光の干渉と回折
ヤングの実験と回折格子を光路差で統一的に理解し、明線・暗線の位置を導く。
- 光路差と位相差の関係(mλ で明線)を説明できる
- ヤングの実験の干渉縞の間隔 Δx = λL/d を導き、計算できる
- 回折格子の明線条件とスペクトルの分散を扱える
光も重ね合わせる——干渉の条件
光の電場を重ねると、同位相なら強め合い、逆位相なら弱め合います。安定した干渉には同じ振動数で位相差が一定であること(コヒーレンス)が必要です。以下は同位相で出た、同じ偏光方向の2光が一様な媒質を進む場合で、λ はその媒質中の波長、δ は幾何学的な経路差です。媒質が異なる場合は屈折率 × 距離で測る光学的な光路長と真空波長を使います。反射で位相が変わる場合も別途考慮が必要です。完全に打ち消すには振幅も等しい必要があります。
| 光路差 | 合成のようす | スクリーン上では |
|---|---|---|
| (m = 0, 1, 2, …) | 同位相で強め合う | **明線** |
| 逆位相で弱め合う | **暗線** |
ヤングの実験
1つの光源から出した光を近接した2つのスリットに当てると、2つのスリットは互いにコヒーレント(位相のそろった)光源になります。スクリーン上の各点までの光路差は、スリット間隔 d、スクリーンまでの距離 L そして画面上の位置 x を使ってほぼ d·x/L と書けます。これが mλ に等しいところに明線が並び、等間隔のしま模様(干渉縞)が観察されます。
🔍 干渉縞の間隔 Δx = λL/d の導出
- Step 1: 光路差を幾何で表す
L ≫ d に加えて中央付近 |x| ≪ L を考える。角度 θ が小さいので sinθ ≈ tanθ = x/L と近似できる。L ≫ d だけでは画面の端までこの近似を使えない。
- Step 2: 明線の条件を代入
中央(m = 0)の明線から、λL/d おきに明線が並びます。
- Step 3: 隣り合う明線の間隔をとる
- Step 4: 式の読み方
赤い光(λ 大)ほど縞は広がり、スリットを離すほど狭くなる。この比例関係が実験の設計指針そのものです。白い光では波長ごとに縞の幅が違い、中央だけ白く両側に虹色の縞が現れます。
回折格子
無数のスリットを等間隔にならべたものが回折格子です。隣り合うスリットからの光の光路差が d·sinθ なので、これが波長の整数倍になる角度で鋭い明線が現れます。スリット数が多いほど明線は細くシャープになり、波長ごとに明線の角度が変わるため白色光はスペクトルに分解されます。プリズムの分散とは仕組みがまったく違います(プリズムは屈折率の波長依存、回折格子は干渉)。
波長 600 nm の光をスリット間隔 0.20 mm、スクリーンまでの距離 1.0 m のヤングの装置に入れた。中央付近の干渉縞の間隔を求めよ。また、1 mm に 500 本の刻線をもつ回折格子に同じ光を垂直入射したとき、1次の明線の角度を求めよ。
解答・解説
ヤング: m = **3.0 mm**。回折格子: より **17.5°**
ヤングの実験で、スリット間隔 d を 2 倍にし、波長 λ を半分にした。干渉縞の間隔はどうなるか。
解答・解説
より **1/4 倍**。
空気中の薄い石けん膜が白い光を受けて色むらに見えるのは、干渉・回折・分散のどれか。膜の厚さが場所によって変わることと色の関係を説明せよ。
解答・解説
**薄膜干渉**。膜の屈折率を n、厚さを t とすると、ほぼ垂直入射で表面と裏面からの反射光の光学的な光路差は約 2nt。空気から膜への表面反射では位相が π 変わり、膜から空気への裏面反射では変わりません。この位相差も含めて強め合う真空波長が厚さごとに変わるため、色むらが生じます。
1 mm あたり 200 本の線をもつ回折格子に波長 500 nm の光を垂直に入れた。1次の明線の方向の sinθ を求めよ。
ヒント
d = 1/200 mm
解答・解説
m、 **0.10**。
問1. ヤングの実験で2つのスリットを使う一番の理由は何か。
問2. 同位相で出る2光のヤングの干渉縞で、暗線の経路差はいくらか(λ は媒質中の波長、m は整数)。
問3. 同じ回折格子で青い光(λ 小)と赤い光(λ 大)の1次の明線を比べると?