直流回路と電力——電荷とエネルギーの収支
オームの法則・直列と並列・ジュール熱を、保存する量の違いから理解する。
- 直列・並列回路の合成抵抗と電流を求められる
- 電力と電力量を区別し、J と kWh を換算できる
- 電流は消費されず、電気エネルギーが熱などに変わると説明できる
電流・電圧・抵抗
電流 I は導線の断面を単位時間に通過する電気量です。電流の向きは正電荷が動く向きと定め、金属中の電子の移動方向とは逆になります。電圧 V は電位の差で、1 C の電荷が移動する際のエネルギーの変化に関係し、1 V = 1 J/C です。抵抗では電気エネルギーが熱に変わりますが、電荷や電流が途中で使い減りするわけではありません。
一様な導線の抵抗は、材質・温度で決まる抵抗率 ρ、長さ l、断面積 S を使って表せます。同じ材質・温度・太さなら長いほど抵抗が大きく、同じ長さなら太いほど小さくなります。
直列では同じ電流、並列では同じ電圧
| 接続 | 共通の量 | 足し合わせる量 | 合成抵抗 |
|---|---|---|---|
| 直列(枝分かれなし) | I = I₁ = I₂ | V = V₁ + V₂ | |
| 並列(同じ二点の間に接続) | V = V₁ = V₂ | I = I₁ + I₂ |
🔍 並列の合成抵抗はなぜ小さくなる?
- 各枝には同じ電圧がかかる
- 分岐点で電荷がたまらないため、電流を足す
- 回路全体の V/I が合成抵抗
正の抵抗なら合成抵抗は小さい方の抵抗よりさらに小さい。同じ電圧で電流の通り道が増えるためです。
6.0 Ω と 3.0 Ω の抵抗を、6.0 V の理想電源につなぐ。直列の場合の電流と各抵抗の電圧、並列の場合の各枝の電流と全電流を求めよ。
解答・解説
直列:合成抵抗は 9.0 Ω なので **2/3 A(約0.67 A)**。電圧は **4.0 V**、 **2.0 V**。並列:各枝は6.0 Vなので **1.0 A と2.0 A**、全電流は **3.0 A**。合成抵抗 **2.0 Ω** はどちらの抵抗よりも小さい。
電力は「1秒あたり」、電力量は「合計」
電力 P は1秒間に変換される電気エネルギーで、単位は W(ワット)です。一定の電力 P で時間 t 使った電力量は E = Pt。抵抗で電気エネルギーがすべて熱に変わる場合、その発熱量(ジュール熱)Q は E に等しくなります。モーターなどで機械的仕事にも変わる場合、電力量のすべてが熱になるとは限りません。
100 V で500 Wを消費する電熱器を2.0分使った。電流、使用時の抵抗、電力量(J と kWh)を求めよ。発生した熱の80%が0.50 kgの水に伝わると、温度は何 K 上がるか。水の比熱は J/(kg·K)、状態変化はない。
解答・解説
**5.0 A**、 **20 Ω**。 **6.0×10⁴ J**。kWh では **0.0167 kWh**。水が受け取る熱は J。 より **23 K**(温度差では23 ℃と同じ)。
同じ材質・温度の導線で、長さを2倍、直径を2倍にした。抵抗はもとの何倍か。
解答・解説
断面積は直径の2乗に比例して4倍。 より **1/2倍**。太さを直径で与えられたときは、そのまま S の比にしない。
12 V の理想電源に4.0 Ωと12 Ωの抵抗を並列につなぐ。合成抵抗、全電流、各抵抗の電力を求めよ。
解答・解説
**3.0 Ω**、 **4.0 A**。電力は **36 W** と **12 W**。和48 Wは電源の電力 Wと一致する。
消費電力1.2 kWの器具を15分使った。電力量をkWhとJで求めよ。電力量1 kWhあたり30円とし、この使用分の電力量料金を求めよ(他の料金は考えない)。
解答・解説
**0.30 kWh**、 **1.08×10⁶ J**。料金は **9円**。
問1. 一定の電圧をかけた抵抗の値を2倍にすると、消費電力は?
問2. 抵抗を通過すると電流はどうなるか(定常な直流・途中に分岐なし)?