音の共鳴と気柱の振動
開管・閉管の共鳴条件を定在波から導き、共鳴管実験による音速測定を習得する。
- 開管・閉管の共鳴条件を定在波の節と腹で説明できる
- 共鳴管実験の原理を理解し、音速を計算できる
- 気柱の固有振動数(倍音構成)を求められる
なぜ特定の音だけが大きくなるのか
気柱の音は端で反射して往復します。往復してきた振動と新しく加わる振動のタイミングが合うと、繰り返しエネルギーを受け取れます。ブランコを同じタイミングで押すと振れが大きくなるのと同じで、これが共鳴の直感です。実際には音が外へ逃げるなどの損失があるので振幅は無限大にはなりません。
閉端では空気が壁を通り抜けられないので変位は節です。開口は外気とつながり圧力変化が小さいため圧力の節となり、変位は腹になります。「どの量の節か」を先に決めれば、同じ場所が節と腹の両方と呼ばれる混乱を防げます。
L は実際の管長、a は開口1個の補正長です。両端の開口が同じなら開管には 2a を足します。このモデルは一様で波長に比べ十分細い管、小振幅の音を想定し、a の振動数依存などを無視します。条件が違う実際の管へそのまま厳密式として当てはめないようにします。
振動数 500 Hz の音に対する一端閉管の最短共鳴長が 0.160 m、次の共鳴長が 0.500 m という架空データがある。同じ開口補正 a を仮定して、音速と a を求めよ。
解答・解説
差は 0.340 m = λ/2 なので λ = 0.680 m、v = 500×0.680 = 340 m/s。最短共鳴は L₁+a = λ/4 = 0.170 m より a = 0.010 m。最短長だけで補正を無視すると v = 320 m/s となり、過小評価する。
長さ 0.50 m の管について音速を 340 m/s、開口1個あたりの補正を 0.010 m とする。一端閉の場合と両端開の場合の基本振動数を求めよ。
解答・解説
一端閉は有効長 0.51 m、f = 340/(4×0.51) ≈ 167 Hz。両端開は有効長 0.52 m、f = 340/(2×0.52) ≈ 327 Hz。比は約 1.96。厳密に2倍になるのは開口補正を無視した同じ長さの場合。
データの差でも誤差がすべて消えるわけではない
二つの共鳴長の差を取ると共通の開口補正は消えますが、各長さの読み取り誤差までは消えません。連続する共鳴位置かどうかも重要です。一つ飛ばして差を取った場合は差が1波長になるため、機械的に2倍すると音速を2倍に誤ります。ここでは与えられたデータの読解だけを行います。
補正を無視できる一端閉管の基本振動数が 200 Hz。次の二つの固有振動数を求めよ。
解答・解説
600 Hz と 1000 Hz。閉端の節と開端の腹を満たすには基本振動の3倍、5倍となる。400 Hz は含まれない。
同一音源 400 Hz に対する連続する一端閉管の共鳴長が 0.20 m と 0.62 m だった。同じ補正を仮定して音速は。
解答・解説
λ = 2(0.62−0.20) = 0.84 m。v = 400×0.84 = 336 m/s。差を取ると共通の補正だけが消える。
補正を無視した長さ 0.85 m の開管の基本振動数を求めよ。音速は 340 m/s。その一端を閉じるとどうなるか。
解答・解説
開管は 340/(2×0.85) = 200 Hz。一端閉では 340/(4×0.85) = 100 Hz。許される基本波長が 2L から 4L へ伸びるため半分になる。
気柱も弦と同じ定在波で振動する
管の中の空気(気柱)も境界条件を満たす定在波をつくります。以下の節・腹は空気の変位についてのものです。開口端付近は腹、閉端は節。圧力変化では逆に開口端が節、閉端が腹です。表・導出・特記のない問題では開口端補正を無視します。補正する場合は物理的な管長に、開口1つあたり補正長 a を加えた有効長を使います。
| 管の種類 | 口の条件 | 共鳴条件 | 基本振動数 |
|---|---|---|---|
| 開管(両端開) | 両端とも腹 | (n = 1, 2, …) | |
| 閉管(一端閉) | 開口が腹・底が節 | (n = 1, 2, …) |
🔍 閉管の共鳴条件 L = (2n−1)λ/4 の導出
- Step 1: 境界条件を置く
腹は変位が最大、節は常に変位 0。空気は閉まった底では動けないので必ず節になります。
- Step 2: 腹と節の間隔は λ/4
定在波の節と節は λ/2 ごとに現れ、そのちょうど真ん中に腹があります。だから腹→節はその半分の λ/4。
- Step 3: 開口(腹)から閉端(節)まで何個分入るか数える
腹で始まり節で終わるには、λ/4 を奇数個並べるしかありません。偶数個だと末端が腹になり、条件と矛盾します。
- Step 4: 振動数に書き換える
理想的な一端閉・一端開の一様な管では、基本振動の 1, 3, 5, … 倍の奇数倍音のみが固有振動になります。クラリネットは近い性質を示しますが、実際の楽器は形やリードの作用などによって理想的な閉管とは異なります。
共鳴管実験で音速を測る
音叉を管の口にかざして水位を下げると、共鳴する長さで音が大きくなります。最短の共鳴長 L₁ なら 。補正 a を無視するときだけ v = 4fL₁ とできます。a は開口の形状などに依存し、縁に大きなつばのない細い円管では半径 r の約 0.6 倍が目安です。同じ音叉・同じ開口で連続する共鳴長の差をとれば、a を一定とみなして と求められます。
振動数 512 Hz の音叉を用いて共鳴管の実験をしたところ、連続する2つの共鳴位置の空気柱の長さは L₁ = 16.0 cm、L₂ = 49.4 cm だった。音速を求めよ。
解答・解説
より cm。 **342 m/s**
長さ 0.34 m の閉管が基本振動で共鳴している。音速を 340 m/s として、この音の波長と振動数を求めよ。
ヒント
閉管の基本振動は L = λ/4
解答・解説
m、 **250 Hz**。
同じ長さ 0.34 m の開管の基本振動数は上の閉管の何倍か。また理由を定在波の腹と節で説明せよ。
解答・解説
**2 倍**(250 Hz → 500 Hz)。開管は L = λ/2 なので波長が半分になり、振動数は 2 倍になる。腹が両端に来られるぶん「詰め込める」波長が短くなるため。
1 秒間に 4 回のうなり(うなりの振動数 4 Hz)が聞こえる2本の開管 A、B がある。A の長さを少し縮めるとうなりの振動数が減った。B の振動数との大小関係を述べよ。
ヒント
開管は f ∝ 1/L
解答・解説
管を縮めると A の f は上がる。うなりの振動数が減る=2つの f が近づくのだから、元々は **f_A < f_B** だったことが分かる。
問1. 閉管の開口端と閉端は、空気の変位の定在波ではそれぞれ何に相当するか(開口端補正を無視)。
問2. 閉管の共鳴に使える波長として正しい組はどれか(L は管長、開口端補正を無視)。
問3. 共鳴管実験で音速を求めるとき、連続する2つの共鳴位置の差を利用するのはなぜか。