資料の整理——ヒストグラム・箱ひげ図・代表値の使い分け

度数分布表とヒストグラムで分布を読み、五数要約と箱ひげ図・四分位範囲によるばらつきの評価、代表値の使い分けまでを学ぶ。

この単元の目標
  • 度数分布表とヒストグラムを作り、分布の山やすそから特徴を読み取ることができる
  • 中央値・四分位数・四分位範囲を求め、五数要約を箱ひげ図に表すことができる
  • 平均値・中央値・最頻値(モード)をデータの性質に応じて使い分けることができる
📑 目次
  1. ばらつくデータをまとめて見る
  2. 代表値の使い分け
  3. 度数分布表とヒストグラム
  4. 中央値・四分位数・四分位範囲
  5. 箱ひげ図(五数要約のグラフ化)

ばらつくデータをまとめて見る

アンケートや実験の結果のように大量の数字を並べただけでは、全体のようすはつかめません。そこで 階級に分けて度数を数えた度数分布表 を作り、それを柱状グラフにしたものがヒストグラムです。ヒストグラムを見ると、山の位置・左右のゆがみ・ばらつきの大きさといった分布の特徴がひと目でわかります。分布の中心を 1 つの数で表したものが代表値(平均値・中央値・最頻値)、ばらつきの大きさを表すのが範囲や四分位範囲です。

xˉ=x1+x2+⋯+xnn,IQR=Q3−Q1\bar{x} = \dfrac{x_1 + x_2 + \cdots + x_n}{n}, \qquad \text{IQR} = Q_3 - Q_1

代表値の使い分け

一つの値が変わると平均と中央値はどう動く?

5人の読書時間が10、10、20、20、40分だった。40分を100分に訂正したとき、平均値と中央値はどう変わるか。

解答・解説

訂正前の平均は100÷5=20分、訂正後は160÷5=32分。中央値はどちらも小さい順の3番目なので20分です。平均はすべての値を使うため極端な値の影響を受けます。中央値だけでは合計や大きな値の変化は分かりません。

代表値を根拠とともに選ぶ
  1. データ2、3、3、4、18の平均値・中央値・最頻値を求めよ。

    解答・解説

    平均値は30÷5=6、中央値は3、最頻値も3です。18という大きな値が平均を押し上げています。

  2. 5個のデータで平均値が6と分かるとき、合計はいくつか。中央値が6という情報だけでも同じ合計が分かるか。

    解答・解説

    平均値6なら合計は6×5=30です。中央値6だけでは合計は決まりません。1、2、6、7、8も、1、2、6、7、100も中央値は6ですが合計は異なります。

代表値求め方向いている場面
平均値全部たして個数でわる外れ値がなく、全データを公平に反映したいとき
中央値小さい順に並べた中央の値(偶数個なら中央 2 つの平均)外れ値の影響を避けたいとき(所得・住宅価格など)
最頻値(モード)最も多く現れる値(階級なら度数最大の階級)一番人気など、件数の多さが知りたいとき
外れ値が 1 つあるだけで平均値は大きく動いてしまいます。年収のデータでは一部の高額所得者が平均を押し上げるため、実感に近いのは中央値だと言われるのはこのためです。代表値を選ぶときは「外れ値がありそうか」「何を知りたいのか」の 2 点を必ず確認しましょう。

度数分布表とヒストグラム

例題 1

10 人のテスト点数 65, 72, 58, 90, 74, 68, 81, 77, 70, 85 を、階級幅 10 点(50 点からはじめる)の度数分布表に整理せよ。

解答・解説

**50〜60 未満 1 人、60〜70 未満 2 人、70〜80 未満 4 人、80〜90 未満 2 人、90〜100 未満 1 人**。山は 70 点台にあり、低い側にすそが少し引いた分布です。

階級(点)度数(人)
50 以上 60 未満1
60 以上 70 未満2
70 以上 80 未満4
80 以上 90 未満2
90 以上 100 未満1

中央値・四分位数・四分位範囲

データを小さい順に並べ替えて真ん中にくる値が中央値です。個数が偶数のときは中央の 2 つの値の平均をとります。さらに中央値で分割した下半分・上半分の中央値をそれぞれ第 1 四分位数 Q1Q_1、第 3 四分位数 Q3Q_3 とよび、Q3−Q1Q_3 - Q_1 を 四分位範囲 といいます。四分位範囲は中央半分のデータだけを使うため、最小値・最大値のような端の極端な値に引きずられにくい、堅実なばらつきの指標です。

