1 石の表面は、でき方を残した記録
同じ灰色の石でも、砂粒が集まった石と、結晶が組み合わさった石では、でき方が違います。パンの断面から気泡や材料を見分けるように、岩石も内部の粒を見ると成り立ちの手がかりが得られます。ここでは既習の火山岩・深成岩の名前の暗記から一歩進み、「何が粒になっているか」「境目はどうなっているか」「粒はどちらを向くか」を読みます。教材写真や安全に管理された標本の観察を想定し、岩石を割ったり、加熱したりする必要はありません。
岩石は、一種類または複数種類の鉱物などからできています。鉱物は、石英や長石のように、一定の化学組成の範囲と結晶構造をもつ天然の物質です。ただし岩石には天然のガラスなどが含まれる場合もあります。組織とは、岩石をつくる粒の大きさ・形・組み合わさり方などの特徴です。「粒」という一語だけでは、そこで育った結晶なのか、別の場所から運ばれたかけらなのかは決まりません。
| 注目する証拠 | でき方への手がかり | 一つだけでは決まらないこと |
|---|---|---|
| 結晶どうしが組み合わさる | マグマの結晶化、または変成による再結晶を考える | 結晶が見えたら必ず火成岩、とはいえない |
| 丸いかけらが細かな物質に囲まれる | 運搬された粒が堆積し、固まった可能性を考える | 丸さだけで運搬距離や年代は決まらない |
| 板状の鉱物が一定方向に並ぶ | 変成時に鉱物が向きをそろえた可能性を考える | しま模様なら必ず変成岩、とはいえない |
2 火成岩——結晶が育つ時間を読む
結晶が大きく育つには、周囲の成分が結晶に取り込まれる時間が必要です。そこで、マグマが地下でゆっくり冷えると、肉眼で分かる結晶が育ちやすくなります。地表付近で急に冷えると、成長する時間が少なく、細かな結晶やガラスになりやすくなります。マグマが冷えて固まった岩石が火成岩で、地下深くでできる深成岩と、地表や地表近くでできる火山岩に分けます。これは典型的な関係であり、結晶の大きさには組成なども関わります。
深成岩に典型的な等粒状組織では、比較的大きな結晶が組み合わさります。「等粒」はすべての結晶の直径が同じという意味ではありません。一方、先に育った大きな結晶を含むマグマが地表付近で急冷すると、大きな斑晶の周囲に細かな結晶やガラスからなる石基ができます。これが火山岩に典型的な斑状組織です。粒の大きさの二段構えを、冷え方の変化の記録として読みます。
| 代表的な岩石の組 | 火山岩 | 深成岩 |
|---|---|---|
| 比較的明るい色になりやすい組 | 流紋岩 | 花崗岩 |
| 中間的な組 | 安山岩 | 閃緑岩 |
| 比較的暗い色になりやすい組 | 玄武岩 | 斑れい岩 |
表の横の組は、おおまかな組成の対応です。同じ組の中でも組織が違うのは、組成だけでなく冷え方が違うためです。たとえば花崗岩では石英・長石・黒雲母などの結晶が見られます。岩石名を細かく決めるには鉱物や組成の情報も必要で、等粒状組織というだけでは花崗岩と斑れい岩を区別できません。
教材写真Aでは、実物2 mmを表すスケールバーが画面上20 mmで、大きな結晶の幅は画面上15 mmだった。その周りには細かな石基がある。写真Bでは、実物5 mmを表すバーが画面上25 mmで、結晶の幅は画面上10 mmだった。Bは全体が肉眼で見える結晶の組み合わせである。両方の結晶の実物の幅を求め、どちらが深成岩の組織に典型的か答えよう。各写真内では一様に拡大され、測定誤差を無視する。
解答・解説
Aは15 ÷ 20 × 2 = **1.5 mm**、Bは10 ÷ 25 × 5 = **2 mm**。画面ではAの方が大きく見えても、実物の幅はBの方が大きい。深成岩に典型的なのは**B**。根拠は幅の大小だけでなく、全体が比較的大きな結晶の組み合わせであること。Aは斑晶と石基があり、斑状組織を示す。ただし、この情報だけでBを花崗岩と特定はできない。
比をつくる二つの画面上の長さは、同じ単位で測ります。その比には単位が残らず、答えの単位はバーが表す実物の長さの単位になります。画像を拡大しても粒とバーが同じ倍率で拡大されれば比は変わりません。なお、ここで測った「幅」は写真上の断面や投影の幅であり、立体的な粒の最大の直径と必ず一致するわけではありません。
