化学変化と式量・物質量(高校への発展)

化学反応式を読み、原子数を保存して係数を決める。mol の考え方で質量計算をする。

この単元の目標
  • 化学反応式を書き、係数から原子数が保存されることを説明できる
  • 式量から mol と質量を相互に換算できる
  • 反応式のmol比を使い、反応しきらずに残る物質の量も計算できる
📑 目次
  1. molは同じ数の粒子をひとまとめにする単位
  2. 質量→mol→mol→質量の順で橋を渡る
  3. 化学反応式
  4. 式量と mol

molは同じ数の粒子をひとまとめにする単位

原子や分子は小さすぎて一つずつ数えられないため、決まった数をまとめて扱います。鉛筆1ダースと卵1ダースはどちらも12個ですが、質量は違います。同じように、水1 molと二酸化炭素1 molは分子数が同じでも質量が違います。molは質量の単位ではなく物質量の単位。何の粒子を数えているかも必ず添えます。

1 molの質量であるモル質量Mを使えば、「全部の質量m÷ひとまとめの質量M」で物質量nが出ます。反応式の係数は同じ数の粒子の束を何束ずつ対応させるかを表すので、質量を一度molへ直してから比を使います。ここから先は高校への発展です。計算はH=1、C=12、O=16、Ca=40の近似原子量を使います。

式量には単位がなく、モル質量にはg/molという単位があります。また「酸素1 mol」が酸素分子O₂のことか酸素原子Oのことかで質量が違います。O₂分子1 molにはO原子が2 mol含まれ、質量は約32 gです。molの数字だけを比較せず、化学式まで確認しましょう。
例題:同じ分子数でも重さは違う

水H₂Oが9.0 gある。同じ分子数の二酸化炭素CO₂は何gか。さらに水9.0 gに含まれるH原子の物質量を求めよ。

解答・解説

水のモル質量は18 g/molなので9.0÷18=0.50 mol。同じ分子数のCO₂も0.50 molで、モル質量44 g/molより0.50×44=**22 g**。水1分子にH原子が2個あるため、H原子は0.50×2=**1.0 mol**。水分子の物質量とH原子の物質量は違う。

質量→mol→mol→質量の順で橋を渡る

  1. 各物質の質量をそれぞれのモル質量で割り、molに直す。
  2. 反応式の係数に対応するmolを比べ、どちらが先に使い切られるかを決める。
  3. 実際に反応するmolから生成物のmolを求め、生成物のモル質量を掛ける。
  4. 余った物質の質量も求め、反応前後の合計質量で検算する。
例題:酸素が先になくなる場合の計算

紙上のモデルでH₂が6.0 g、O₂が32 gあり、2H₂+O₂→2H₂Oで反応できる限り水になるとする。水の質量と余る物質の質量を求めよ。操作や実験は考えない。

解答・解説

H₂は6.0÷2=3.0 mol、O₂は32÷32=1.0 mol。O₂ 1.0 molに対応するH₂は2.0 molなので酸素が先になくなる。水は2.0 molで2.0×18=**36 g**。H₂は1.0 mol=**2.0 g**余る。36+2.0=38 gで、反応前の6.0+32と一致する。係数比2:1をgの比として使ってはいけない。

練習:molの対象と反応の対応
  1. CO₂が11 gある。CO₂分子の物質量と、その中のO原子の物質量を求めよ。C=12、O=16とする。

    解答・解説

    モル質量44 g/molより、CO₂は11÷44=**0.25 mol**。O原子は1分子に2個なので0.25×2=**0.50 mol**。

  2. CaCO₃→CaO+CO₂という式で、CaCO₃ 25 gがすべて分解したときのCaOとCO₂の質量を計算せよ。Ca=40、C=12、O=16とする。

    解答・解説

    CaCO₃のモル質量は100 g/molで0.25 mol。係数が1:1:1なので生成物もそれぞれ0.25 mol。CaOは0.25×56=**14 g**、CO₂は0.25×44=**11 g**。合計25 gで検算できる。

  3. 2H₂+O₂→2H₂Oで、H₂ 2.0 gとO₂ 32 gが反応できる限り水になる紙上の計算をせよ。水と余る酸素は何gか。H=1、O=16とする。

    解答・解説

    H₂は1.0 molなので、O₂は0.50 molだけ反応し、水は1.0 mol=**18 g**。O₂は0.50 mol=**16 g**余る。18+16=34 gで反応前の合計と一致する。

化学反応式

水素の燃焼: 2H2+O2→2H2O2H_2 + O_2 \rightarrow 2H_2O。この式は「分子 2 個と分子 1 個から水分子 2 個」という個数の比(2 : 1 : 2)を表します。原子は前後で必ず同数です。

物質化学式原子量の和
水素H2H_21×2=21 \times 2 = 2
酸素O2O_216×2=3216 \times 2 = 32
水H2OH_2O1×2+16=181 \times 2 + 16 = 18

式量と mol

式量は化学式中の原子量の総和で、単位はありません。分子をつくる物質では分子量ともいいます。1 mol は粒子が正確に 6.02214076×10236.02214076 \times 10^{23} 個集まった量です。1 mol あたりの質量をモル質量といい、水では約 18 g/mol です。ここでは H=1、C=12、O=16 などの近似値を使います。mol は高校で詳しく学びますが、中学では反応する質量比を使って同じ計算ができます。

n=mM(n:mol,  m:g,  M:g/mol)n = \frac{m}{M} \quad (n:\mathrm{mol},\; m:\mathrm{g},\; M:\mathrm{g/mol})
例題

酸素 32 g と過不足なく反応して水ができる水素の質量を求めよ。

解答・解説

2H2+O2→2H2O2H_2 + O_2 \rightarrow 2H_2O より H2:O2=2:1H_2 : O_2 = 2 : 1(mol 比)。O2O_2 は 32÷32=132 \div 32 = 1 mol、H2H_2 は 2 mol 必要。よって 2×2=2 \times 2 = **4 g**

練習問題
  1. メタン CH4CH_4(C=12, H=1)の式量を求めよ。

    解答・解説

    12+1×4=12 + 1 \times 4 = **16**

  2. メタン 8 g を完全燃焼させるのに必要な酸素の質量を求めよ。CH4+2O2→CO2+2H2OCH_4 + 2O_2 \rightarrow CO_2 + 2H_2O

    ヒント

    CH4:O2=1:2CH_4 : O_2 = 1 : 2(mol 比)

    解答・解説

    CH4CH_4 は 8÷16=0.58 \div 16 = 0.5 mol → O2O_2 は 1 mol = **32 g**

  3. 炭酸カルシウム CaCO3CaCO_3(Ca=40, C=12, O=16)100 g を熱して分解すると、二酸化炭素は何 g 出るか。CaCO3→CaO+CO2CaCO_3 \rightarrow CaO + CO_2

    ヒント

    mol 比は 1 : 1 : 1

    解答・解説

    CaCO3CaCO_3 は 1 mol。CO2CO_2(式量44)も 1 mol 生じる = **44 g**

確認クイズ(化学変化の計算)

問1. 化学反応式の係数が表しているのは何か。

問2. 水 18 g は何 mol か。(H=1, O=16)

問3. 化学変化の前後で増えたり減ったりしないのはどれか。

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