標本調査と統計的な見方
母集団から標本を取り出し、傾向を推測する統計の基本。
- 標本調査の意味と、偏りのない標本の選び方を説明できる
- 標本での割合から母集団の量を推測できる
標本調査のしくみ
一部が全体の縮図になるためには
スープの味を一口で確かめるなら、よく混ざった部分を味わう必要があります。統計でも、一部を調べること自体より「その一部がどう選ばれたか」が重要です。図書室にいる生徒だけに読書について聞くと、読書好きが多く含まれるかもしれません。調べる人数を増やしても、図書室だけで選ぶ偏りは残ります。
全校生徒の読書習慣を知りたいなら母集団は全校生徒で、実際に調べた人々が標本です。たとえば全校の名簿から重複なくランダムに選ぶ単純無作為抽出なら、誰もが同じ確率で選ばれます。ただし選ばれた人の回答率が低く、その理由が読書習慣と関係すれば、回答者だけの集計には別の偏りが生じます。
架空の学校の全校生徒600人から無作為に60人選び、全員が回答した。うち18人が徒歩通学だった。全校の徒歩通学者を推定せよ。
解答・解説
標本割合は18÷60=0.3。全校も同じくらいの割合と推測して600×0.3=180、約180人です。実際に全員を数えた値ではないので、ちょうど180人とは断定しません。
全校600人の読書習慣を知るため、A案では読書クラブのメンバー100人、B案では全校名簿から無作為に60人を選び、全員に回答してもらう。選び方の観点ではどちらが適切か。
解答・解説
B案です。A案は読書に関心の強い集団に限られ、母集団全体とは特徴が違うおそれがあります。100人という人数だけでA案が優れているとはいえません。ただしB案も偶然のばらつきは残るため、正確な全校割合を保証するわけではありません。
推定問題では、まず母集団と標本に別々の丸をつけ、人数と該当人数を整理しましょう。標本の該当人数を母集団の人数で割るのではなく、「標本の該当人数÷標本の人数」を先に求めます。結果には「約」をつけ、誰が選ばれなかった可能性があるかも一言添えると、計算と調査の質を両方点検できます。
架空の全校800人から無作為に80人調べ、全員回答のうち自転車通学が12人だった。全校の自転車通学者を推定せよ。
解答・解説
12÷80=0.15、800×0.15=120なので約120人。標本に基づく推定であり、全数調査の結果ではありません。
昼休みに運動場にいる生徒だけに運動時間を聞き、全校の運動時間を推定する方法の問題点は?
解答・解説
運動する生徒が選ばれやすく、教室などにいる生徒が含まれにくい選び方です。場所による偏りがあり、回答者を増やすだけでは解消しません。
同じ母集団から別々に無作為抽出した標本で、ある回答が20/50と23/50だった。違いだけで片方の調査に不正があるといえるか。
解答・解説
いえません。割合は40%と46%ですが、無作為抽出でも偶然のばらつきがあります。この差だけで不正や母集団の変化を断定できません。
調べたい対象全体を母集団、実際に調べる一部を標本といいます。全部は調べられないとき(魚の総数、製品の不良率など)、標本から母集団の性質を推測します。
- 無作為(ランダム)に選ぶ: 偏りがあると推測も歪む
- 偏りのない方法なら、標本が大きいほど一般に偶然によるばらつきは小さくなる。ただし選び方の偏りは数を増やすだけでは解消しない
- 推測は「約〜」という概算であり、断言ではない
池の魚 60 匹に印をつけて放した。数日後にもう一度 50 匹捕まえたところ印付きが 10 匹いた。魚の総数は変わらず、印は消えず、十分に混ざってどの魚も同程度に捕まりやすいと仮定し、総数を推測せよ(標識再捕法)。
解答・解説
総数を 匹として、印付きの割合 と考える。 より **約300匹**。標本による推定であり、ちょうど300匹と断定はできない。
工場の製品 500 個の中から無作為に 40 個調べたら不良品が 2 個だった。全製品に含まれる不良品の数を推測せよ。
ヒント
不良率 を全体に掛ける。
解答・解説
**約 25 個**
「自分の学校の生徒」を母集団とするとき、「近くのクラスだけ」を調べる方法の弱点は?
解答・解説
**偏り(バイアス)**が生じるおそれがある。クラスごとの特徴を強く反映するため、全校生徒の傾向とずれることがある。母集団全体から無作為に選ぶことが重要。
問1. 標本調査で最も大切なことは何か。
問2. ヒストグラムから読み取れることはどれか。