化学平衡・酸塩基
平衡定数とルシャトリエの原理、pH・中和滴定を学ぶ。
- 平衡移動の方向を予測できる
- pH・中和計算ができる
化学平衡
- ルシャトリエの原理: 平衡系に外からの変化を加えると、その変化を打ち消す向きへ平衡がずれる
- 温度を上げると吸熱方向へ(K 自体が変わる)/濃度・圧力の変化では K は不変
- ヘンリーの法則:温度一定で、溶媒と反応しにくい気体の溶解量は、その気体の分圧に比例(希薄溶液での近似)
酸と塩基
以下の pH 計算は25 ℃の希薄水溶液を扱い、濃度を mol/L で表します。厳密には pH は水素イオンの活量で定義されますが、ここでは濃度で近似します。水のイオン積は温度で変わるため、中性の pH が常に7とは限りません。また pH の範囲は必ずしも0〜14に限られません。
🔍 pH はなぜ「−log」なのか
- Step 1: 水素イオン濃度の範囲は広い
酸性〜アルカリ性まで、濃度は14桁にも及ぶ。このままでは比較しにくい。
- Step 2: 桁を「数」にするために対数をとる
log をとると桁数そのものが値になる。10^{-7} → −7 のように扱いやすい小さな数になる。
- Step 3: 符号を反転して正の数に
「−」を付けたのは単に見やすさのため。酸性ほど [H⁺] が大きく pH が小さくなる——直感的に「強い酸=小さい数字」として覚えられる。
- Step 4: pH が1違うと濃度は10倍
対数スケールなので、pH 差2は実質100倍の差。試験での換算ミスが起きやすい点です。
完全中和の当量点では 酸の価数 × 酸の物質量 = 塩基の価数 × 塩基の物質量 が成り立ちます。単純に酸と塩基の mol が等しいのは価数が等しい場合だけです。当量点は pH = 7 と同義ではなく、弱酸と強塩基の当量点は生成した塩の加水分解により塩基性になります。滴定曲線の急変域に変色域が入る指示薬を選びます。
0.10 mol/L の塩酸 20 mL を中和するには、0.05 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液何 mL を要するか。
解答・解説
より **40 mL**
平衡は「反応が止まった状態」ではない
平衡では正反応と逆反応の速さが等しく、各物質の濃度が一定です。反応物と生成物の濃度が等しいという意味ではありません。濃度平衡定数の式には、純粋な固体・液体を入れず、溶液中の溶質や気体を入れます。触媒は両方向の反応を速めますが、同じ温度での K や平衡組成を変えません。圧縮による平衡移動は気体の係数の和を比較して判断します。
気相反応 A ⇄ 2B の平衡で [A] = 0.20 mol/L、[B] = 0.40 mol/L だった。濃度平衡定数を求め、同温度で触媒を加えるとどうなるか答えよ。
解答・解説
(濃度を mol/L で代入)。触媒は平衡定数も平衡組成も変えない。濃度を変えた後に新しい平衡へ到達するまでの時間は短くなる。
🔍 弱酸の pH:近似してよいかも確かめる
一価の弱酸 HA の初濃度を c、電離した濃度を x とし、水自身の電離を無視する。
x が c より十分小さい場合にだけ c−x ≈ c とできる。
x/c = 0.010、つまり約1 %しか電離しないので近似は妥当。水由来の水素イオン濃度よりも十分大きい。
0.10 mol/L の硫酸 15 mL を完全中和するのに必要な 0.20 mol/L の NaOH 水溶液の体積は?
解答・解説
硫酸は2価なので必要な NaOH は mol。体積は L = **15 mL**。酸と塩基の物質量は等しくない。
0.010 mol/L の塩酸 20 mL と 0.010 mol/L の NaOH 水溶液 10 mL を混ぜたとする。体積は加成的として pH を求めよ(log 3.33 ≈ 0.52)。
解答・解説
残る H⁺ は mol。全体積0.030 Lより mol/L、**pH ≈ 2.48**。中和後の残量を全体積で割る。
気相反応 A ⇄ 2B が平衡にある。温度一定で体積を小さくしたとき、平衡はどちらへ移るか。K は変わるか。
解答・解説
気体の物質量が少ない**左向き**に移る。温度一定なので K は変わらない。圧縮直後は各濃度が増え、[B]²/[A] が K より大きくなるため逆反応が優勢になる。