2曲線で囲まれる面積と1/6公式

交点と上下関係を調べて面積を定積分で表し、二次式の差から1/6公式を導く。

この単元の目標
  • 多項式で表された2曲線の交点を求め、各区間の上下関係を判断できる。
  • 上下が入れ替わる場合に積分区間を分け、正の面積を足し合わせられる。
  • 1/6公式を導出し、差が二次式になる場合という適用条件を説明できる。
📑 目次
  1. 1.面積の高さは「上の式 − 下の式」
  2. 2.交点間の幅から求める1/6公式
  3. 3.上下が入れ替わるなら区間を分ける

1.面積の高さは「上の式 − 下の式」

2曲線 y=f(x)y=f(x) と y=g(x)y=g(x) の間の縦の長さは、同じ x での上側の y 座標から下側の y 座標を引いたものです。したがって a≤x≤ba\le x\le b で f(x)≥g(x)f(x)\ge g(x) なら、面積は次の定積分になります。両方の曲線が x 軸より下にあっても考え方は同じです。

S=∫ab{f(x)−g(x)} dx(f(x)≥g(x))S=\int_a^b\{f(x)-g(x)\}\,dx\qquad(f(x)\ge g(x))
  1. 交点:f(x) = g(x) を解き、交点の x 座標を小さい順に並べる。
  2. 上下:隣り合う交点の間で f(x) − g(x) の符号を調べる。
  3. 積分:区間ごとに「上 − 下」を積分し、すべての面積を足す。
  4. 検算:各区間の面積が0以上であるか、境界を取り違えていないか確認する。
例題1:放物線と直線で囲まれる面積

y=x2y=x^2 と y=2x+3y=2x+3 で囲まれる部分の面積を求めよ。

解答・解説

交点は x2=2x+3x^2=2x+3、すなわち (x+1)(x−3)=0(x+1)(x-3)=0 より x=−1,3x=-1,3。座標は (−1,1),(3,9)(-1,1),(3,9)。区間 −1<x<3-1<x<3 で 2x+3−x2=−(x+1)(x−3)>02x+3-x^2=-(x+1)(x-3)>0 なので直線が上。S=∫−13(−x2+2x+3) dx=[−x3/3+x2+3x]−13=9−(−5/3)=32/3S=\int_{-1}^{3}(-x^2+2x+3)\,dx=[-x^3/3+x^2+3x]_{-1}^{3}=9-(-5/3)=\boxed{32/3}。下端での値を引くときの符号に注意する。

2.交点間の幅から求める1/6公式

2曲線の差が二次式で、異なる2つの実数の交点 α<β\alpha<\beta をもつ場合を考えます。差を f(x)−g(x)=A(x−α)(x−β)f(x)-g(x)=A(x-\alpha)(x-\beta)(A≠0A\ne0)と書くと、交点の間の縦の長さは ∣A∣(x−α)(β−x)|A|(x-\alpha)(\beta-x) です。幅だけで面積を表せる理由を、多項式の積分で確かめましょう。

🔍 1/6公式の導出:原始関数を作って両端で評価

  1. ① 幅 h = β − α を使って展開する
    (x−α)(β−x)=h(x−α)−(x−α)2,h=β−α>0(x-\alpha)(\beta-x)=h(x-\alpha)-(x-\alpha)^2,\qquad h=\beta-\alpha>0

    β − x = h − (x − α) と書き換えた。積分する式は二次式のまま。

  2. ② 微分すると元の式になる整式を作る
    F(x)=h2(x−α)2−13(x−α)3,F′(x)=h(x−α)−(x−α)2F(x)=\frac{h}{2}(x-\alpha)^2-\frac{1}{3}(x-\alpha)^3,\qquad F'(x)=h(x-\alpha)-(x-\alpha)^2

    α は定数なので、二乗・三乗を展開して微分すれば確認できる。置換積分などの新しい公式は不要。

  3. ③ 両端の値を引き、係数の絶対値を掛ける
    S=∣A∣{F(β)−F(α)}=∣A∣(h32−h33)=∣A∣6(β−α)3S=|A|\{F(\beta)-F(\alpha)\}=|A|\left(\frac{h^3}{2}-\frac{h^3}{3}\right)=\frac{|A|}{6}(\beta-\alpha)^3

