立体の体積と表面積——角柱・円柱・錐体・球

柱体は「底面積 × 高さ」、錐体はその 3 分の 1、球は別公式。展開図で表面積の理由を確かめ、cm³ と L の換算まで整理する。

この単元の目標
  • 角柱・円柱の体積と表面積を「底面積」「周囲」を使って求められる
  • 錐体の断面が頂点に近づくほど小さくなることを理解し、体積の 3 分の 1 の公式を使える
  • 球の体積・表面積の公式を使い分け、半球など一部分の図形にも応用できる
  • 展開図から表面積を求め、cm³・mL・L・m³ の換算を正確に行える
📑 目次
  1. 体積は「3つ目の長さ」が加わる
  2. 角柱の体積と表面積
  3. 円柱——底面が円の柱
  4. 錐体——体積は柱の 3 分の 1
  5. 球の体積と表面積
  6. 展開図から表面積を組み立てる
  7. 単位の換算——cm³ と L

体積は「3つ目の長さ」が加わる

平面図形の面積が「2つの長さの積」だったのに対し、立体の体積は3つ目の長さ(高さ・奥行き)が加わります。単位も平方センチメートル(cm²)から立方センチメートル(cm³)へ変わります。1 cm³ は「一辺 1 cm の立方体の体積」のことで、この立方体を何個分あわせられるか、が体積の意味です。

V=S底面×h(柱体:角柱・円柱)V = S_{\text{底面}} \times h \qquad \text{(柱体:角柱・円柱)}

柱体(角柱・円柱)は「同じ形の断面がどこまでも積み重なった形」なので、体積は底面積 × 高さで求まります。ただし、この形がそのまま使えるのは柱体だけです。錐体は 3 分の 1 がかかり、球はまったく別の公式になります。ここがこの単元の分かれ目です。

体積と容量は別の言葉です。 容量(容積)は容器の内側にどれだけ入るかを表します。外側の寸法で計算した体積と容量は、壁の厚さがあると一致しません。本記事の柱体は側面が底面に垂直な直柱、円錐は頂点が底面の中心の真上にある直円錐を扱います。高さは底面に垂直に測った距離です。長さは正とし、同じ単位にそろえて計算します。

角柱の体積と表面積

角柱とは、底面が多角形で、それをそのまま平行に積み上げた立体です。三角柱、四角柱、五角柱……底面の形が違っても、体積の式は同じです。表面積は「2枚の底面 + 側面のすべて」。ここで便利なのが、展開図を横に切り開く考え方です。

角柱の側面を切り開いて平らに広げると、縦が高さ h、横が底面の周囲(1周の長さ)P の長方形になります。つまり側面積はどの角柱でも P × h で一気に求められます。底面の形が五角形だろうと、面積と周囲さえわかれば式は同じ——これが「公式を丸暗記しない」ポイントです。

V=S底面 h,S表面=2S底面+Ph(P は底面の周囲)V = S_{\text{底面}} \, h, \qquad S_{\text{表面}} = 2 S_{\text{底面}} + P h \quad \text{(} P \text{ は底面の周囲)}
例題 1:五角柱

底面が正五角形の五角柱があります。底面の面積は 30 cm²、1 辺の長さは 4 cm、柱の高さは 10 cm です。この五角柱の体積と表面積を求めよ。

解答・解説

底面の周囲は 4 × 5 = 20 cm。**体積** = 30 × 10 = **300 cm³**。**表面積** = 2 × 30 + 20 × 10 = 60 + 200 = **260 cm²**。底面が何角形でも手順は同じです。

表面積の計算は「包装紙」のイメージで。側面を 1 枚の長方形(周囲 × 高さ)として扱うと足し忘れが減ります。面を 1 枚ずつ数える方法でも同じ答えになることを、下の例題で確かめましょう。
例題 2:三角柱(面を1枚ずつ数える)

底面が 3 辺の長さが 3 cm、4 cm、5 cm の直角三角形で、高さが 10 cm の三角柱があります。体積と表面積を求めよ。

解答・解説

底面積 = 3 × 4 ÷ 2 = 6 cm² なので **体積** = 6 × 10 = **60 cm³**。側面は 3 枚の長方形で 3 × 10 + 4 × 10 + 5 × 10 = 30 + 40 + 50 = 120 cm²(底面の周囲 12 cm × 高さ 10 cm と一致)。**表面積** = 120 + 6 × 2 = **132 cm²**。

