二次曲線と複素数平面

焦点を用いた二次曲線の定義、極形式とド・モアブルの定理。

この単元の目標
  • 楕円・双曲線の定義と方程式を扱える
  • 極形式で複素数の積・商・累乗を計算できる
📑 目次
  1. 二次曲線
  2. 複素数平面
  3. 距離の条件から、曲線の大きさを読む
  4. 複素数の掛け算が回転になる理由
  5. 座標の曲線と複素数の軌跡をつなぐ

二次曲線

曲線定義標準形
楕円2焦点までの距離の和が一定x2a2+y2b2=1\dfrac{x^2}{a^2} + \dfrac{y^2}{b^2} = 1
双曲線2焦点までの距離の差の絶対値が一定x2a2−y2b2=1\dfrac{x^2}{a^2} - \dfrac{y^2}{b^2} = 1
放物線焦点と準線への距離が等しいy2=4pxy^2 = 4px

複素数平面

z=r(cos⁡θ+isin⁡θ),zn=rn(cos⁡nθ+isin⁡nθ)z = r(\cos\theta + i\sin\theta), \qquad z^n = r^n(\cos n\theta + i\sin n\theta)

極形式では積は「絶対値を掛けて偏角を足す」。ド・モアブルの定理により累乗・累乗根が機械的に計算できます。1 の n 乗根は単位円上に等間隔に並びます。

例題

z=1+iz = 1 + i のとき z8z^8 を求めよ。

解答・解説

z=2(cos⁡45°+isin⁡45°)z = \sqrt{2}(\cos 45° + i\sin 45°) より z8=16(cos⁡360°+isin⁡360°)=z^8 = 16(\cos 360° + i\sin 360°) = **16**

回転=「絶対値1の複素数を掛ける」。図形の回転問題は複素数平面で書くと一気に簡単になることがあります。

距離の条件から、曲線の大きさを読む

二次曲線の式は形を丸暗記するものではなく、点が守る距離の約束を座標で書いたものです。楕円なら2か所の目印までの距離の合計が一定で、片方に近づく分だけ他方から遠ざかります。たとえば2焦点が(−c,0)、(c,0)で距離の和が2aなら、横の端は(±a,0)。縦の端(0,b)では二つの距離が等しく、それぞれaなので、直角三角形からb²+c²=a²になります。ここではa>c>0とし、潰れた線分を除きます。

楕円: b2=a2−c2(a>c>0),双曲線: c2=a2+b2(a,b>0)\text{楕円:}\ b^2=a^2-c^2\quad(a>c>0),\qquad \text{双曲線:}\ c^2=a^2+b^2\quad(a,b>0)

双曲線では距離の差の絶対値が2aです。焦点(±c,0)を結ぶ線分より差が小さい非退化な場合はc>aとなり、楕円と大小関係が逆です。標準形x²/a²−y²/b²=1のx切片は±aですが、y切片はありません。放物線y²=4pxではp≠0で、焦点(p,0)と準線x=−pの間の中点が頂点(0,0)です。

標準形の分母は半径そのものではなく、その2乗です。また楕円の長軸がy軸方向なら、焦点もy軸上になります。xの分母を必ず大きい方と決めつけず、軸との交点を先に調べましょう。双曲線では正の項に対応する軸の方向に開きます。
例題:縦に長い楕円を焦点から確かめる

楕円 x2/9+y2/25=1x^2/9+y^2/25=1 の長軸の両端と焦点を求め、点(3,0)から2焦点までの距離の和を確かめよ。

解答・解説

x=0とするとy=±5、y=0とするとx=±3なので長軸はy軸方向、両端は(0,±5)。焦点までの距離cはc²=25−9=16よりc=4で、焦点は(0,±4)。(3,0)からはどちらも√(3²+4²)=5なので和は10、すなわち長軸の長さ2×5と一致する。

