典型元素の性質
周期表の族ごとの代表物質と、イオン反応による識別を学ぶ。
- 各族元素の性質の類似性・周期性を説明できる
- 陽イオン・陰イオンの確認反応を使い分けられる
おもな族の特徴
| 族 | 代表元素・化合物 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1族(アルカリ金属) | Na, K | 軟らかい金属、水と激しく反応して水素を発生 |
| 2族 | Ca, Ba | 炎色:Ca 橙赤色/Ba 黄緑色。Ba²⁺ + SO₄²⁻ → BaSO₄(白色沈殿) |
| 13〜14族 | Al, C, Si | Al は両性元素。SiO₂ はガラスの主成分 |
| 15族 | N, P, NH₃ | 窒素固定。アンモニアは弱塩基 |
| 16族 | O, S | H₂S は悪臭有毒気体、SO₂ は亜硫酸の酸化物 |
| 17族(ハロゲン) | Cl₂, Br₂, I₂ | 酸化力:Cl₂ > Br₂ > I₂ の順に弱くなる |
| 18族(希ガス) | He, Ne, Ar | 単原子分子、反応しにくい |
陽イオンの確認反応
| イオン | 試薬 | 観察される変化 |
|---|---|---|
| Cu²⁺ | 少量から過剰のアンモニア水 | 少量で淡青色の Cu(OH)₂ 沈殿。過剰で溶けて深青色溶液 |
| Fe³⁺ | KSCN 水溶液 | 血赤色溶液 |
| Ag⁺ | 塩酸 | 白色沈殿(アンモニア水に溶ける) |
| Zn²⁺ | NaOH / NH₃ 水溶液 | 少量で白色の Zn(OH)₂。過剰の NaOH ではヒドロキシド錯体、過剰の NH₃ ではアンミン錯体となり溶ける |
| Pb²⁺ | H₂S / 塩酸 | 黒色(PbS)/ 白色(PbCl₂) |
ある水溶液に少量のアンモニア水で青白い沈殿、過剰で溶けて深青色になった。含まれるイオンは?
解答・解説
**Cu²⁺**。 の沈殿が過剰のアンモニアで として溶解する。
小ネタ: 元素記号クイズ
族の似た性質は外側の電子から生まれる
なぜNaとKは似ているのに、同じ周期のNaとClは大きく違うのでしょう。化学結合やイオン化では主に原子の外側の電子が関わるため、最外殻電子の配置が似た同族元素は似た性質を示すからです。Naの電子配置を殻ごとの2, 8, 1と書けば、電子を1個失ったNa⁺は2, 8となります。Clは2, 8, 7から1個受け取って2, 8, 8となります。閉殻に近づく傾向は、NaClの陽・陰イオンの価数を整理する手掛かりになります。
食塩が金属ナトリウムや塩素とは異なる性質をもつのは、物質の性質が元素名だけではなく、電子状態と粒子の結びつき方に依存するためです。「Naを含むから水と激しく反応する」とは言えません。また、閉殻になることだけで反応全体の進みやすさは決まらず、電子を失うエネルギーや結晶形成・水和なども関わります。
| 整理の軸 | 代表例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 価電子と主な単原子イオン | Na → Na⁺、Mg → Mg²⁺、Cl → Cl⁻ | 原子がそのまま同じ性質で残るわけではない |
| 同周期の酸化物 | Na₂Oは塩基性、Al₂O₃は両性、SiO₂は酸性 | 水に溶けるかどうかとは別の分類 |
| 同族の原子半径 | 一般に下の周期ほど大きい | 電子殻が増える。反応性の全傾向を半径だけでは説明できない |
電子配置が2, 8, 2の原子Aと、2, 8, 7の原子Bを考える。Aは2価陽イオン、Bは1価陰イオンになるとして、電気的に中性な化合物の組成式と元素名を求めよ。
解答・解説
Aは電子12個なのでMg、Bは17個なのでCl。電荷を打ち消すには Mg²⁺ 1個にCl⁻ 2個が必要なので **MgCl₂**。下付きの2はClの個数比であり、Clの電荷が−2という意味ではない。
酸化物・水酸化物は相手との関係で分類する
酸と反応する塩基性酸化物、塩基と反応する酸性酸化物、その両方と反応する両性酸化物、という分類は「反応する相手」を見ています。ガラスの主成分SiO₂は水にほとんど溶けませんが、酸性酸化物に分類されます。水溶液のpHだけからは判定できないのです。Al(OH)₃の両性も、酸性側ではAl³⁺、塩基性側ではヒドロキシド錯イオンが安定になるという、化学種の違いとして整理できます。以下は反応式の読解であり、実験操作の指示ではありません。
候補はAl(OH)₃とMg(OH)₂のみ。教科書上の性質として、試料Xは酸にも過剰の強塩基にも溶け、試料Yは酸には溶けるが過剰の強塩基には溶けにくいという記録がある。XとYを判定し、X 0.010 molをAl³⁺へ変えるために必要なH⁺の理論量を求めよ。
解答・解説
両性の **XがAl(OH)₃**、**YがMg(OH)₂**。上の式でAl(OH)₃:H⁺ = 1:3より、H⁺は **0.030 mol**。水酸基の3個がそれぞれH⁺と水を作り、電荷も左右とも+3になる。
Ca²⁺とCl⁻、Al³⁺とO²⁻からできる電気的に中性な化合物の組成式をそれぞれ書け。
解答・解説
**CaCl₂、Al₂O₃**。前者は+2−2=0、後者は2×(+3)+3×(−2)=0。化合物全体の電荷が0になる最小整数比を選ぶ。
Al(OH)₃ 0.020 molがすべて[Al(OH)₄]⁻に変わるとき、式の上で取り込まれるOH⁻は何molか。
解答・解説
**0.020 mol**。Al(OH)₃ + OH⁻ ⇄ [Al(OH)₄]⁻なので比は1:1。酸との反応の1:3を持ち込まない。平衡維持に必要な過剰量はこの化学量論だけでは求められない。
「SiO₂は水にほとんど溶けないので酸性酸化物ではない」という説明は正しいか。
解答・解説
**誤り**。酸性酸化物は塩基との反応で分類する。水への溶解性と酸化物の酸・塩基性は異なる性質で、SiO₂は酸性酸化物である。
問1. 同族の典型元素が似た化学的性質を示す主な理由は?
問2. 両性酸化物の代表はどれか。
問3. 白色沈殿という記録だけから言えることは?