コンデンサーの直並列と充電済み接続

直列・並列の合成容量、中間導体の電荷保存、充電済みコンデンサー同士をつないだときの共有電圧とエネルギー減少を扱う。

この単元の目標
  • 直列・並列の合成容量を計算し、共通なのは V か Q かを判定できる
  • 充電済みコンデンサーを接続するとき電荷保存則で電圧を求められる
  • 接続前後のエネルギー差を計算し、損失の行き先を説明できる

直列と並列 — 何が共通か

  • 並列(両端子を共有):各コンデンサーの電圧 V が共通。各極板の電荷 Qi=CiVQ_i = C_iV を足し合わせると合成容量は
  • 直列(端子同士を一列に接続):中間の導体(極板+導線)が初め電気的に中性なら、その導体全体の電荷の和が 0 のまま保存されるので、各コンデンサーの電荷の大きさ Q が共通(内側極板に −Q と +Q が向かい合って誘起される)。各電圧 Vi=Q/CiV_i = Q/C_i を足し合わせると
  • 直列の合成容量はどの単独より小さく、並列の合成はどの単独より大きい。
C並列=C1+C2,1C直列=1C1+1C2  (2個の場合 C直列=C1C2C1+C2)C_{\text{並列}} = C_1 + C_2, \qquad \frac{1}{C_{\text{直列}}} = \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2} \;(\text{2個の場合 } C_{\text{直列}} = \frac{C_1C_2}{C_1+C_2})

🔍 直列で電荷が共通になる理由

  1. Step 1: 中間導体を孤立系とみる
    q内1+q内2=0q_{\text{内1}} + q_{\text{内2}} = 0

    電池は端子にだけ接続され、中間導体はどこにも逃げられない(接地されていない)。初め中性なら電荷の総和は 0 のまま。

  2. Step 2: 外側の極板と内側の極板の誘導
    ∣q内1∣=∣q内2∣=Q|q_{\text{内1}}| = |q_{\text{内2}}| = Q

    二端子コンデンサーの両極板は等量異符号。左から +Q、−Q、+Q、−Q となり、中央の −Q と +Q の極板が導線でつながっています。これは導体の自由電荷の移動(静電誘導)で、誘電体の分極とは区別します。

  3. Step 3: 電圧の和
    V=V1+V2=Q(1C1+1C2)⇒QV=11/C1+1/C2V = V_1 + V_2 = Q\left(\frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2}\right) \Rightarrow \frac{Q}{V} = \frac{1}{1/C_1 + 1/C_2}
誤解注意:直列でも「必ず電荷が等しい」のではない。中間導体が初めに帯電していた場合は電荷保存則を立てて個別に解く必要がある。また並列・直列の判定は「回路図上の見た目」ではなく共通なのが V か Q かで行う。単位の確認:F(ファラド)= C/V、1 μF = 10⁻⁶ F、1 pF = 10⁻¹² F。エネルギーは J、電位差は V。

充電済みコンデンサーの接続(同極性・逆極性)

電池を両方から外し、一方の極板どうしを節点 a、他方を節点 b として並列接続します。初期電圧 v₁, v₂ はともに「a 側極板の電位 − b 側極板の電位」という符号付き量。a に集まる極板と導線の総電荷が保存されるので (C1+C2)Vf=C1v1+C2v2(C_1+C_2)V_f=C_1v_1+C_2v_2。同極性なら両方正、逆極性なら片方負として計算します。系全体の電荷が 0 という式だけでは電圧は決まりません。導線の対地容量や他の極板間の結合は無視します。

Vf=C1v1+C2v2C1+C2,U前−U後=C1C22(C1+C2)(v1−v2)2≥0V_f=\frac{C_1v_1+C_2v_2}{C_1+C_2}, \qquad U_{\text{前}}-U_{\text{後}}=\frac{C_1C_2}{2(C_1+C_2)}(v_1-v_2)^2\ge 0

上式は、前のエネルギー ½C₁v₁² + ½C₂v₂² から後の ½(C₁+C₂)Vf² を引き、通分・展開すると得られます。v₁ ≠ v₂ なら静電エネルギーは減少し、同電圧なら変化しません。接続時には小さくても抵抗があり、十分時間がたって電流が止まると仮定します。減少分はジュール熱や電磁波の放射などに移ります。

例題1(同極性の接続)

容量 2.02.0 μF で 100 V に充電したコンデンサー A と、容量 3.03.0 μF で 50 V に充電したコンデンサー B を、電池を外して A の+極と B の+極を節点 a、−極どうしを節点 b として並列接続する。十分時間がたった後について求め、電圧の符号は a − b とする。(1) 共通の電圧、(2) 接続前後のエネルギーとその差を求めよ。

