シュレーディンガー方程式と確率解釈

状態は波動関数 ψ で表され、|ψ|² が位置の確率密度になる。

この単元の目標
  • 波動関数の確率解釈(ボルンの規則)を説明できる
  • 一次元箱の中の粒子のエネルギー準位を求められる
📑 目次
  1. 状態は複素数の波
  2. 一次元の無限深い井戸(箱の中の粒子)
  3. 不確定性関係

状態は複素数の波

iℏ∂Ψ∂t=[−ℏ22m∇2+V]Ψi\hbar \frac{\partial \Psi}{\partial t} = \left[ -\frac{\hbar^2}{2m}\nabla^2 + V \right] \Psi

Ψ(x,t)\Psi(x,t) 自体は観測できない複素数。$|\Psi|^2$ が粒子を位置 $x$ で見つける確率密度になります(ボルンの規則)。全空間で積分すると 1(どこかにいる)という規格化条件を課します。

一次元の無限深い井戸(箱の中の粒子)

非相対論的な質量 mm の粒子に対して、0<x<L0<x<L では V=0V=0、外側では無限大という理想化をします。壁で波動関数はゼロです。以下の Ψn(x)\Psi_n(x) は定常状態の空間部分で、時間依存性は e−iEnt/ℏe^{-iE_nt/\hbar}。一般の状態はこれらの重ね合わせであり、エネルギー固有値が飛び飛びになります:

Ψn(x)=2Lsin⁡nπxL,En=n2π2ℏ22mL2(n=1,2,3,… )\Psi_n(x) = \sqrt{\frac{2}{L}} \sin\frac{n\pi x}{L}, \qquad E_n = \frac{n^2 \pi^2 \hbar^2}{2mL^2} \quad (n = 1, 2, 3, \dots)
例題

箱を狭くすると(LL を半分に)基底状態のエネルギーはどうなるか。

解答・解説

E1∝1/L2E_1 \propto 1/L^2 なので **4 倍**。閉じ込めるほど運動量のゆらぎが大きくなるため(不確定性関係の帰結)。

不確定性関係

Δx Δp≥ℏ2\Delta x \, \Delta p \ge \frac{\hbar}{2}

ここで Δx=⟨x2⟩−⟨x⟩2\Delta x=\sqrt{\langle x^2\rangle-\langle x\rangle^2}、Δp=⟨p2⟩−⟨p⟩2\Delta p=\sqrt{\langle p^2\rangle-\langle p\rangle^2} は、同じ量子状態を多数用意して測定したときの標準偏差です。測定装置の読み取り誤差を意味しません。上の井戸のエネルギー式も非相対論的な近似なので、箱を際限なく狭めて運動エネルギーが mc2mc^2 に匹敵する領域まで外挿してはいけません。

  • これは測定技術の問題ではなく、波としての状態の性質(フーリエ解析の帰結)
  • 位置を局在させるほど運動量の広がりが増える ——水素原子が潰れない理由の説明になる
合成波(赤)= 波1(青)+ 波2(緑)

λ₁ = λ₂ で逆向きに進む 2 つの波を重ねると定在波(節と腹が動かない波)が見えます。 この図は 1 次元の変位のみを表すため、うなり(時間的な強弱)は出ません。3 次元で波を重ねた場合の強め合い・弱め合いは干渉として現れます。 媒質の各点の変位は各波の変位の和になる——これが重ね合わせの原理です。

プレイグラウンド: 波を重ね合わせると局在したパケットができる——位置と波数のトレードオフの直感
練習問題
  1. 箱の固有状態 Ψn\Psi_n で、位置の確率密度が最大になる場所は?(n=2n=2 で考える)

    解答・解説

    ∣Ψ2∣2∝sin⁡2(2πx/L)|\Psi_2|^2 \propto \sin^2(2\pi x/L) は x=L/4,3L/4x = L/4, 3L/4 で最大。中央 (x=L/2x=L/2) では**ゼロ**(節)。

  2. n=1→2n=1 \to 2 の遷移で吸収される光子のエネルギーを表せ。

    ヒント

    En=n2E1E_n = n^2 E_1

    解答・解説

    ΔE=E2−E1=3E1=3π2ℏ22mL2\Delta E = E_2 - E_1 = 3E_1 = \dfrac{3\pi^2\hbar^2}{2mL^2}

📝 メモこの端末のみに保存
メモ欄はページ読み込み後に使えるようになります。