3 堆積岩——集まった粒がどう石になるか
砂を集めるだけでは、まだ硬い砂岩にはなりません。積もった堆積物が埋もれると、上からの重みで粒の間が詰まり、水が抜けたり、水に溶けていた物質が粒のすき間に沈殿して接着剤のように働いたりします。こうして堆積物が固まった岩石が堆積岩です。もとの岩石がその場で崩れたり変質したりする風化、削り取られる侵食、運ばれる運搬、積もる堆積を区別すると、粒の来た道を説明できます。
運ばれる粒は衝突などで角が削られることがあり、流れの強さによって運べる粒も違います。このため、粒の大きさや丸さには運搬・堆積の手がかりが残ります。ただし、粒の材質やもとの形、流れの変化も関わるので、「丸いほど必ず遠くから来た」「粗い粒なら必ず川の上流」とは断定しません。まず粒そのものと、粒の間を埋める物質を分けて観察します。
| 主な粒や材料 | 代表的な堆積岩 | 観察の着眼点 |
|---|---|---|
| れき(粗い岩石・鉱物のかけら) | れき岩 | 丸みのある粗いかけらが砂や泥などに囲まれる |
| 砂 | 砂岩 | 砂粒の輪郭が見え、粒の間に細かな物質や接着物がある |
| 泥(細かなシルトや粘土) | 泥岩 | 個々の粒を肉眼で見分けにくい |
| 炭酸カルシウムを主成分とする材料 | 石灰岩 | 貝殻などの生物由来のものや、水から沈殿してできるものがある |
| 二酸化ケイ素を主成分とする材料 | チャート | 放散虫などの殻が材料になるものがある |
粒径を数字で扱うため、本記事の練習では境界を2 mmと1/16 mmに置き、れき:2 mm以上、砂:1/16 mm以上2 mm未満、泥:1/16 mm未満という区分を採用します。1/16 mmは0.0625 mmです。資料では約0.06 mmなどの丸め方や、境界ちょうどの扱いが異なる場合があるので、与えられた表を確認します。この区分は運ばれた粒の大きさの分類であって、火成岩の結晶を砂岩と呼ぶための基準ではありません。
運搬・堆積した粒の大きさを調べた教材用データがある。Pは主に4 mmの丸いかけら、Qは主に0.4 mmの粒、Rは主に40 μmの粒からなる。本記事の区分でそれぞれの粒を分類し、それらが圧密・接着を受けて固まった岩石の候補を答えよう。粒の大きさは代表値とし、火山灰や生物の殻などは含まれないものとする。
解答・解説
1 mm = 1000 μmなので、Rは40 ÷ 1000 = **0.040 mm**。Pは2 mm以上のれきで**れき岩**、Qは0.0625 mm以上2 mm未満の砂で**砂岩**、Rは0.0625 mm未満の泥で**泥岩**が候補となる。単位をそろえてから境界と比較することが重要。まだ固まっていない粒の集まりなら、岩石名ではなく堆積物として呼ぶ。数値は学習用の架空データであり、特定の産地の測定値ではない。
4 変成岩——溶けなくても、結晶は組み替わる
岩石が地下に埋もれたり、高温のマグマが近くに入ってきたりすると、以前とは違う温度や圧力の環境に置かれます。物質がその環境に適した組み合わせへ変わるため、固体のままでも鉱物が反応したり、結晶が成長し直したりします。こうした変成作用によってもとの岩石が変わったものが変成岩です。「石をいったん全部溶かして作り直す」のではなく、固体の中で材料の組み合わせを変える、と考えましょう。
変成作用で、雲母のような板状の鉱物が向きをそろえると、一定方向に割れやすい面やしまが現れることがあります。結晶片岩や片麻岩は、そのような組織を読む代表例です。一方、石灰岩が再結晶した大理石(結晶質石灰岩)や、接触変成で生じるホルンフェルスなど、目立つしまをもたないものもあります。どの岩石に変わるかは、もとの材料と温度・圧力などの条件によります。
教材の地質記録に、A「石灰岩がマグマの近くで熱を受けた。溶融の証拠はなく、炭酸カルシウムの結晶が大きくなった」、B「岩石の一部が融け、その融けた部分が移動して冷え固まった」とある。Aの岩石名の候補と、Bのうち融けた部分が固まってできた岩石の大分類を答えよう。
解答・解説
Aは**大理石**が候補。もとの石灰岩が固体のまま再結晶したので変成岩と考える。Bの指定部分は**火成岩**。材料の出発点よりも、融けたものが冷え固まったという生成過程が決め手である。Bについて、地下深くか地表付近かの情報がないため、深成岩か火山岩かまでは決められない。
