炭化水素と含酸素化合物
アルカン・アルケンからアルコール・カルボン酸まで、命名と反応を学ぶ。
この単元の目標
- IUPAC名(慣用名)で物質を特定できる
- 官能基の反応性を説明し、合成経路を組み立てられる
飽和・不飽和炭化水素
| 系列 | 一般式 | 反応の特徴 |
|---|---|---|
| アルカン CₙH₂ₙ₊₂ | 置換反応(光・塩素) | |
| アルケン CₙH₂ₙ | 二重結合を1個もつ鎖式炭化水素(n ≥ 2)。付加反応で臭素水を脱色 | |
| アルキン CₙH₂ₙ₋₂ | 三重結合を1個もつ鎖式炭化水素(n ≥ 2) | |
| シクロアルカン | 環状。アルケンと同一般式。通常は付加しにくいが小員環には例外がある |
官能基ごとの変換マップ
- アルカン → ハロゲン化アルキル: Cl₂ + 光で置換
- ハロゲン化アルキル → アルコール: NaOH 水溶液と加熱(加水分解)
- 第一級アルコール → アルデヒド → カルボン酸: 段階的な酸化。第二級アルコールはケトンになり、第三級アルコールは穏やかな条件では酸化されにくい
- アルコール → アルケン: 分子内脱水。隣接炭素上の H が必要で、メタノールには適用できない。条件によっては分子間脱水でエーテルができる
- カルボン酸 + アルコール → エステル: 濃硫酸触媒でエステル化
例題
エタノールから酢酸エチルを作る経路を示せ。
解答・解説
**①** (酸化剤で酸化) **②** (エステル化。可逆反応)
有機化学の問題は「官能基=反応の場所」という視点で整理すると一気に楽になります。まず変換マップを暗記し、あとは出発物質と目的物質をつなぐ最短ルートを探しましょう。
例題:同じ分子式でも酸化生成物は異なる
分子式 C₃H₈O のアルコールである1-プロパノールと2-プロパノールを穏やかに酸化したとき、最初に得られるカルボニル化合物をそれぞれ示せ。
解答・解説
1-プロパノール CH₃CH₂CH₂OH は第一級なので **プロパナール CH₃CH₂CHO**。2-プロパノール CH₃CH(OH)CH₃ は第二級なので **アセトン CH₃COCH₃**。OH のついた炭素に直接結合する炭素が1個か2個かで分類する。どちらも分子式 C₃H₆O だが官能基は異なる。
練習問題:官能基の変換と物質量
例題のプロパナールとアセトンのうち、穏やかな酸化をさらに受けてカルボン酸になるものと、その生成物を示せ。
ヒント
アルデヒドと単純なケトンでは酸化されやすさが違う。
解答・解説
**プロパナール**が酸化されて **プロパン酸 CH₃CH₂COOH** になる。アセトンは同じ穏やかな条件では酸化されにくい。「アルコールを酸化すると必ずカルボン酸になる」とは言えない。
酢酸 0.20 mol とエタノール 0.30 mol から生じる酢酸エチルの理論上の最大物質量と質量を求めよ。酢酸エチルのモル質量を 88 g/mol とする。
ヒント
反応する酢酸:エタノール:生成するエステルの物質量比は1:1:1。
解答・解説
酢酸が先に不足するため、酢酸エチルの上限は **0.20 mol**、質量は 。これは酢酸がすべて反応した場合の理論値。エステル化は可逆反応なので、閉じた系の平衡で実際に得られる量は通常この値より少ない。
小ネタ: 炭化水素の命名ドリル
アルカン「メタン」の分子式を答えよ。
小ネタ: 架空炭化水素シミュレーター
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