三角形と円の性質

メネラウス・チェバの定理、方べきの定理など図形の計量を学ぶ。

この単元の目標
  • メネラウス・チェバの定理を使える
  • 方べきの定理を長さの計算に使える
📑 目次
  1. メネラウスの定理(直線による切断)
  2. チェバの定理(点を通る3直線)
  3. 方べきの定理
  4. 三角形の比がつながる理由:高さをそろえる
  5. 円の外から見た「近い距離×遠い距離」

メネラウスの定理(直線による切断)

三角形 ABC で D, E, F をそれぞれ直線 BC, CA, AB 上の頂点以外の点とし、比には正の長さを使います。D, E, F が一直線上にあるとき、次の式が成り立ちます。一直線が三辺を横切る通常の配置では、少なくとも一つの点が辺の延長上にあります。

AFFB⋅BDDC⋅CEEA=1\frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA} = 1

チェバの定理(点を通る3直線)

D, E, F がそれぞれ辺 BC, CA, AB の内部にあり、AD, BE, CF が1点で交わるとき、次の式が成り立ちます。この内分の場合は逆も成り立ちます。メネラウスとは式の形が同じでも、点の配置と「一直線上/3直線の共点」という条件が異なります。

AFFB⋅BDDC⋅CEEA=1\frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA} = 1

見分け方:「比の値が1つの直線上でつながるならメネラウス、交わる3直線ならチェバ」。比を置く場所(頂点→頂点)を統一して書くのがミス防止のコツです。

方べきの定理

PA⋅PB=PC⋅PD(円外の点 P から引いた2本の直線)PA \cdot PB = PC \cdot PD \quad (\text{円外の点 P から引いた2本の直線})
例題

円外の点 P から円に2本の直線を引き、一方は A, B で他方は C, D で交わる。PA = 3, PB = 12, PC = 4 のとき PD を求めよ。

解答・解説

3×12=4×PD3 \times 12 = 4 \times PD より **PD = 9**

証明問題では「相似形をつくる」ことがほぼすべて。円周角の定理で等角を見つけ、△の対応を丁寧に書きましょう。

三角形の比がつながる理由:高さをそろえる

同じ高さの三角形では、面積の比は底辺の比になります。これは幅の違う同じ高さの旗を比べるようなものです。三角形ABCの辺BC上にDを取れば、三角形ABDとACDはAからBCへの高さが同じなので、面積比はBD:DCです。長さを直接測れなくても、面積の比に置き換えると他の辺の情報と結び付きます。以下、三角形は一直線に潰れていないものとします。

🔍 内点で交わる3直線からチェバの比を作る

  1. 内部の共点をPとする
    [PAB][PAC]=BDDC\frac{[PAB]}{[PAC]}=\frac{BD}{DC}

    [XYZ]は三角形XYZの面積。A、P、Dがこの順で一直線上にある。ABD:ACDもPBD:PCDもBD:DCなので、対応する面積を引いたPAB:PACも同じ比になる。

  2. 残りの2本について同じ議論
    [PBC][PAB]=CEEA,[PAC][PBC]=AFFB\frac{[PBC]}{[PAB]}=\frac{CE}{EA},\qquad\frac{[PAC]}{[PBC]}=\frac{AF}{FB}

    EはCA上、FはAB上。BE、CFもPを通る。

  3. 3式を掛ける
    BDDC⋅CEEA⋅AFFB=1\frac{BD}{DC}\cdot\frac{CE}{EA}\cdot\frac{AF}{FB}=1

    左辺に対応する面積の分子と分母がすべて消える。比の巡回する向きが重要。

チェバとメネラウスは積の式だけでは見分けられません。三辺の内点を結ぶ3直線の共点ならチェバ、辺や延長上の3点の共線ならメネラウスです。図には「どの点が辺の内部か、延長上か」を必ず書き込みます。正の長さの比を使うとき、配置の条件を捨てて積だけで結論を出してはいけません。
例題:内点を通る3本目の直線を決める

三角形ABCでDはBCの内点、EはCAの内点で、BD:DC=2:3、CE:EA=3:4。ADとBEの交点Pを通る直線CPがABと交わる点をFとする。AF:FBを求めよ。

解答・解説

内分点への線分AD、BEは三角形内部で交わり、CPは辺ABの内部に達する。チェバより (AF/FB)(2/3)(3/4)=1(AF/FB)(2/3)(3/4)=1。後ろ二つの積は1/2なので AF/FB=2AF/FB=2、したがってAF:FB=2:1。比を逆にすると積が1にならないので代入して点検する。

円の外から見た「近い距離×遠い距離」

円外の点Pと中心Oを固定し、Pを通る直線が円を切るとします。Oからその直線へ下ろした垂線の足をH、PHをt、弦の半分をs、半径をrとすると、近い交点までがt−s、遠い交点までがt+sです。この積はt²−s²。直角三角形の関係を使うと、直線の傾きにかかわらずPO²−r²になり、これが方べきが一定になる理由です。Hは弦の中点で、Pが円外ならt>sです。

PA⋅PB=(t−s)(t+s)=t2−s2=(PO2−OH2)−(r2−OH2)=PO2−r2PA\cdot PB=(t-s)(t+s)=t^2-s^2=(PO^2-OH^2)-(r^2-OH^2)=PO^2-r^2

接線が円と接する点をTとすると、半径OTと接線PTは垂直です。そこで直角三角形POTからPT²=PO²−r²となり、割線の積PA・PBと接線の長さの2乗が一致します。接線の場合も方べきと同じ一定量を測っているわけです。

例題:弦の長さから接線の長さへ

点Pは円の外にあり、割線上の点はP、A、Bの順に並ぶ。PA=4 cm、AB=5 cmのとき、Pから円に引いた接線PTの長さを求めよ。

解答・解説

遠い交点までの距離はPB=PA+AB=9 cm。PT²=PA・PB=4×9=36 cm²なので、長さは正であることからPT=6 cm。4×5としないのは、ABではなくPからBまでの全体の距離を使うため。

点の配置と単位を確認する練習
  1. D、E、Fを三角形ABCの各辺BC、CA、ABの内点とする。AD、BE、CFが共点で、BD:DC=3:2、CE:EA=4:3のときAF:FBを求めよ。

    解答・解説

    チェバより(AF/FB)×(3/2)×(4/3)=1。後ろの積が2なのでAF/FB=1/2、すなわち1:2。

  2. DはBCの内点、EはCAの内点、FはABをBの側へ延長した部分にあり、D、E、Fは一直線上にある。BD:DC=1:2、CE:EA=1:3のときAF:FBを求めよ。

    解答・解説

    メネラウスより(AF/FB)×(1/2)×(1/3)=1なのでAF:FB=6:1。AF=AB+BFであるためAF>FBとなり、延長上という配置とも整合する。

  3. 円外の点Pから引いた接線PTの長さが8 cm。割線上はP、A、Bの順でPA=4 cmのとき、ABを求めよ。

    解答・解説

    PA・PB=PT²より4PB=64なのでPB=16 cm。AB=PB−PA=12 cm。PBとABを区別する。

定理と配置の対応

問1. 三角形の各辺の内点D、E、Fについて、AD、BE、CFの共点を扱う定理は?

問2. P、A、Bの順の割線でPA=2、AB=6ならPA・PBは?

問3. 円外のPからの接線PTと、接点Tへの半径OTのなす角は?

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