5 岩石の循環——順番が一つの輪ではない
花崗岩が風化・侵食され、粒が運ばれて積もり、固まると堆積岩になります。その堆積岩が地下で熱や圧力を受ければ変成岩になり、融けてマグマとなった部分が冷え固まれば火成岩になります。このように岩石が別の状態や仲間へ変わるつながりが岩石の循環です。ただし、すべての岩石が「火成岩→堆積岩→変成岩」を順に一周するわけではありません。火成岩から直接変成岩へ、堆積岩から粒を経て再び堆積岩へ、という経路もあります。
- 観察事実に線を引く:「丸いかけら」「石基」「結晶の配列」「溶融なし」など。
- その証拠をつくる過程を言葉で書く:運搬・堆積、冷却・結晶化、固体での再結晶など。
- 分かる範囲で分類する。色や一粒の大きさだけで岩石名を細かく決めない。
- 別の仲間へ変わるなら矢印の上に過程を書く。「砂岩→変成岩」だけでなく「熱・圧力などによる変成」と理由を添える。
写真のスケールバーは実物1 mmを表し、画面上8 mmある。ある粒の画面上の幅が6 mmなら、実物の幅はいくらか。この値だけで砂岩と判断できるか。画像は一様に拡大され、測定誤差を無視する。
解答・解説
6 ÷ 8 × 1 = **0.75 mm**。砂の粒径範囲だが、それだけでは砂岩と判断できない。マグマから育った結晶である可能性もあり、運搬・堆積した粒が固まったという証拠が必要。
粒径80 μmの運搬された粒は、本記事の区分では砂か泥か。境界1/16 mmと同じ単位にして比較しよう。
解答・解説
**砂**。80 μm = 0.080 mmで、0.0625 mm以上2 mm未満だから。80という数だけをmmの境界と比べず、まず単位をそろえる。
斑状組織の岩石で、大きい結晶と周囲の石基のどちらが先に結晶成長を始めたと考えられるか。典型的な冷却の道筋を説明しよう。
解答・解説
**大きい結晶(斑晶)**。先に結晶が成長し、その結晶を含むマグマが地表付近で急に冷えて細かな結晶やガラスからなる石基をつくったと考える。大きな結晶が見えるだけで深成岩とは決められない。
「しまのない岩石は変成岩ではない」という主張に、反例と理由を一つ示そう。
解答・解説
**大理石**などが反例。石灰岩が固体のまま再結晶してできる変成岩だが、板状鉱物の配列による目立つしまがあるとは限らない。分類の基準はしまの有無だけでなく、でき方である。
花崗岩が砂岩になる経路を、途中の過程を省かずに言葉で書こう。必ず一度マグマになる必要はあるか。
解答・解説
**風化・侵食→粒の運搬→砂として堆積→圧密・接着などによって固まる**。この経路では融ける必要はない。岩石の循環は一定の順番を必ず通る輪ではなく、複数の経路をもつ。
問1. 深成岩に典型的な組織を示す記録はどれか。
問2. 本記事の区分で、運搬された粒の粒径が0.050 mmならどれに属するか。
問3. 変成岩のでき方として最も適切なのはどれか。
問4. 岩石の循環について正しいものはどれか。
根拠と、このレッスンでの扱い
参照資料(2026年9月17日閲覧):米国地質調査所 USGS「What are igneous rocks?」https://www.usgs.gov/faqs/what-are-igneous-rocks (冷却速度と粒、深成岩・火山岩、ガラス質の例)、「What are sedimentary rocks?」https://www.usgs.gov/faqs/what-are-sedimentary-rocks (風化・運搬、圧密・接着、砕屑性・生物由来・化学的な堆積物)、「What are metamorphic rocks?」https://www.usgs.gov/faqs/what-are-metamorphic-rocks (固体での変化、鉱物の配列、しまをもたない変成岩)。粒径の境界はWikipedia「Grain size」https://en.wikipedia.org/wiki/Grain_size のWentworth区分表でも確認した(同日閲覧、62.5 μmと2 mmの境界。工学などの別の区分とは混同しない)。