円柱——底面が円の柱

円柱は底面が円の柱体です(角柱の底面は多角形なので、円柱と角柱は区別します)。底面に平行な断面がどこでも同じ円なので、体積は底面積(円の面積)× 高さ。表面積は、底面 2 枚の円と、展開図で 1 枚の長方形になる側面からなります。側面の横の長さは直径ではなく円周 2πr です。

V=πr2h,S=2πr2+2πrhV = \pi r^2 h, \qquad S = 2 \pi r^2 + 2 \pi r h
例題 3:飲み物の缶

底面の半径が 3 cm、高さが 12 cm の円柱形の缶があります。厚さやラベルの重なりは無視します。円周率は 3.14 として、(1) 体積、(2) 側面全体に貼るラベルの面積、(3) 表面積を求めよ。また (1) の答えを L(リットル)で表せ。

解答・解説

(1) V = 3.14 × 3² × 12 = 3.14 × 108 = **339.12 cm³ ≒ 0.34 L**(339.12 ÷ 1000 = 0.33912 L)。(2) ラベル=側面 = 2 × 3.14 × 3 × 12 = 3.14 × 72 = **226.08 cm²**。(3) 底面 2 枚 = 2 × 3.14 × 3² = 56.52 cm² を加えて **282.6 cm²**。

円周率の近似は「指示に従う」のが原則です。 π ≒ 3.14(小数)と π ≒ 22/7(分数)では答えの数字が変わります。3.14 は π より小さく、22/7 ≒ 3.1429 は π より大きい値です(π ≒ 3.14159…)。教科書やテストでは「円周率は 3.14 を使う」などの指定があるので、指定がなければ式のまま π を残すのが安全です。

錐体——体積は柱の 3 分の 1

角錐は底面が多角形、頂点が 1 つに集まった立体で、円錐はその底面が円になったものです。この 2 つをあわせて錐体とよびます。錐体の体積には、柱体とのきれいな関係があります。

V錐体=13×S底面×hV円錐=13πr2hV_{\text{錐体}} = \frac{1}{3} \times S_{\text{底面}} \times h \qquad V_{\text{円錐}} = \frac{1}{3} \pi r^2 h

🔍 断面の変化を調べてから、3 分の 1 の公式を使う

  1. Step 1: まず円柱と比べる
    V円柱=πr2hV_{\text{円柱}} = \pi r^2 h

    底面の半径 6 cm、高さ 12 cm の円柱を用意します(3.14 を使う)。円柱の体積は 3.14 × 36 × 12 = 1356.48 cm³。

  2. Step 2: 高さ半分の位置の断面
    π(r2)2=14πr2\pi \left(\frac{r}{2}\right)^2 = \frac{1}{4} \pi r^2

    頂点から高さ 6 cm の位置で円錐を切ると、断面の円は相似で半径が半分。面積は 2 乗比で 4 分の 1 になります(実際 3.14 × 9 = 28.26 cm² = 113.04 ÷ 4)。

  3. Step 3: 断面積は頂点からの距離で変わる
    S(x)=πr2(xh)2S(x) = \pi r^2 \left(\frac{x}{h}\right)^2

    x は頂点から底面に垂直に測った距離で、0 ≦ x ≦ h。底面に平行な断面積は「(x/h)² 倍」です。これで柱体より体積が小さい理由はわかりますが、この式だけでは 1/3 の証明は完了しません。断面を積み重ねて体積を求める厳密な計算は高校の積分などで学びます。

  4. Step 4: 円錐の体積を計算
    13×πr2h=1356.483=452.16 cm3\frac{1}{3} \times \pi r^2 h = \frac{1356.48}{3} = 452.16 \text{ cm}^3

    ここでは V = 底面積 × 高さ ÷ 3 を既知の公式として使います。容器で量を比べる実験は理解の助けになりますが、こぼれや測定誤差があり、それ自体は厳密な証明ではありません。

  5. Step 5: 角錐も同じ
    V角錐=13S底面hV_{\text{角錐}} = \frac{1}{3} S_{\text{底面}} h

    三角錐・四角錐など、底面の形によらず錐体はすべて 1/3 です。柱体の公式を覚えていれば、錐体は「それを 3 で割る」だけで済みます。

例題 4:四角錐

底面が 6 cm × 4 cm の長方形で、高さが 7 cm の四角錐の体積を求めよ。

解答・解説

底面積 = 6 × 4 = 24 cm²。V = 24 × 7 ÷ 3 = 168 ÷ 3 = **56 cm³**。

円錐の側面上で頂点と底面の円周上の点を結ぶ線分を母線といいます。直円錐では半径 r、高さ h、母線 ℓ の間に三平方の定理で r² + h² = ℓ² が成り立ちます。体積には r と h、側面積には r と ℓ を使うので、どちらが必要かを見分けましょう。

