確率の応用——サイコロ2個と余事象

サイコロ2個の和・積の確率を場合の数の表で整理し、「少なくとも」の問題は余事象で解き分ける技法を学ぶ。

この単元の目標
  • サイコロ2個の結果を順序付きの組として数え、全事象が36通りであることを説明できる
  • 和・積に関する事象の確率を表を使って正しく求めることができる
  • 余事象の公式を使い、「少なくとも1つ」の問題を効率的に解くことができる

サイコロ2個——場合の数は36通り

サイコロ2個を投げるとき、結果は「1個目の出目 aa、2個目の出目 bb」の順序付きの組 (a,b)(a, b) で表します。(1,2)(1, 2) と (2,1)(2, 1) は違う結果として数えるのがポイントで、こうすると全事象は 6×6=366 \times 6 = 36 通りになり、どの組も同様に確からしい(各 136\dfrac{1}{36})と言えます。和や積のような「まとまった量」に注目した確率は、表を作って場合の数を数えるのが確実です。

∣S∣=6×6=36,P((a,b))=136|S| = 6 \times 6 = 36, \qquad P((a, b)) = \dfrac{1}{36}
和23456789101112
場合の数12345654321
確率136\tfrac{1}{36}236\tfrac{2}{36}336\tfrac{3}{36}436\tfrac{4}{36}536\tfrac{5}{36}636\tfrac{6}{36}536\tfrac{5}{36}436\tfrac{4}{36}336\tfrac{3}{36}236\tfrac{2}{36}136\tfrac{1}{36}

🔍 和が7になる確率——重複なく漏れなく数える

  1. Step 1: 全事象を順序付きの組で書く
    (a,b),a,b∈{1,2,3,4,5,6}  ⟹  ∣S∣=36(a, b), \quad a, b \in \{1, 2, 3, 4, 5, 6\} \implies |S| = 36

    (1,2)(1, 2) と (2,1)(2, 1) は別の結果。順序を区別することが「同様に確からしい」を正しく使う条件です。

  2. Step 2: 和が7の組を列挙する
    a+b=7  ⟹  (1,6),(2,5),(3,4),(4,3),(5,2),(6,1)a + b = 7 \implies (1,6), (2,5), (3,4), (4,3), (5,2), (6,1)

    aa を1から順に固定すれば bb は自動的に決まるので、数え落としや重複が起きません。

  3. Step 3: 確率を計算する
    P(a+b=7)=636=16P(a + b = 7) = \dfrac{6}{36} = \dfrac{1}{6}

    場合の数の比がそのまま確率になります。

  4. Step 4: 表の山の頂点
    max⁡kP(a+b=k)=P(a+b=7)=16\max_{k} P(a + b = k) = P(a + b = 7) = \dfrac{1}{6}

    表が山型になり、真ん中の和7が最も起こりやすい。この非対称さが「7の法則」として知られています。

余事象——「少なくとも1つ」は引いて求める

「少なくとも1つは〜」という事象を直接数えると、1個だけ該当、2個とも該当、…と場合分けが増えて面倒です。そこで余事象「1つも〜でない」を数えて、1 から引きます。余事象は事象 AA と全事象 SS をちょうど分け合うので、確率の計算が一段楽になります。

P(A)=1−P(A‾)P(A) = 1 - P(\overline{A})

🔍 余事象の公式の導出

  1. Step 1: 場合の数で全事象を分割する
    n(A)+n(A‾)=n(S)n(A) + n(\overline{A}) = n(S)

    事象 AA に入る場合と入らない場合で、全場合を重複なくちょうど分け合います。

  2. Step 2: 全体の数で割る
    n(A)n(S)+n(A‾)n(S)=1\dfrac{n(A)}{n(S)} + \dfrac{n(\overline{A})}{n(S)} = 1

    同様に確からしい場合の確率は「いい場合の数 ÷ 全体」なので、確率どうしの和は 1 になります。

  3. Step 3: 移項して完成
    ∴P(A)=1−P(A‾)\therefore P(A) = 1 - P(\overline{A})

    「少なくとも1つ」⇔ 余事象「0個」の変換が即座にできるようになると、難問も一気に解けるようになります。

例題

サイコロ2個を同時に投げるとき、出た目の**積が偶数**になる確率を余事象を使って求めよ。

解答・解説

余事象は「積が奇数」=両方とも奇数。奇数の目は 3 個なので 3×3=93 \times 3 = 9 通り。P=1−936=P = 1 - \dfrac{9}{36} = **34\dfrac{3}{4}**

「少なくとも1つ偶数」を直接数えると 27 通りを数えることになりますが、余事象なら 36−9=2736 - 9 = 27 が一行で出ます。数える方向を賢く選ぶのが確率のコツです。
練習問題
  1. サイコロ2個の出た目の和が 4 になる確率を求めよ。

    ヒント

    和が4の組は (1,3),(2,2),(3,1)(1,3), (2,2), (3,1) の3つ。

    解答・解説

    336=\dfrac{3}{36} = **112\dfrac{1}{12}**

  2. 和が 7 にならない確率を余事象を使って求めよ。

    ヒント

    P(A‾)=1−P(A)P(\overline{A}) = 1 - P(A)。

    解答・解説

    1−636=1 - \dfrac{6}{36} = **56\dfrac{5}{6}**

  3. 出た目の積が 12 になる確率を求めよ。

    解答・解説

    (2,6),(3,4),(4,3),(6,2)(2,6), (3,4), (4,3), (6,2) の4通り。436=\dfrac{4}{36} = **19\dfrac{1}{9}**

  4. 少なくとも一方が 6 の目である確率を余事象を使って求めよ。

    ヒント

    余事象は「両方とも 6 以外」=各サイコロ 5 通り。

    解答・解説

    1−5×536=1−2536=1 - \dfrac{5 \times 5}{36} = 1 - \dfrac{25}{36} = **1136\dfrac{11}{36}**

確認クイズ

問1. サイコロ2個の和のうち、最も確率が高い値はどれか。

問2. 出た目を (1,2)(1, 2) と (2,1)(2, 1) のように順序を区別して数える理由はどれか。

問3. 少なくとも1つが 4 以上の目である確率は?(余事象:両方とも 3 以下)

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