🔍 四分位範囲の計算手順——8 人のテスト点数で確認する

  1. Step 1: 小さい順に並べる
    42, 48, 55, 58, 62, 66, 71, 9042,\ 48,\ 55,\ 58,\ 62,\ 66,\ 71,\ 90

    8 個(偶数)なので中央値は 4 番目と 5 番目の平均になります。

  2. Step 2: 中央値を求める
    median=58+622=60\text{median} = \dfrac{58 + 62}{2} = 60

    データは下半分 42, 48, 55, 58 と上半分 62, 66, 71, 90 に分かれます。中央値自体はどちらのグループにも入れません。

  3. Step 3: 第 1・第 3 四分位数を求める
    Q1=48+552=51.5,Q3=66+712=68.5Q_1 = \dfrac{48 + 55}{2} = 51.5, \qquad Q_3 = \dfrac{66 + 71}{2} = 68.5

    それぞれ下半分・上半分の中央値です。

  4. Step 4: 四分位範囲を計算する
    Q3−Q1=68.5−51.5=17Q_3 - Q_1 = 68.5 - 51.5 = 17

    最大値 90 は外れ値気味ですが、四分位範囲 17 はその影響を受けません。これが四分位範囲の強みです。

箱ひげ図(五数要約のグラフ化)

箱ひげ図は、最小値・$Q_1$・中央値・$Q_3$・最大値 の 5 つの数(五数要約)を一本の図にまとめたものです。箱の中にデータの中央半分が入り、ひげの先まで含めた全体の広がりがわかります。2 つのクラスのテスト結果を比べるとき、箱の長さ(四分位範囲)が短いほうが成績が中央付近に集中しており、箱の位置の高低から代表値の差も読み取れます。

  • 最小値: データのうち最も小さい値(左のひげの先)
  • Q1Q_1: 下半分の中央値(箱の左端)
  • 中央値: 箱の中の縦の線
  • Q3Q_3: 上半分の中央値(箱の右端)
  • 最大値: データのうち最も大きい値(右のひげの先)
例題 2

次の 10 個のデータの五数要約と四分位範囲を求めよ。 12, 15, 18, 20, 22, 25, 28, 31, 35, 40

解答・解説

最小値 **12**、Q1=Q_1 = **18**、中央値 **23.5**、Q3=Q_3 = **31**、最大値 **40**。四分位範囲は 31−18=1331 - 18 = 13

練習問題
  1. データ 3, 7, 8, 10, 12 の平均値と中央値を求めよ。

    ヒント

    平均は総和を個数でわる。

    解答・解説

    平均値 (3+7+8+10+12)÷5=8(3 + 7 + 8 + 10 + 12) \div 5 = 8、中央値 **8**(このデータでは両者が一致)

  2. データ 12, 15, 18, 20, 22, 25, 28, 31, 35, 40 の四分位範囲を求めよ。

    ヒント

    下半分 5 個・上半分 5 個に分けてそれぞれの中央値をとる。

    解答・解説

    Q1=18,Q3=31Q_1 = 18, Q_3 = 31、四分位範囲 **13**

  3. ある店の 1 日の来客者は 10 代 5 人、20 代 14 人、30 代 9 人、40 代 11 人、50 代 6 人だった。最頻値(モード)となる階級を答えよ。

    ヒント

    度数が最大の階級を探す。

    解答・解説

    最頻値は **20 代**(14 人で最多)

  4. 外れ値を含む可能性が高い資料で、平均値よりも中央値が好まれる理由を一言で述べよ。

    ヒント

    極端な値が代表値に及ぼす影響を考える。

    解答・解説

    中央値は **外れ値の影響を受けにくい**(値の大きさではなく並びの位置だけで決まる)から。

確認クイズ

問1. 箱ひげ図から直接読み取ることができない値はどれか。

問2. 四分位範囲が小さいことが意味することはどれか。

問3. 年収のように一部に極端に大きな値が含まれるデータの代表値として適切なのはどれか。

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