周期表と原子の構造

電子配置から族・周期を読み取り、周期律やイオン化エネルギーの傾向を「なぜ」まで説明する。

この単元の目標
  • 電子配置(K・L・M殻)を書き、そこから族と周期を決められる
  • 族ごとの典型的な性質(アルカリ金属・ハロゲン・希ガス)を電子配置で説明できる
  • イオン化エネルギーの周期的な変化とその理由を説明できる
📑 目次
  1. 原子の構造と電子配置
  2. 周期律と族ごとの性質
  3. イオン化エネルギーの傾向
  4. 練習問題

原子の構造と電子配置

原子核は陽子と中性子からなり(通常の水素原子核は陽子 1 個のみ)、その周囲に電子が分布します。中性の原子では 原子番号=陽子数=電子数 です。K 殻は最大 2 個、L 殻は最大 8 個、M 殻は最大 18 個を収容します。ただし、電子は単に内側の殻を満員にしてから次へ入るわけではなく、エネルギーの低い状態から入ります。例えば K(原子番号 19)は 2・8・8・1 です。典型元素では最外殻電子が結合やイオン形成に深く関わりますが、高校の扱いでは希ガスの価電子数を 0 とし、最外殻電子数と区別します。

殻最大電子数電子配置の例
K殻(1番目)2H は K殻に 1 個
L殻(2番目)8C(6個)は 2・4、Ne(10個)は 2・8
M殻(3番目)18Na(11個)は 2・8・1、Cl(17個)は 2・8・7
  • 族(縦の列)と最外殻電子数: 典型元素では 1・2 族は族番号と同数、13〜18 族は族番号から 10 を引いた数。ただし He は 18 族で電子 2 個。遷移元素にこの規則はそのまま使えない
  • 周期(横の列)=殻の数: 電子の入っている殻が 3 個なら第 3 周期
  • 18 族の希ガスは安定な閉殻配置(He は最外殻 2 個、Ne・Ar などは 8 個)で反応しにくい。Ar の M 殻は 8 個だが、M 殻の最大収容数 18 個とは異なる
中性の原子では 原子番号=陽子数=電子数\text{中性の原子では }\quad \text{原子番号} = \text{陽子数} = \text{電子数}

周期律と族ごとの性質

典型元素では同じ族の元素の価電子の数が共通し、化学的性質が似ます。原子番号の順に性質が周期的に変化することを周期律といいます。1 族のうち水素を除くアルカリ金属は最外殻電子を 1 個失いやすく、+1 の陽イオンになります。17 族のハロゲンは電子を 1 個受け取ると希ガスと同じ配置になり、−1 の陰イオンになりやすい元素です。典型元素の金属性はおおむね左下ほど強く、希ガスを除く非金属性は右上ほど強い傾向があります。

族例性質の傾向
1 族 アルカリ金属Li・Na・K軟らかい金属。水と激しく反応して H₂ を発生し、+1 のイオンになりやすい
17 族 ハロゲンF・Cl・Br・I反応性が高く、電子を受け取って −1 のイオンになりやすい
18 族 希ガスHe・Ne・Ar安定な電子配置で単原子の気体として存在。通常は反応しにくいが、Xe などには化合物もある
2 族元素Mg・Ca・Ba+2 のイオンになりやすい。高校では通常 Be・Mg を除いてアルカリ土類金属と呼ぶ。Ca は橙赤色、Ba は黄緑色の炎色反応を示すが、Mg は示さない

イオン化エネルギーの傾向

第一イオン化エネルギーは、気体状態の孤立した原子から電子 1 個を取り去るのに必要な最小のエネルギーです。典型元素では同じ周期の左から右へ全体として大きくなる傾向があります。核の正電荷が増え、外側の電子が受ける実効的な引力が強くなるためです。ただし電子の入り方の違いにより Be と B、N と O などで逆転があり、単調増加ではありません。同じ族では一般に下の元素ほど小さくなります。最外殻電子が核から遠く、内側の電子による遮へいも大きくなるためです。

イオン化エネルギーの大小は「電子を失いやすさ」の指標です。小さい=陽イオンになりやすい(金属的)、大きい=電子を放さない(非金属的・安定)と読み替えて覚えましょう。
例題

ナトリウム Na(原子番号 11)について、電子配置・族・周期、および安定なイオンの記号を示せ。

解答・解説

電子配置は **2・8・1**。殻は 3 個なので**第 3 周期**、最外殻電子は 1 個なので **1 族**。最外殻の 1 個を失うと 2・8 の安定な配置になるため、**Na⁺** になりやすい。

練習問題

練習問題
  1. 塩素 Cl(原子番号 17)の電子配置を書き、族と周期を答えよ。また、安定なイオンの記号を示せ。

    ヒント

    17 個の電子を K・L・M 殻の順に入れる。

    解答・解説

    電子配置は **2・8・7**。最外殻電子 7 個で **17 族**、殻 3 個で**第 3 周期**。電子を 1 個受け取ると 2・8・8 になるので **Cl⁻** になりやすい。

  2. 同じ 1 族でも、Li より K のほうがイオン化エネルギーが小さい。その理由を電子の位置に着目して説明せよ。

    解答・解説

    K は Li より周期が下で、最外殻電子が**より遠い殻**に入っている。核からの引力は距離とともに弱まるうえ、内側の電子による**遮へい**が大きくなるため、電子を取り去るのに少ないエネルギーですむ。

  3. 希ガスが単原子の分子として存在し、化合物をつくりにくい理由を、最外殻電子に着目して説明せよ。

    解答・解説

    He の最外殻は 2 個、Ne・Ar などは **8 個の安定な閉殻配置**で、電子を出し入れしにくいから。ただし 8 個がすべての電子殻の最大収容数という意味ではない。

確認クイズ

問1. 典型元素(He を除く)の族番号と規則的に対応するのはどれか。

問2. 同じ周期の典型元素を左から右へ見ると、第一イオン化エネルギーの全体的な傾向はどうなるか。

問3. アルカリ金属が +1 の陽イオンになりやすい理由はどれか。

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