光合成と呼吸——エネルギーの流れ
光合成と呼吸のつり合いから、生態系におけるエネルギーの流れと物質循環を学ぶ。
- 光合成・呼吸の化学変化を式で表すことができる
- デンプン検出の結果と、光の条件を比較する意味を説明できる
- 食物連鎖におけるエネルギーの流れを図示できる
植物はどこから体の材料を得るのか
鉢植えの植物が大きくなっても、増えた体がすべて鉢の土から移ってきたわけではありません。光合成でできる糖の炭素は空気中の二酸化炭素に由来します。土から吸収する水や無機養分も必要ですが、光は体をつくる原子そのものではなく、物質をつくり変えるためのエネルギー源です。材料の流れとエネルギーの流れを、別の色の矢印で描くつもりで分けましょう。
外から見える増減は「入金−出金」
貯金が増えた額だけでは、入金額そのものはわかりません。出金も同時に起きるからです。同様に、葉から正味で出た酸素は、光合成でつくられた量から呼吸で使われた量を引いた値です。正味の酸素放出量=光合成による酸素生成量−呼吸による酸素消費量。同じ時間・同じ植物量で比較し、負の値なら外から酸素を取り込んだことを表します。
同じ植物量について、明所では1時間に酸素が正味6 mg増え、暗所では1時間に2 mg減ったとする。明暗で呼吸の速さが同じなら、明所で光合成がつくった酸素は1時間に何mgか。
解答・解説
暗所では光合成がないので、呼吸による消費は2 mg。明所の正味6=生成量−2より、生成量は**8 mg**。正味の6 mgをそのまま光合成量とすると、呼吸で使われた分を数え落とす。
| 架空の条件 | 1時間の正味の酸素変化 | 呼吸による消費を2 mgとした生成量 |
|---|---|---|
| 暗所 | −2 mg | 0 mg |
| 弱い光 | −1 mg | 1 mg |
| つり合う光 | 0 mg | 2 mg |
| 十分な光 | +6 mg | 8 mg |
架空の一定期間の収支で、草が蓄えたエネルギーの20%が草食動物へ、そのうち15%が肉食動物へ渡った。肉食動物へ渡ったのが60 kJなら、最初に草が蓄えたのは何kJか。
解答・解説
肉食動物の一つ前は60÷0.15=400 kJ。草は400÷0.20=**2000 kJ**。順に確認すると2000×0.20×0.15=60。20%や15%はこの問題の仮定で、普遍的な割合ではない。
呼吸による酸素消費が1時間に3 mg、光合成による生成が1時間に2 mgの葉では、酸素は正味でどう変化するか。
解答・解説
2−3=−1なので、**1時間に1 mg減る**。光合成はしていても呼吸による消費の方が多い。
同じ温度・植物量で呼吸の速さは一定とする。暗所で1時間に酸素が4 mg減り、明所では増減0だった。明所の光合成による酸素生成量は1時間に何mgか。
解答・解説
**4 mg**。0=生成量−4なので生成量は4。正味0でも二つの働きは続いている。
架空の食物連鎖で8000 kJのうち25%が草食動物へ、さらに10%が肉食動物へ渡る。肉食動物へ渡るエネルギーと、物質との流れの違いを答えよ。
解答・解説
8000×0.25×0.10=**200 kJ**。炭素などの物質は環境と生物の間を循環するが、エネルギーは最終的に熱として周囲へ散逸し、同じようには循環しない。
光合成
植物は葉緑体で、光のエネルギーを使って二酸化炭素と水から糖などの養分をつくり、酸素を出します。養分の一部はデンプンとして蓄えられます。光合成には光が必要ですが、適切な人工の光でもおこなわれます。次の式は物質の出入りを表す模式図です。
- デンプンの検出:ヨウ素(ヨウ化カリウム加ヨウ素)水溶液で青紫色に変色
- 観察では、葉の緑色の色素を除くとヨウ素液の色の変化を見分けやすくなる。薬品や加熱を扱う操作は教員の管理下で行う
- もともと蓄えられていたデンプンの影響を除き、光以外の条件をそろえた部分どうしを比較することで、光の必要性を調べられる
呼吸
一方、呼吸は昼も夜もおこなわれ、養分(デンプンなど)を分解して生活に必要なエネルギーを取り出します。
生態系でのエネルギーの流れ
草 → 草食動物 → 肉食動物という食物連鎖では、養分に蓄えられたエネルギーの一部だけが次の段階へ渡ります。各段階の呼吸に伴って熱が周囲へ移り、食べ残しや排出物のエネルギーは分解者などへ渡ります。炭素や窒素などの物質は循環しますが、エネルギーは一方向に流れ、最終的には熱として散逸します。一定期間に次の段階へ渡るエネルギーと、ある瞬間の生物の質量(バイオマス)は区別しましょう。
草 → バッタ → カエルの食物連鎖を考える。ある期間に草が蓄えたエネルギーが 10000 kJ で、各段階から次の段階へ 10% ずつ伝わると仮定する。カエルへ伝わるのは何 kJ か。
解答・解説
バッタへは 10000 × 0.1 = 1000 kJ、カエルへは 1000 × 0.1 = **100 kJ**。10% はこの問題の仮定で、実際の割合は生物や環境によって異なる。エネルギーの割合だけから生物の質量比は決められない。
問1. 光合成で放出される酸素の酸素原子は、もともとどこにあったものか。
問2. 呼吸がおこなわれる時間帯は?
問3. 食物連鎖で、次の段階へ渡るエネルギーが少なくなる理由として適切なのは?