解答・解説

(1) QA=2.0×10−6×100=2.0×10−4Q_A = 2.0\times10^{-6}\times100 = 2.0\times10^{-4} C、QB=3.0×10−6×50=1.5×10−4Q_B = 3.0\times10^{-6}\times50 = 1.5\times10^{-4} C(同符号で加算)。V=3.5×10−45.0×10−6=70V = \dfrac{3.5\times10^{-4}}{5.0\times10^{-6}} = 70 V。(2) 前:U=12(2.0×10−6×1002)+12(3.0×10−6×502)=0.010+0.00375=1.375×10−2U = \tfrac12(2.0\times10^{-6}\times100^2) + \tfrac12(3.0\times10^{-6}\times50^2) = 0.010 + 0.00375 = 1.375\times10^{-2} J。後:U=12(5.0×10−6×702)=1.225×10−2U = \tfrac12(5.0\times10^{-6}\times70^2) = 1.225\times10^{-2} J。差 ΔU=−1.5×10−3\Delta U = -1.5\times10^{-3} J(1.5 mJ 減少、ジュール熱などになる)。検算:電荷保存   (2.0+1.5)×10−4=5.0×10−6×70=3.5×10−4\;(2.0+1.5)\times10^{-4} = 5.0\times10^{-6}\times70 = 3.5\times10^{-4} C ✓

例題2(逆極性の接続)

同じ2個のコンデンサー(A:2.0 μF・100 V、B:3.0 μF・50 V)を、電池を外して A の+極と B の−極を節点 a、残る極板どうしを節点 b として並列接続する。十分時間がたった後について求め、電圧の符号は a − b とする。(1) 共通電圧、(2) エネルギー減少を求めよ。

解答・解説

(1) 符号を付けて Q=2.0×10−4−1.5×10−4=5.0×10−5Q = 2.0\times10^{-4} - 1.5\times10^{-4} = 5.0\times10^{-5} C(A の符号が残る)。V=5.0×10−5/5.0×10−6=10V = 5.0\times10^{-5} / 5.0\times10^{-6} = 10 V。(2) 後のエネルギー 12(5.0×10−6×102)=2.5×10−4\tfrac12(5.0\times10^{-6}\times10^2) = 2.5\times10^{-4} J。減少 ΔU=2.5×10−4−1.375×10−2=−1.35×10−2\Delta U = 2.5\times10^{-4} - 1.375\times10^{-2} = -1.35\times10^{-2} J(前の約 98% が失われる)。検算:電荷保存 ✓(符号込みで (2.0−1.5)×10−4=+0.5×10−4(2.0-1.5)\times10^{-4} = +0.5\times10^{-4} C)。打ち消し合いの段階で大きなエネルギーが熱になるのがポイント。

静電エネルギーは単独では保存されませんが、熱・放射も含めた全エネルギーは保存されます。同じ静電平衡に達するなら減少量は接続抵抗の値によらず、抵抗は主に緩和時間を変えます。ただし抵抗も放射もない理想回路では、インダクタンスとの間でエネルギーが振動して平衡に達しない場合があり、「無抵抗でも必ず同じ最終状態」とは断定できません。
練習問題
  1. 未充電の容量 4 μF と 1 μF のコンデンサーを直列にする。中間導体は中性・非接地とする。合成容量を求め、さらに電池 100 V につないだとき各コンデンサーの電圧を求めよ。

    ヒント

    直列では Q が共通。Vi=Q/CiV_i = Q/C_i。

    解答・解説

    1/C=1/4+1/11/C = 1/4 + 1/1 μF⁻¹ → **0.8 μF**。Q=0.8×10−6×100=8.0×10−5Q = 0.8\times10^{-6}\times100 = 8.0\times10^{-5} C、V1=8.0×10−5/4.0×10−6=20V_1 = 8.0\times10^{-5}/4.0\times10^{-6} = 20 V、V2=80V_2 = 80 V(和は 100 V ✓)。小さい方の C に大きな電圧がかかる。

  2. 容量 2 μF・200 V に充電したコンデンサーを、未充電の 2 μF のコンデンサーに並列接続する。最終電圧とエネルギー減少を求めよ。

    ヒント

    電荷保存:初めの電荷は 2×10−6×2002\times10^{-6}\times200。

    解答・解説

    V=(2×10−6×200)/(4×10−6)=100V = (2\times10^{-6}\times200)/(4\times10^{-6}) = 100 V。前 U=0.040U = 0.040 J、後 U=0.020U = 0.020 J → **0.020 J 減少**。

  3. 容量 C1C_1 のコンデンサーを電圧 V1V_1、容量 C2C_2 のコンデンサーを電圧 V2V_2 に充電し、**逆極性**で並列接続したところ、最終電圧が 0 V になった。C1V1C_1V_1 と C2V2C_2V_2 の関係を求め、このとき失われるエネルギーの合計を C1,V1,C2,V2C_1, V_1, C_2, V_2 で表せ。

    ヒント

    符号付きで電荷保存:C1V1−C2V2=(C1+C2)×0C_1V_1 - C_2V_2 = (C_1+C_2)\times 0。

    解答・解説

    電荷保存(符号付き)より C1V1=C2V2C_1V_1 = C_2V_2。最終エネルギーは 0 なので、失われるのは初めの全エネルギー 12C1V12+12C2V22\tfrac12 C_1V_1^2 + \tfrac12 C_2V_2^2(すべて接続時のジュール熱・放射になる)。

確認クイズ

問1. 充電済みコンデンサーを同じ容量の未充電コンデンサーに並列接続した。エネルギーはどうなるか。

問2. 直列接続で各コンデンサーの電荷が等しくなる条件は?

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