等距離から考える作図:垂直二等分線と角の二等分線

コンパスで等しい距離をつくり、合同を根拠に作図を説明する。2点・2直線から等距離にある点の集まりを区別し、条件を重ねて位置を決める。

この単元の目標
  • 垂直二等分線と角の二等分線を定規とコンパスで作図し、円の半径と合同を使って根拠を説明できる
  • 2点からの距離と、点から直線までの距離を区別できる
  • 軌跡を説明するとき、条件を満たすことと他の点が含まれないことの両方を確認できる
  • 等距離の条件を図形に置き換え、複数の条件を満たす交点を見つけられる
📑 目次
  1. 作図は「測って近づける」ことではない
  2. 2点から等距離:垂直二等分線
  3. 垂直二等分線の作図と半径の条件
  4. 角の二等分線も等しい半径からつくる
  5. 「辺から等距離」の距離とは
  6. 条件を図形へ翻訳する

作図は「測って近づける」ことではない

ここでいう作図では、目盛を使わず直線を引く定規と、円や円弧をかくコンパスを使います。コンパスの開きを保てば、同じ長さを別の場所に移せます。分度器で角を測って半分にするのではなく、等しい長さから等しい角を導くことが目標です。以下は平面上の理想的な図形についての説明で、紙上の線の太さによる誤差は含めません。

2点から等距離:垂直二等分線

異なる2点 A、B を結ぶ線分 AB の中点を M とします。M を通り AB に垂直な直線が、AB の垂直二等分線です。この直線上の点 P は PA = PB を満たします。逆に、PA = PB を満たす点 P は必ずこの直線上にあります。このような「ある条件を満たす点すべての集まり」を軌跡といいます。

PA=PB⟺P は線分 AB の垂直二等分線上PA=PB\quad\Longleftrightarrow\quad P\text{ は線分 }AB\text{ の垂直二等分線上}

なぜ「すべての点」といえるのか

まず P が垂直二等分線上にあり P ≠ M とします。△PMA と △PMB は、PM が共通、MA = MB、∠PMA = ∠PMB = 90° なので、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しく合同です。したがって PA = PB。P = M の場合も、中点の定義から MA = MB です。

逆に PA = PB で P が直線 AB 上にないなら、△PMA と △PMB は3組の辺がそれぞれ等しく合同です。∠PMA と ∠PMB は等しく、合わせて180°なので各90°。よって PM は AB に垂直です。P が直線 AB 上にある場合、A、B の外側では近い端点と遠い端点までの距離が AB だけ異なり、内側で等距離になるのは中点 M だけです。これで条件を満たす点の取りこぼしがないと分かります。

垂直二等分線の作図と半径の条件

  1. A を中心に、AB の半分より大きい半径で円弧をかく。半分を測る必要はなく、たとえば半径 AB を使えばよい。
  2. 開きを変えず、B を中心に円弧をかく。2つの円の交点を C、D とする。交点が線分 AB の両側に現れるまで円弧を伸ばす。
  3. 直線 CD を引く。これが線分 AB の垂直二等分線となる。

C は同じ半径の2円上にあるので CA = CB、D も DA = DB です。先ほど示した逆向きの性質から、C、D はともに垂直二等分線上にあります。異なる2点を通る直線は1本なので、CD が求める直線です。「見た目が垂直だから」ではなく、等距離の性質が根拠です。

2円の半径を r とすると、2交点を得るには r > AB/2 が必要です。r = AB/2 では中点で接するだけで、r < AB/2 では交わりません。また、A 中心と B 中心で半径を変えると、交点が A、B から等距離だとはいえません。
例題1:半径を選び、等しい距離を求める

AB = 8 cm とする。半径を3 cm、4 cm、5 cm から選ぶとき、垂直二等分線を上の方法で作図できるのはどれか。また、作図した直線上の点 P について PA = 2x + 1 cm、PB = 3x − 2 cm のとき、x と PA を求めよ。

解答・解説

AB/2 = 4 cm より、2交点を得られるのは5 cmだけ。P は垂直二等分線上なので 2x + 1 = 3x − 2、したがって x = 3。PA = 7 cm、PB = 7 cm で一致する。いずれも正の長さであり、7 + 7 > 8 なので、この距離をもつ点 P は実際に存在する。

角の二等分線も等しい半径からつくる

頂点 O、辺が半直線 OA と OB の角を考え、0° < ∠AOB < 180° とします。角の内側を通り、角を等しい2つに分ける半直線が角の二等分線です。次の方法では、最初に O からの距離をそろえ、次に辺上の2点からの距離をそろえます。

  1. O を中心とする円弧をかき、半直線 OA、OB との交点をそれぞれ C、D とする。OC = OD となる。
  2. C、D をそれぞれ中心に、共通の半径 CD で円弧をかく。2交点のうち、直線 CD に関して O と反対側にある点を E とする。
  3. 半直線 OE を引く。これは角の内側を通る角の二等分線である。

C、D 中心の円の半径を CD にしたので、交点 E は C、D から等距離で、かつ O とは異なる点です。指定した側の E へ向かう半直線 OE は角の内側を通ります。△OCE と △ODE で、OC = OD、CE = DE、OE は共通。3組の辺がそれぞれ等しいので合同となり、∠COE = ∠DOE です。角を測らずに半分にできた理由は、この合同にあります。