    下端では x − α = 0、上端では x − α = h。1/2 − 1/3 = 1/6 が公式の由来。

S=∣A∣6(β−α)3(f(x)−g(x)=A(x−α)(x−β),α<β)S=\frac{|A|}{6}(\beta-\alpha)^3\quad\left(f(x)-g(x)=A(x-\alpha)(x-\beta),\quad\alpha<\beta\right)
例題1では差の二次の係数の絶対値は1、交点間の幅は4なので S=1×43/6=32/3S=1\times4^3/6=32/3。2つとも放物線でも、差が二次式で異なる2交点をもてば使えます。A は片方の曲線の係数ではなく、2つの式を引いた結果の二次の係数です。

3.上下が入れ替わるなら区間を分ける

交点が3つ以上あると、途中で上下が入れ替わることがあります。差をそのまま全区間で積分すると、正の部分と負の部分が打ち消し合ってしまいます。交点で区切り、各区間の差の符号を調べてから「上 − 下」を決めるのが確実です。交点でも、差の符号が変わらなければ上下は入れ替わりません。

例題2:三次曲線と直線、2つの部分の面積

y=x3y=x^3 と y=xy=x で囲まれる2つの部分の面積の和を求めよ。

解答・解説

交点は x3=xx^3=x より x=−1,0,1x=-1,0,1、座標は (−1,−1),(0,0),(1,1)(-1,-1),(0,0),(1,1)。−1<x<0-1<x<0 では x3−x=x(x−1)(x+1)>0x^3-x=x(x-1)(x+1)>0 で三次曲線が上、0<x<10<x<1 では直線が上。したがって S=∫−10(x3−x) dx+∫01(x−x3) dx=[x4/4−x2/2]−10+[x2/2−x4/4]01=1/4+1/4=1/2S=\int_{-1}^{0}(x^3-x)\,dx+\int_0^1(x-x^3)\,dx=[x^4/4-x^2/2]_{-1}^{0}+[x^2/2-x^4/4]_0^1=1/4+1/4=\boxed{1/2}。全区間で x3−xx^3-x を積分すると0だが、面積は0ではない。

例題2の区間上側積分する高さ面積
−1<x<0-1<x<0y=x3y=x^3x3−xx^3-x1/41/4
0<x<10<x<1y=xy=xx−x3x-x^31/41/4
1/6公式を使うには、差が A(x−α)(x−β)A(x-\alpha)(x-\beta) という二次式で、α<β\alpha<\beta が必要です。差が三次式になる例題2には使えません。二次式に異なる実根がなければ、この形の2交点間の囲まれた領域はできません。また積分区間全体で差の符号が変わる場合、定積分を計算した後で絶対値を付けるだけでは面積になりません。
練習:交点・上下・係数を自分で決める
  1. y=x2y=x^2 と y=4y=4 で囲まれる面積を求めよ。

    ヒント

    交点は x = −2, 2。区間の中央で、どちらが上か確かめる。

    解答・解説

    −2<x<2-2<x<2 では直線が上。S=∫−22(4−x2) dx=[4x−x3/3]−22=32/3S=\int_{-2}^{2}(4-x^2)\,dx=[4x-x^3/3]_{-2}^{2}=32/3。1/6公式でも 1×(2−(−2))3/6=32/31\times(2-(-2))^3/6=32/3。

  2. y=3x2y=3x^2 と y=x2+4xy=x^2+4x で囲まれる面積を求めよ。

    ヒント

    差は 2x² − 4x。交点間の幅だけでなく二次の係数の差も使う。

    解答・解説

    2x(x−2)=02x(x-2)=0 より交点の x 座標は0と2。0<x<20<x<2 で x2+4xx^2+4x が上なので S=∫02(4x−2x2) dx=8/3S=\int_0^2(4x-2x^2)\,dx=8/3。1/6公式では ∣A∣=2|A|=2、幅2より 2×23/6=8/32\times2^3/6=8/3。係数3や1をそのまま使わない。

  3. y=x3y=x^3 と y=4xy=4x で囲まれる部分の面積の和を求めよ。

    ヒント

    x(x − 2)(x + 2) = 0 より交点を求め、x = 0 で積分を分ける。

    解答・解説

    交点の x 座標は −2,0,2-2,0,2。左では三次曲線、右では直線が上。S=∫−20(x3−4x) dx+∫02(4x−x3) dx=4+4=8S=\int_{-2}^{0}(x^3-4x)\,dx+\int_0^2(4x-x^3)\,dx=4+4=8。差が三次式なので1/6公式ではなく多項式を直接積分する。

確認クイズ

問1. ∫−11(x3−x) dx=0\int_{-1}^{1}(x^3-x)\,dx=0 から何がいえる?

問2. 差が −2(x+1)(x−2)-2(x+1)(x-2) の2曲線について、2交点間の面積は?

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