期待値と分散
期待値・分散の定義から線形性の証明へ進み、くじやゲームの公平性を数値で判断する。
- 離散型確率変数の期待値・分散・標準偏差を定義に従って計算できる
- 期待値の線形性を証明し、複雑なゲームを分解して期待値を求められる
- 期待値を根拠にくじやゲームの公平性を判断できる
期待値の定義
確率変数 X の各値について「値 × その値をとる確率」を計算し、総和をとったものが期待値です。同じ分布に従う独立な試行を大量に繰り返したときの平均の理論値で、くじやゲームの損得、品質管理の不良率など、意思決定の基準として幅広く使われます。サイコロの期待値が 3.5 のように、実現しない値になることも珍しくありません。
| くじの結果 | もらえる金額 | 確率 |
|---|---|---|
| 当たり(1 本) | 500 円 | |
| 準当たり(2 本) | 100 円 | |
| はずれ(7 本) | 0 円 |
分散の計算式
標準偏差は で、X と同じ単位になります。また 。独立な X, Y には が成り立ちますが、期待値の線形性と違って分散の加法性を無条件に使うことはできません。この節のサイコロは公平、コイン投げは独立とします。
🔍 V(X) = E(X^2) - m^2 の導出
- 定義を展開する
- 3 つの和に分ける
と が定数であることを使った
- m = E(X) を代入
分散は「2乗の平均 − 平均の2乗」と覚えると計算が速い
期待値の線形性
期待値の最大の武器は、和や定数倍に対して素直に働く線形性です。線形性を使うと、複雑なゲームの期待値を簡単な部品の和に分解でき、分布を具体的に書かなくても計算が閉じます。独立でない場合でも成り立つのがポイントで、それは次の証明で確認できます。
🔍 E(aX + Y) = aE(X) + E(Y) の証明
- 同時確率で定義を書く
は かつ となる同時確率
- aX の項と Y の項に分離
- 周辺確率にまとめる
括弧内の和は周辺確率 , に等しい。独立性はどこにも使っていない
1 本 100 円のくじが 10 本あり、当たり 1 本は 500 円、準当たり 2 本は 100 円の商品券がもらえる。1 本引いたときのもらえる金額 X の期待値と、引く側の損得を求めよ。
解答・解説
円。支払い 100 円と比べて **-30円** なので、引く側は平均 30 円の損となる
練習問題
サイコロ 1 個の出る目 X の期待値と分散を求めよ。
ヒント
。
解答・解説
、 ****
サイコロ 2 個の目の和の期待値を、線形性を用いて求めよ。
ヒント
和を X + Y とすると、。
解答・解説
**7**
300 円を払うとサイコロを 1 回振れて、出た目 × 100 円をもらえるゲームがある。参加する側は得か損か。
ヒント
もらえる金額の期待値は 。
解答・解説
円 > 300 円なので、1 回あたり平均 **50円得** する
表が出る確率 1/2 のコインを 3 回投げるとき、表の枚数 X の期待値と分散を求めよ。(発展)
ヒント
各回の表の枚数は期待値 0.5・分散 0.25。線形性と独立性で合計できる。
解答・解説
、 **0.75**
確認クイズ
問1. のとき の値は?
問2. 、 のとき の値は?
問3. 期待値の観点で「公平なゲーム」を最も正しく説明しているものはどれか。