球の体積と表面積

中心からの距離が半径 r に等しい点の集まりを球面といい、その内部を含む立体が球です。球は柱体でも錐体でもないので専用の公式を用います。以下は公式同士の関係を確認する計算であり、公式そのものの証明ではありません。

V=43πr3,S=4πr2V = \frac{4}{3} \pi r^3, \qquad S = 4 \pi r^2

🔍 公式の比較:球の体積は「円柱 − 円錐」の体積に等しい

  1. Step 1: 半径 r・高さ 2r の円柱を用意する
    V円柱=πr2×2r=2πr3V_{\text{円柱}} = \pi r^2 \times 2r = 2 \pi r^3

    球はこの円柱にぴったり収まります(直径が高さと同じ 2r)。

  2. Step 2: 同じ底面・高さの円錐を引く
    V円錐=13πr2×2r=23πr3V_{\text{円錐}} = \frac{1}{3} \pi r^2 \times 2r = \frac{2}{3} \pi r^3

    比較用の円錐の体積です。円柱からこの円錐を取り除いても、残りが球の形になるわけではありません。比較しているのは体積だけです。

  3. Step 3: 差をとると球の体積になる
    2πr3−23πr3=43πr32 \pi r^3 - \frac{2}{3} \pi r^3 = \frac{4}{3} \pi r^3

    球の公式と同じ式になります。これは覚え方としての比較です。断面を使って公式を導くには、球と同じ高さでの断面積を対応させる別の議論が必要です。

  4. Step 4: 表面積の公式も比較する
    2πr×2r=4πr22 \pi r \times 2r = 4 \pi r^2

    この円柱の側面積が、ちょうど球の表面積に等しくなります。球の表面積 4πr² は「球を包む円柱のラベルの面積」です。

例題 5:球

半径 6 cm の球があります。円周率は 3.14 として、体積と表面積を求めよ。

解答・解説

**体積** V = 4/3 × 3.14 × 6³ = 4/3 × 3.14 × 216 = 3.14 × 288 = **904.32 cm³**。**表面積** S = 4 × 3.14 × 6² = 3.14 × 144 = **452.16 cm²**。検算:V = S × r ÷ 3 = 452.16 × 6 ÷ 3 = 904.32 で一致します。

半球(ボウルの形)に注意。 半球の立体としての表面積は、曲面 2πr² + 底面の円 πr² = 3πr² です。球全体の半分の面積 2πr² と混同しないこと。「底面の円を含むか」を必ず確認しましょう。

展開図から表面積を組み立てる

角柱・円柱・錐体の表面積は、切り開いて平らにした展開図の面積です。どの面も一度ずつ数え、のりしろは含めません。角錐なら底面が 1 枚と側面の三角形が複数枚です。球のように伸び縮みなしでは平らにできない曲面には、この方法は使えません。

立体展開図のつくり表面積の組み立て
角柱2 つの底面(多角形)+ 長方形の側面をつなげた 1 枚2S(底面) + (周囲 × 高さ)
円柱2 つの円 + 縦 h・横 2πr の長方形2πr² + 2πrh
角錐底面の多角形 1 枚 + 側面の三角形底面積 + 各三角形の面積の和
円錐底面の円 + 半径 ℓ・中心角 (r/ℓ) × 360° のおうぎ形πr² + πrℓ
球展開図は存在しない(曲面を平らに広げると必ずゆがむ)4πr²(公式か近似による)
例題 6:円錐の展開図

底面の半径 3 cm、母線 5 cm の円錐があります。円周率は 3.14 として、展開図のうち側面のおうぎ形の面積と中心角を求めよ。

解答・解説

おうぎ形の面積 = π × r × ℓ = 3.14 × 3 × 5 = **47.1 cm²**。中心角は「円弧の長さが合う」ことから (r/ℓ) × 360° = (3/5) × 360° = **216°**。検算:おうぎ形の円弧 = 2 × 3.14 × 5 × (216/360) = 3.14 × 6 = 18.84 cm = 底面の円周 2 × 3.14 × 3 と一致します。

ここで扱う立体のうち球には、伸び縮みや重なりなしで平らに広げられる展開図がありません。円錐の側面なら広げられます。おうぎ形の弧の長さが底面の円周 2πr なので、面積は「半径 × 弧の長さ ÷ 2」から ℓ × 2πr ÷ 2 = πrℓ。表面積にはさらに底面 πr² を足します。例題 6 では 47.1 + 28.26 = 75.36 cm² です。
例題:正四角錐の表面積と、2種類の高さ