例題2:作図でできる角と、その根拠

∠AOB = 74° に対して上の手順で C、D、E をとった。∠AOE を求め、その値が正しい理由を答えよ。

解答・解説

△OCE ≡ △ODE より ∠AOE = ∠EOB。OE は角の内側にあるので、2つの角の和は74°。したがって ∠AOE = 74° ÷ 2 = 37°。OC = OD だけではなく、CE = DE と共通な辺 OE も合同の根拠に使っている。

「辺から等距離」の距離とは

点 P から直線までの距離は、P からその直線に下ろした垂線の長さです。斜めに引いた線分の長さではありません。以下で角の辺までの距離というときは、辺を含む直線への垂線の長さを使います。角の内側の点 P から、直線 OA、OB へ下ろした垂線の足を H、K とすれば、比較する長さは PH と PK です。PA と PB を比べる問題とは異なります。

P が内角の二等分線上で P ≠ O なら、垂線の足 H、K はそれぞれ辺の半直線上にあります。直角三角形 OPH と OPK は斜辺 OP が共通で、∠HOP = ∠POK。直角三角形の「斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい」という合同条件により PH = PK です。つまり角の二等分線上の点は、両辺を含む直線から等距離にあります。

逆向きも、P を角の内側に限れば成り立ちます。PH = PK なら直角三角形 OPH と OPK は「斜辺と他の1辺がそれぞれ等しい」ので合同です。角の両側からの垂線の長さが等しいため、P は内角または隣り合う外角の二等分線を含む直線上にありますが、角の内側という条件で内角の二等分線だけが残ります。全平面で交わる2直線から等距離の点を探すなら、内角側だけでなく外角側も含めた、互いに垂直な2本の二等分線になります。

頂点 O は両直線までの距離がともに0です。ただし「角の内側」を辺も頂点も含まない意味で使う場合は O を除きます。また、有限の線分までの最短距離を考える場合、垂線の足が線分の外に出ると端点までの距離になるため、直線までの距離と同一視できません。
例題3:2つの条件を重ねて位置を決める

AB = 6 cm とする。PA = PB かつ PA = 5 cm を満たす平面上の点 P をすべて作図したい。どの図形の交点をとればよいか。点はいくつあるか。

解答・解説

PA = PB の軌跡は AB の垂直二等分線、PA = 5 cm の軌跡は A を中心とする半径5 cmの円。この直線と円の交点をとる。中点 M までの距離 AM = 3 cm が半径5 cmより小さいので交点は2つ。三平方の定理を学んでいれば、PM² = 5² − 3² = 16 より PM = 4 cm と確かめられる。M から両側に4 cmの2点で、各点の PA、PB はともに5 cmである。

条件を図形へ翻訳する

条件その条件を満たす点の集まり注意
固定した異なる2点 A、B から等距離線分 AB の垂直二等分線線分ではなく、両側へ無限に伸びる直線
角の内側で、両辺を含む直線から等距離内角の二等分線上の点(頂点を除く)距離は垂線の長さ
交わる2直線から等距離(全平面)互いに垂直な2本の角の二等分線内角側の1本だけでは不足
固定点 A から正の一定距離 r中心 A、半径 r の円周円の内部全体ではない
2つの条件を同時に満たす対応する2つの軌跡の共通部分交点がない場合、1点の場合などもある
練習:作図を理由と結びつける
  1. AB = 10 cm のとき、A、B を中心とする同じ半径の2円を使って垂直二等分線を作図する。半径5 cmでは不十分な理由と、使える半径の例を答えよ。

    解答・解説

    半径5 cmでは2円が中点で接して交点が1つしかなく、2交点を結ぶ手順を使えない。5 cmより大きい半径、たとえば6 cmなら2交点が得られる。

  2. AB の垂直二等分線上に P があり、PA = 4x − 1 cm、PB = 2x + 5 cm とする。x と PA を求めよ。

    解答・解説

    PA = PB より 4x − 1 = 2x + 5、2x = 6 なので x = 3。PA = 11 cm、PB = 11 cm となる。

  3. 角の内側の点 P がその角の二等分線上にある。両辺を含む直線へ下ろした垂線の長さが PH = 3y + 1 cm、PK = 5y − 3 cm である。y と PH を求めよ。

    解答・解説

    二等分線上では両直線から等距離なので 3y + 1 = 5y − 3。y = 2、PH = PK = 7 cm。辺上の任意の点までの斜めの長さではなく、垂線の長さだからこの性質を使える。

  4. AB = 8 cm のとき、PA = PB = 3 cm を満たす点 P は存在するか。軌跡の交わりとして説明せよ。

    解答・解説

    存在しない。PA = PB の軌跡は垂直二等分線で、A からこの直線までの最短距離は AB/2 = 4 cm。A 中心、半径3 cmの円はその直線に届かず、交点がない。

確認クイズ

問1. 線分 AB の垂直二等分線上の点 P に必ず成り立つのはどれか。

問2. 角の二等分線の作図で OC = OD、CE = DE、OE 共通をそろえた。△OCE と △ODE に使う合同条件はどれか。

問3. 点 P から直線 l までの距離として正しいのはどれか。

問4. 交わる2直線から等距離にある点を、領域を限定せず平面全体で集めるとどうなるか。

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