波の伝わり方と重ね合わせ

波長・周期・速さの関係、重ね合わせの原理と定在波を学ぶ。

この単元の目標
  • v = fλ の関係を使いこなせる
  • 重ね合わせの原理で定在波・干渉を説明できる
📑 目次
  1. 波形の写真と、一点の振動記録を分ける
  2. 波の基本式
  3. 重ね合わせの原理
  4. 定在波
  5. 小ネタ: 振り子は等時性のハードウェア

波形の写真と、一点の振動記録を分ける

ロープの隣同士の部分が互いに力を及ぼすので、ある点の変位が少し遅れて隣へ伝わります。スタンドの観客が順番に立つ「ウェーブ」のように、各人が走らなくても山は移動します。この遅れを位置ごとに並べたものが波形です。

ある瞬間の写真で横軸が位置 x なら、隣の山までの間隔は波長 λ。一点を動画で追い横軸を時刻 t にした記録なら、山から次の山までの間隔は周期 T です。同じ正弦曲線でも横軸の単位 m と s を確認しないと、波長と周期を取り違えます。

y(x,t)=Asin⁡[2π(tT−xλ)],∣Δϕ∣=2π∣Δx∣λy(x,t)=A\sin\left[2\pi\left(\frac{t}{T}-\frac{x}{\lambda}\right)\right],\qquad |\Delta\phi|=\frac{2\pi|\Delta x|}{\lambda}

上の式は x の正方向へ進む正弦波です。同じ山を追うには括弧内を一定にするため、時刻が増えた分だけ x も増えます。位相差の式は同時刻の二点のずれの大きさを表します。Δx = x₂−x₁ として括弧内の位相を順に引けば、符号付きの差は Δφ = −2πΔx/λ です。ここでは位相を 2π で折り返さず比較しています。1波長なら 2π、半波長なら π ずれるので、半波長離れた点の変位は逆符号です。

変位が一瞬 0 である点すべてが「節」ではありません。節はいつでも変位 0 の固定された位置です。また反射で、固定端は変位が反転し、自由端は反転しません。反射しても同じ弦なら波の速さの大きさと振動数は変わりません。
例題:波形を時間だけ進める

波長 0.80 m、周期 0.20 s の正弦波が右に進む。波の速さと、0.050 s 後の山の移動距離を求めよ。

解答・解説

v = λ/T = 0.80/0.20 = 4.0 m/s。山は 4.0×0.050 = 0.20 m 右へ移動する。これは1/4周期で1/4波長だけ進むことにも対応する。媒質の粒子が右へ 0.20 m 運ばれるという意味ではない。

例題:3倍音の節を数える

両端固定、長さ 1.2 m の弦に腹が3個ある定在波ができた。波の速さ 120 m/s として波長、振動数、節の位置を求めよ。

解答・解説

腹1個につき半波長なので 1.2 = 3λ/2、λ = 0.80 m。f = 120/0.80 = 150 Hz。節間は λ/2 = 0.40 m なので、左端から 0、0.40、0.80、1.2 m に節がある。基本振動の3倍の振動数で、3倍音(第3次の固有振動、第2上音)。上音は基本振動を除いて数えるので、倍音の倍率とは番号が異なる。

波が打ち消された後はどうなるか

線形な弦で正負の波が一時的に重なると変位は小さくなりますが、波がそこで消滅するわけではありません。通り過ぎればそれぞれの形で進みます。変位の和だけを見てエネルギーまで 0 と決めないことが大切です。変位が 0 でも媒質が動いて運動エネルギーをもつ場合があります。

練習:位置・時刻・重ね合わせ
  1. 振動数 5.0 Hz、波長 0.60 m の波の周期と速さを求めよ。

    解答・解説

    T = 1/f = 0.20 s、v = fλ = 3.0 m/s。時間の間隔と空間の間隔を別々に整理する。

  2. ある点で二つの横波の変位が +3.0 mm と −5.0 mm。重ね合わせが成り立つとき合成変位は。

    解答・解説

    3.0−5.0 = −2.0 mm。振幅の絶対値でなく、その時刻・位置の符号つき変位を足す。

  3. 定在波の隣り合う節が 0.15 m 離れている。波長と、節から最寄りの腹までの距離は。

    解答・解説

    節間は λ/2 なので λ = 0.30 m。最寄りの腹までは λ/4 = 0.075 m。

波の基本式

v=fλ=λTv = f\lambda = \frac{\lambda}{T}

🔍 v = fλ の導出——「1周期で1波長進む」だけ

  1. Step 1: 波の1周期に注目する
    時間 T(1周期)のあいだに、波は 1波長分(λ) 進む\text{時間 } T \text{(1周期)のあいだに、波は } 1\text{波長分}(\lambda)\text{ 進む}

    山が1つ隣の山の場所へ移動するのにかかる時間が T。進んだ距離は λ。

  2. Step 2: 速さ=距離÷時間
    v=λTv = \frac{\lambda}{T}
  3. Step 3: 周期と振動数の関係を代入
    f=1T⇒v=fλf = \frac{1}{T} \quad\Rightarrow\quad v = f\lambda

    この式は媒質が決める v と源が決める f をつなぐ橋。屈折では v が変わるので λ が変わり、f は不変——ここを逆に覚えると全て崩れます。

波では振動の状態が伝わります。弦や音の波では媒質の各部分は平衡位置の近くで振動し、波と一緒に遠くへ運ばれるわけではありません。横波は振動が進行方向に垂直(弦など)、縦波は平行(空気中の音など)。光は電場と磁場が振動する横波で、媒質がなくても真空を伝わります。

重ね合わせの原理

線形な範囲(通常は振幅が十分小さい場合)では、複数の波が重なる点の変位は各波の変位の和です。位相の関係によって強め合いや弱め合いが生じます。同振動数・同振幅で逆向きに進む波は定在波をつくり、近い振動数の2音はうなりを生じます。

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プレイグラウンド: 波長を変えて干渉・うなりのような合成波形を観察しよう

定在波

  • 同振幅・同波長で逆向きに進む波の合成で生じる
  • 腹: 振幅が最大の点/節: いつも変位 0 の点
  • 隣り合う節間の距離は λ/2
  • 両端固定の弦:L=nλ2L = n\dfrac{\lambda}{2}(n = 1, 2, …)
例題

長さ 0.6 m の両端固定の弦に、基本振動が生じた。波の速さが 240 m/s のとき基本振動数を求めよ。

解答・解説

λ=2L=1.2\lambda = 2L = 1.2 m、f=v/λ=240/1.2=200f = v/\lambda = 240/1.2 = 200 Hz

小ネタ: 振り子は等時性のハードウェア

理論上の周期 T = 2π√(L/g) ≈ 2.01 秒(再生は約 1/3 速度のスローモーション)

振り子の周期は長さだけで決まり、おもりの重さや振れの大きさ(小さいうち)によらない——ガリレオが見つけた等時性です。

長さを変えると周期 T = 2π√(L/g) が変わる——振動数 f の観点でも眺めてみよう
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