複素数の掛け算が回転になる理由

複素数z=x+iyを点(x,y)として見ると、絶対値は原点からの距離、偏角は正の実軸からの向きです。地図上の位置を「東に何歩、北に何歩」で言うか、「距離と方角」で言うかの違いだと考えられます。非零の複素数ならr>0として極形式に書け、偏角は360°の整数倍だけ変えても同じ点を表します。0の絶対値は0ですが、向きは決まらず偏角は定義しません。

🔍 加法定理で積の偏角を読む

  1. 二つの極形式を掛ける
    r(cos⁡α+isin⁡α) s(cos⁡β+isin⁡β)(r,s>0)r(\cos\alpha+i\sin\alpha)\,s(\cos\beta+i\sin\beta)\quad(r,s>0)
  2. 実部と虚部をまとめる
    rs{(cos⁡αcos⁡β−sin⁡αsin⁡β)+i(sin⁡αcos⁡β+cos⁡αsin⁡β)}rs\{(\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta)+i(\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta)\}
  3. 三角関数の加法定理を使う
    rs{cos⁡(α+β)+isin⁡(α+β)}rs\{\cos(\alpha+\beta)+i\sin(\alpha+\beta)\}

    距離はrs、向きはα+β。商なら割る数が0でないとき距離を割り、向きを引く。

累乗で偏角をn倍する規則は整数nについて使います。負の整数ならz≠0が必要です。逆にn乗根を求めるときは、元の偏角に360°kを足した全候補をnで割ります。一つの偏角をnで割るだけでは、非零の数の異なるn個の根を取り逃がします(nは正の整数)。
例題:掛け算を座標と回転の両方で読む

複素数z=2−iに2iを掛けた数wを求め、原点からの距離と向きの変化を説明せよ。

解答・解説

w=2i(2−i)=2+4iなので点(2,−1)が(2,4)へ移る。2iの絶対値は2、偏角は90°なので、原点のまわりに反時計回りに90°回転して距離を2倍する変換。元の絶対値は√5、像は√20=2√5で、座標からの計算も一致する。

座標の曲線と複素数の軌跡をつなぐ

複素数αに対応する点からzまでの距離は|z−α|です。したがって|z−α|=R(R>0)は中心α、半径Rの円、|z−α|+|z−β|=L(α≠β、L>|α−β|)は焦点α、βの楕円です。複素数の式でも距離の約束は変わりません。式を見たら、引き算でどの点から測っているかを言葉にしてみましょう。

距離と角度で検算する練習
  1. 双曲線 x2/16−y2/9=1x^2/16-y^2/9=1 の頂点と焦点を求めよ。

    解答・解説

    a=4、b=3、c²=16+9=25よりc=5。正の項はxの項なので頂点(±4,0)、焦点(±5,0)。焦点は頂点より原点から遠い。

  2. iを掛ける変換で、点−1+2iはどこへ移るか。

    解答・解説

    i(−1+2i)=−2−i。座標で(−1,2)→(−2,−1)となり、原点まわり反時計回り90°回転に対応する。絶対値はどちらも√5。

  3. z³=8を満たすすべての複素数zを求めよ。

    解答・解説

    絶対値は2、偏角は0°、120°、240°。よって2、−1+√3i、−1−√3iの3個。各偏角を3倍すると360°の整数倍となり、絶対値の3乗は8になる。

  4. 複素数zが|z−1|+|z+1|=4を満たすとき、対応する点(x,y)の軌跡の方程式を求めよ。

    解答・解説

    焦点(±1,0)、距離の和2a=4の楕円。a=2、c=1なのでb²=4−1=3、方程式はx²/4+y²/3=1。距離の和4が焦点間距離2より大きく、非退化な楕円となる。

形と極形式の確認

問1. 楕円x²/4+y²/16=1の長軸の方向は?

問2. 偏角を定義できない複素数は?

問3. 非零の複素数zに絶対値1、偏角30°の複素数を掛けると?

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