民主政治と市場経済のしくみ

選挙・議会制度と、価格メカニズム・政府の役割を理解する。

この単元の目標
  • 多数決と基本的人権の保障の関係を説明できる
  • 需要・供給による価格調整、市場の失敗、再分配を区別できる
📑 目次
  1. 民主政治の基本
  2. 価格メカニズムとその前提
  3. 市場の失敗と政府の役割

民主政治の基本

  • 多数決原理の限界を補う仕組み:少数者の尊重、ルールによる保障
  • 間接民主制: 国民が代表者を選び、国会が法律を制定する
  • 地方自治は住民に身近な行政を担う「民主主義の学校」
例題:多数決だけで決めてよいか

学校の話合いで「少数意見の人は今後発言できない」という案が多数の支持を集めた。民主的な決定といえるだろうか。

解答・解説

多数決という形式だけでは民主的とはいえない。自由な討論と少数意見を述べる機会があってこそ、多数決の結果を検討し直せる。国の政治でも多数派の決定には憲法・基本的人権による限界があり、少数者の権利を保障する必要がある。

価格メカニズムとその前提

需要量は買いたい量、供給量は売りたい量です。他の条件が同じなら、価格が上がると需要量は減り、供給量は増える傾向があります。需要量と供給量が一致する価格が均衡価格です。例えば不作で野菜の供給が減ると、同じ価格では品不足が生じ、価格は上がる方向に動きます。ただし独占、取引相手との情報格差、取引外の人への影響などがあると、価格だけでは資源を効率よく配分できません。

市場の失敗と政府の役割

市場の失敗政府の対応
独占(競争の欠如)独占禁止法による規制
外部不経済(公害)環境規制・税
公共財の供給不足国防・街路灯などを公的に供給する
情報の非対称性商品の表示義務・消費者保護制度

公共財は、利用者を排除しにくい(非排除性)、一人が使っても他の人の利用を減らしにくい(非競合性)という性質をもち、ただ乗りが生じやすいため市場では十分供給されにくい財です。道路は料金徴収や混雑がある場合、この二つの性質を完全には満たしません。また、所得格差への対応は主に公平性のための再分配であり、効率性の問題である市場の失敗とは区別します。政府は累進課税や社会保障なども担います。

例題:外部不経済はなぜ生じるか

工場が製品を安く作る一方、排煙で近隣住民に健康被害を与え、その損害を工場が負担していない。価格に何が反映されていないか。

解答・解説

住民に生じた被害という社会的費用が反映されていない。工場と購入者以外への不利益なので外部不経済であり、放置すると社会的に望ましい量より生産が多くなりうる。排出規制や環境税は、その費用を意思決定に反映させる手段となる。

練習問題:仕組みを区別しよう
  1. 他の条件が一定で、ある商品の人気が上がり各価格での需要量が増えた。均衡価格はどちらへ動くか。

    解答・解説

    供給曲線が変わらず右上がりなら、均衡価格は上がる。元の価格では需要超過になり、価格上昇に伴って供給量が増え、新しい均衡に向かう。

  2. 街路灯が民間の料金徴収だけでは十分に供給されにくい理由を、ただ乗りという語を使って説明せよ。

    解答・解説

    料金を払わない通行人も明かりを利用でき、ただ乗りを排除しにくい。費用を回収しにくいため、社会的に必要な量が供給されないおそれがある。

  3. 公害防止の環境規制と、低所得世帯への給付では、主な政策目的はどう違うか。

    解答・解説

    環境規制は外部不経済という市場の失敗を補い、社会的費用を反映させる目的がある。低所得世帯への給付は所得再分配を通じて公平性や生活保障を高める目的が中心である。

「市場に任せればすべてうまくいく」わけではなく、「市場の失敗」があるから政府が介入します。逆に政府の介入も失敗しうる(政府の失敗)。両方を見る視点が重要です。
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