熱化学・酸化還元と電池

反応熱とヘスの法則、酸化数、標準電極電位と電気分解。

📑 目次
  1. 反応熱
  2. 酸化還元
  3. 電池と電気分解
  4. ヘスの法則:式とエンタルピーを一緒に操作する

反応熱

ΔH<0 発熱,ΔH>0 吸熱,Q=mcΔt\Delta H < 0 \text{ 発熱}, \quad \Delta H > 0 \text{ 吸熱}, \qquad Q = mc\Delta t

ヘスの法則: 反応熱は経路によらない。生成熱・燃焼熱を組み合わせて未知の反応熱を組み立てます。

酸化還元

意味
酸化電子を失う(酸化数が上がる)
還元電子を受け取る(酸化数が下がる)
酸化剤他を酸化する=自分は還元される

半反応式を書き、電子の収支を合わせてから足し合わせるのがイオン反応式のコツ。たとえば過マンガン酸カリウムの酸性下での還元は MnO₄⁻ → Mn²⁺(5電子受容)。

電池と電気分解

E=E正極−E負極,n生成物=ItzFE = E_{\text{正極}} - E_{\text{負極}}, \qquad n_{\text{生成物}} = \frac{It}{zF}

電極電位はどちらも還元方向で定義された値を使います。電気分解の式で I は電流(A)、t は時間(s)、F はファラデー定数(C/mol)、z は生成物1 molに必要な電子の mol 数です。電流がすべて目的の反応に使われると仮定しています。生成物の質量は物質量にモル質量を掛けて求めます。

  • ダニエル電池:Zn | Zn²⁺ ‖ Cu²⁺ | Cu、起電力約 1.1 V
  • 標準電極電位が大きいほど酸化されにくい(イオンになりにくい)金属
  • 電気分解:ファラデーの電気分解の法則。析出量は電気量(クーロン)に比例
例題

硫酸銅(II)水溶液の電気分解で 0.50 A の電流を 193 秒通じた。陰極の電流がすべて銅の析出に使われたと仮定して質量を求めよ(Cu = 63.5,F = 96500 C/mol)。

解答・解説

電気量 Q=96.5Q = 96.5 C = 0.001 F。Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu なので Cu は 0.0005 mol、質量 =0.0318= 0.0318 g ≒ **31.8 mg**

ヘスの法則:式とエンタルピーを一緒に操作する

反応エンタルピー ΔH は、反応式に書かれた係数分の反応に対応します。反応式を逆向きにすれば ΔH の符号を逆にし、係数を2倍にすれば ΔH も2倍にします。固体・液体・気体でエンタルピーが異なるので状態もそろえます。熱量計では周囲が受け取った熱 Q が正でも、熱を放出した反応系の ΔH は負です。

具体例:反応式の差をとる

C(黒鉛)+ O₂ → CO₂ の ΔH が −394 kJ、CO + (1/2)O₂ → CO₂ の ΔH が −283 kJ のとき、C(黒鉛)+ (1/2)O₂ → CO の ΔH を求めよ。気体の状態は同じとする。

解答・解説

2番目の式を逆にして1番目に足すと CO₂ が消える。ΔH=−394+(+283)=−111 kJ\Delta H=-394+(+283)=\mathbf{-111}\ \mathrm{kJ}。CO 1 mol の生成は発熱反応。

解答つき問題:熱と電子の収支
  1. 反応で水100 g の温度が20.0 ℃から25.0 ℃へ上昇した。水の比熱を4.2 J/(g·K)とし、熱損失・容器の熱容量を無視する。水が受け取った熱と反応が放出した熱は?

    解答・解説

    Q=100×4.2×5.0=2100Q=100\times4.2\times5.0=2100 J = **2.1 kJ**。反応は2.1 kJを放出したので、定圧ならその反応分の ΔH は **−2.1 kJ**。反応量が不明なので kJ/mol にはできない。

  2. 電子0.020 mol が陰極で Cu²⁺ の還元だけに使われた。析出した Cu の質量を求めよ(Cu = 63.5)。

    解答・解説

    Cu²⁺ 1 mol あたり電子2 molが必要。Cu は0.010 molなので 0.010×63.5=0.6350.010\times63.5=0.635 g(有効数字2桁では **0.64 g**)。

  3. ダニエル電池の放電で、電子が外部回路を進む方向と正負極の反応を答えよ。

    解答・解説

    負極Znから正極Cuへ電子が流れる。負極は Zn→Zn2++2e−\mathrm{Zn\rightarrow Zn^{2+}+2e^-}(酸化)、正極は Cu2++2e−→Cu\mathrm{Cu^{2+}+2e^-\rightarrow Cu}(還元)。電解質中ではイオンの移動が電荷の偏りを抑える。

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