底面が一辺 6 cm の正方形、頂点が底面の中心の真上 4 cm にある正四角錐を考える。各側面の三角形の高さは 5 cm とする。体積と表面積を求めよ。

解答・解説

体積は 36 × 4 ÷ 3 = **48 cm³**。側面の三角形は 1 枚が 6 × 5 ÷ 2 = 15 cm² で、4 枚ある。表面積は 36 + 15 × 4 = **96 cm²**。立体の高さ 4 cm と側面の三角形の高さ 5 cm は違う。三平方の定理を学んだ後なら、底面の中心から辺の中点までが 3 cm なので 3² + 4² = 5² と検算できる。

単位の換算——cm³ と L

長さの換算倍率を体積では 3 乗します。例えば cm と mm は長さで 10 倍、面積で 100 倍、体積で 1000 倍です。一方 m と cm は長さで 100 倍なので、体積では 100³ = 100 万倍。単位を変えるたびに必ず 1000 倍になるわけではありません。

換算根拠
1 mL = 1 cm³1 cm 立方の体積の別名
1 L = 1000 mL = 1000 cm³10 cm × 10 cm × 10 cm
1 m³ = 100 cm × 100 cm × 100 cm = 100 万 cm³ = 1000 L1 辺 100 cm の 3 乗
1 mm³ = 0.001 cm³1 cm = 10 mm を 3 乗
例題 7:水槽

内側の大きさが縦 40 cm、横 30 cm、高さ 25 cm の水槽があります。この水槽の容量を L と m³ で表せ。

解答・解説

40 × 30 × 25 = **30000 cm³**。30000 ÷ 1000 = **30 L**、さらに 30 ÷ 1000 = **0.03 m³**。

練習問題
  1. 底面の半径 2 cm、高さ 7 cm の円柱の体積を求めよ。円周率は 3.14 を使う。

    ヒント

    V = πr²h。

    解答・解説

    V = 3.14 × 2² × 7 = 3.14 × 28 = **87.92 cm³**

  2. 底面の半径 3 cm、高さ 4 cm、母線 5 cm の円錐があります。(1) 体積、(2) 側面積(展開図のおうぎ形の面積)を求めよ。円周率は 3.14 を使う。

    ヒント

    (1) は 1/3 πr²h、(2) は πrℓ。r² + h² = ℓ² で母線を確認できる。

    解答・解説

    (1) V = 1/3 × 3.14 × 9 × 4 = 3.14 × 12 = **37.68 cm³**。(2) 3.14 × 3 × 5 = **47.1 cm²**(3² + 4² = 25 = 5² で母線 5 cm は確かに成り立つ)

  3. 半径 3 cm の球の体積と表面積を求めよ。円周率は 3.14 を使う。

    解答・解説

    V = 4/3 × 3.14 × 27 = 3.14 × 36 = **113.04 cm³**、S = 4 × 3.14 × 9 = **113.04 cm²**。V = S × r ÷ 3 なので r = 3 のときは数値が一致します(一般には一致しない)

  4. 縦 3 cm、横 5 cm、高さ 8 cm の直方体の体積と表面積を求めよ。

    解答・解説

    V = 3 × 5 × 8 = **120 cm³**。S = 2 × (3 × 5 + 3 × 8 + 5 × 8) = 2 × (15 + 24 + 40) = 2 × 79 = **158 cm²**

  5. 内側の寸法が縦 8 cm、横 9 cm、高さ 10 cm の直方体の箱の容量は何 L ですか。

    ヒント

    まず cm³ で求めてから 1000 で割る。

    解答・解説

    8 × 9 × 10 = 720 cm³ = **0.72 L**

  6. 半径 10 cm の半球(底面の円を含む)の表面積を求めよ。円周率は 3.14 を使う。

    ヒント

    曲面 2πr² と底面 πr² を足す。

    解答・解説

    3.14 × 10² × 3 = 314 × 3 = **942 cm²**

確認クイズ

問1. 角柱の体積を求める式はどれ?

問2. 底面と高さが同じ円柱と円錐。円錐の体積は円柱の何倍?

問3. 球の半径が 2 倍になると、体積は何倍になる?

問4. 1 m³ は何 L に相当する?

問5. 円柱の展開図の側面はどんな形になる?

📝 メモこの端末のみに保存
メモ欄はページ読み込み後に使えるようになります。