1次変換と行列
行列で表される平面の1次変換(回転・対称移動・せん断)を学ぶ。
- 1次変換を行列で表し計算できる
- 回転・対称移動の表現行列を使いこなせる
1次変換の定義
ベクトルの和と実数倍を保つ変換を1次変換といいます。原点は原点に移り、直線の像は直線または1点です。合成は行列の積、繰り返しは行列の冪で表されます。回転角の正の向きは反時計回りとします。
重要な変換の表現行列
| 変換 | 行列 |
|---|---|
| 原点まわり θ 回転 | |
| x軸に関する対称移動 | |
| 直線 y = x に関する対称移動 | |
| 原点に関して対称移動 |
行列式と面積
点 (1, 0) を原点まわり 90° 回転した点を求めよ。
解答・解説
2本の矢印の行き先だけで、すべての点が決まる理由
方眼紙を一様に引き伸ばしたり、横にずらして平行四辺形の網目にしたりする場面を考えます。右へ1歩の矢印と上へ1歩の矢印の行き先が決まれば、「右へ2歩、上へ3歩」の行き先も、移った矢印を2本と3本つないで決まります。この「足し算と実数倍を保つ」という規則が1次変換の本体です。曲げたり、一部分だけ伸ばしたりする変形は、この規則を満たすとは限りません。
🔍 行列の各列は単位の矢印の像
- 座標を2方向の矢印に分ける
- 和と実数倍を保つ性質を使う
Tは1次変換、xとyは任意の実数。
- 像を列として並べる
1列目が右への単位矢印、2列目が上への単位矢印の像。行として並べない。
1次変換Tが(1,0)を(2,1)へ、(0,1)を(−1,3)へ移す。Tの表現行列と、点(3,−2)の像を求めよ。
解答・解説
像を列に並べて 。点の像は 。行列で計算しても 、 となる。
せん断:面積が変わらなくても、形は変わる
積み重ねたカードを、上のカードほど横に大きくずらす様子がせん断の直感です。変換(x,y)→(x+ky,y)は、高さyに比例して横にkyだけ動かします。実数kがせん断の強さを表し、x軸上の点は動きません。単位正方形の上辺は横にずれますが、底辺1、高さ1の平行四辺形になるので面積は1のままです。
行列式の絶対値は面積の倍率であって、辺の長さの倍率ではありません。せん断でも角度や斜めの辺の長さは一般に変わります。また、行列式が負なら向きが反転しますが、面積自体が負になるわけではないので、面積には絶対値を使います。
三角形OABの頂点をO(0,0)、A(2,0)、B(0,3)とする。せん断(x,y)→(x+2y,y)の後の頂点と面積を求めよ。
解答・解説
O′(0,0)、A′(2,0)、B′(6,3)。底辺O′A′は2、高さは3なので面積は2×3÷2=3で、元の面積3と同じ。一方、OBは長さ3からO′B′の長さ√45へ変わるので、面積保存と長さ保存は別の性質である。
- 原点、(1,0)、(0,1)の像を調べ、列の意味をつかむ。
- 点は列ベクトルとして右側に置き、各行と掛け合わせる。
- せん断なら高さ、対称移動なら対称軸上の点など、変わらない量を検算に使う。
- 面積を求めるなら行列式の絶対値を掛け、長さの変化と混同しない。
1次変換が(1,0)を(1,2)、(0,1)を(3,−1)へ移す。(−1,2)の像を求めよ。
解答・解説
和と実数倍を保つので−1×(1,2)+2×(3,−1)=(5,−4)。行列の列はそれぞれ(1,2)、(3,−1)となる。
せん断(x,y)→(x−3y,y)で(4,2)はどこへ移るか。元に戻す式も書け。
解答・解説
像は(4−6,2)=(−2,2)。高さyは不変なので、逆変換は(x′,y′)→(x′+3y′,y′)。実際に(−2+6,2)=(4,2)。
行列 によって、面積5の三角形は面積いくつになるか。
解答・解説
det A=−6で絶対値は6。面積は6×5=30。x方向2倍、y方向3倍と反転が起きるので、面積の倍率は正の6倍となる。
問1. 2×2行列Aの第2列が表すのは?
問2. どの変換が1次変換か?
問3. 行列式が−2の1次変換で正しいのは?