三次関数の増減・極値と方程式の実数解

導関数の符号から増減表を作り、区間の最大・最小と水平線との交点の個数を判断する。

この単元の目標
  • 三次関数の導関数を因数分解し、符号の変化から増減と極値を説明できる。
  • 閉区間の端点と区間内の極値を比較して、最大値・最小値を求められる。
  • 極大値・極小値と水平線の高さを比較して、異なる実数解の個数を分類できる。
📑 目次
  1. 1.導関数はグラフの進む向きを教える
  2. 2.極値と区間の最大・最小を区別する
  3. 3.方程式を水平線との交点に読み替える

1.導関数はグラフの進む向きを教える

ここでは整式で表される三次関数を扱います。ある区間で f′(x)>0f'(x)>0 なら関数は増加し、f′(x)<0f'(x)<0 なら減少します。まず f′(x)=0f'(x)=0 の解で数直線を区切り、各区間の符号を調べましょう。増加から減少へ変わる点で極大、減少から増加へ変わる点で極小になります。

f(x)=ax3+bx2+cx+d(a≠0),f′(x)=3ax2+2bx+cf(x)=ax^3+bx^2+cx+d\quad(a\ne0),\qquad f'(x)=3ax^2+2bx+c

🔍 基本例 f(x) = x³ − 3x の増減表を作る

  1. ① 導関数が0になる場所を求める
    f′(x)=3x2−3=3(x+1)(x−1)=0⟺x=−1,1f'(x)=3x^2-3=3(x+1)(x-1)=0\quad\Longleftrightarrow\quad x=-1,1

    グラフの増減が変わる候補は2か所。ただし、この時点では極値とは断定しない。

  2. ② 因子の符号から積の符号を決める
    x<−1:f′(x)>0,−1<x<1:f′(x)<0,1<x:f′(x)>0x<-1: f'(x)>0,\quad -1<x<1: f'(x)<0,\quad 1<x: f'(x)>0

    二次の係数は正なので、2つの根の外側で正、内側で負になる。

  3. ③ 符号の変化と関数値を結び付ける
    f(−1)=2,f(1)=−2f(-1)=2,\qquad f(1)=-2

    x = −1 で「増加→減少」なので極大値2、x = 1 で「減少→増加」なので極小値 −2。

xxx<−1x<-1−1-1−1<x<1-1<x<1111<x1<x
f′(x)f'(x)++00−-00++
f(x)f(x)増加 ↗22(極大)減少 ↘−2-2(極小)増加 ↗

2.極値と区間の最大・最小を区別する

極値は近くの点との比較、最大値・最小値は指定された範囲全体との比較です。閉区間では端点を忘れずに調べます。増減表を区間に合わせて切り取り、端点と区間内の f′(x)=0f'(x)=0 の点の値を比較すれば、候補を取りこぼしません。

例題1:極大値より大きい最大値

f(x)=x3−3xf(x)=x^3-3x の極値を求め、さらに −2≤x≤3-2\le x\le3 における最大値・最小値を求めよ。

解答・解説

増減表より x=−1x=-1 で極大値2、x=1x=1 で極小値 −2。区間内の候補は x=−2,−1,1,3x=-2,-1,1,3 で、値は順に −2,2,−2,18-2,2,-2,18。よって最大値は **18(x=3x=3)**、最小値は **−2(x=−2,1x=-2,1)**。極大値2は、この区間の最大値ではない。最小値をとる点が2つあることにも注意する。

  1. 定義域を確認し、導関数が0になる点のうち区間内の点だけを候補にする。
  2. 増減表を作り、区間の両端と候補点で元の関数の値を計算する。
  3. 最も大きい値・小さい値と、それをとるすべての x を答える。

3.方程式を水平線との交点に読み替える

x3−3x=kx^3-3x=k の実数解は、曲線 y=x3−3xy=x^3-3x と水平線 y=ky=k の交点の x 座標です。この曲線は左へ十分進むといくらでも低く、右へ十分進むといくらでも高くなります。増加・減少する3つの部分のどれに水平線が届くかを考えると、解の値を具体的に求めなくても個数がわかります。ここでは異なる実数解の個数を数えます。

例題2:パラメータ k と実数解の個数

実数 kk に対し、方程式 x3−3x=kx^3-3x=k の異なる実数解の個数を分類せよ。

解答・解説

極小値 −2 と極大値2の間、すなわち −2<k<2-2<k<2 なら各単調区間で1回ずつ交わるので3個。k=2k=2 では x3−3x−2=(x−2)(x+1)2x^3-3x-2=(x-2)(x+1)^2 より x=−1,2x=-1,2 の2個。k=−2k=-2 では x3−3x+2=(x+2)(x−1)2x^3-3x+2=(x+2)(x-1)^2 より x=−2,1x=-2,1 の2個。k<−2k<-2 または k>2k>2 では外側の増加部分だけと交わるので1個となる。

水平線の高さ異なる実数解の個数交点の見方
k<−2k<-2 または k>2k>21個外側の枝と1回だけ交わる
k=−2k=-2 または k=2k=22個極値の点で接し、別の点でも交わる
−2<k<2-2<k<23個3つの単調区間で1回ずつ交わる
f′(x)=0f'(x)=0 だけでは極値とはいえません。例えば f(x)=x3f(x)=x^3 では f′(0)=0f'(0)=0 ですが、左右で導関数は正なので極値はありません。また重解は「異なる実数解」の数では1個です。区間の端点を、単に最大・最小だからという理由で極値と呼ばないようにしましょう。
練習:符号・端点・境界を確認
  1. f(x)=x3−6x2+9xf(x)=x^3-6x^2+9x の増減と極値を求めよ。

    ヒント

    導関数を 3(x−1)(x−3)3(x-1)(x-3) と因数分解し、元の関数に1と3を代入する。

    解答・解説

    f′(x)=3(x−1)(x−3)f'(x)=3(x-1)(x-3) より、x<1x<1 と x>3x>3 で増加、1<x<31<x<3 で減少する。f(1)=4f(1)=4、f(3)=0f(3)=0 なので、x=1x=1 で極大値4、x=3x=3 で極小値0。

  2. f(x)=x3−6x2+9xf(x)=x^3-6x^2+9x の 0≤x≤40\le x\le4 における最大値・最小値を求めよ。

    ヒント

    前問の極値に加え、両端 x = 0, 4 の値を比べる。

    解答・解説

    f(0)=0,f(1)=4,f(3)=0,f(4)=4f(0)=0,f(1)=4,f(3)=0,f(4)=4。よって最大値4をとるのは x=1,4x=1,4、最小値0をとるのは x=0,3x=0,3。どちらも極値の点だけでなく端点でも同じ値をとる。

  3. x3−6x2+9x=kx^3-6x^2+9x=k の異なる実数解の個数を、実数 k の値によって分類せよ。

    ヒント

    極小値0と極大値4を水平線の高さと比べる。境界では因数分解で確認する。

    解答・解説

    0<k<40<k<4 で3個、k=0,4k=0,4 で2個、k<0k<0 または k>4k>4 で1個。境界は k=0k=0 で x(x−3)2=0x(x-3)^2=0、k=4k=4 で (x−1)2(x−4)=0(x-1)^2(x-4)=0 となり、重解を1個と数えるとそれぞれ2個。

確認クイズ

問1. f(x)=x3f(x)=x^3 の x = 0 における様子として正しいものは?

問2. x3−3x=2x^3-3x=2 の異なる実数解はいくつ?

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