月の満ち欠け・日周運動・季節の星座——三つの動きを分ける
月の形、一晩の星の移動、季節による星空の変化を、それぞれ位置関係・自転・公転から説明する。観察する時刻と方向をそろえて考えよう。
- 月の満ち欠けを、太陽に照らされた半球の見え方として説明できる
- 満ち欠けと、月が地球の影に入る月食を区別できる
- 星の日周運動の向きと、およその回転角を説明できる
- 同じ時刻に見える星座が季節で変わる理由と南中時刻のずれを説明できる
1.何を固定して比べるか
「空が変わる」といっても、一晩の変化と一か月の変化は同じではない。このレッスンでは日本付近の北半球中緯度から見た空を考える。月や星の位置を比べるときは、観測場所・日付・時刻・方角を記録する。同じ夜に時刻を変える比較と、日付を変えて同じ時刻に見る比較を分けよう。
| 比べるもの | 主な原因 | 目安 |
|---|---|---|
| 日ごとの月の形 | 月の公転による太陽・地球・月の位置関係の変化 | 新月から次の新月まで約29.5日 |
| 同じ夜の星の位置 | 地球の自転 | 天の北極を中心に約15°/時の回転 |
| 同じ時刻に見る季節ごとの星空 | 地球の公転 | 同じ星の南中時刻が毎日約4分早まる |
2.満ち欠けは「照らされた半球の見え方」
月は太陽光を反射して光る。通常、太陽に向いたほぼ半球が照らされ、その反対側は直接の太陽光が当たらない。月が地球のまわりを公転すると、地球から見える明るい部分の割合が変わる。これが満ち欠けである。月そのものが三日月形に削れたり、明るい半球の面積が毎日大きく変わったりするわけではない。
新月では月は太陽とほぼ同じ方向にあり、照らされた側は地球から見て向こう側にある。満月では月は太陽とほぼ反対の方向にあり、照らされた側をほぼ正面から見る。上弦・下弦では照らされた半球を横から見るため、見かけの円の半分が明るい。明るい側は常に太陽のある側を向くが、空での傾きは時刻や場所によって変わる。
| 現象 | 位置関係と原因 |
|---|---|
| 満ち欠け | 照らされた月の半球を地球から見る方向が変わる |
| 月食 | 太陽・地球・月の順にほぼ並び、満月の月が地球の影を通る |
| 日食 | 太陽・月・地球の順にほぼ並び、新月の月が地球の一部の地域から見て太陽を隠す |
3.月の形から見える時間帯を考える
次の表は、太陽が12時に南中し、6時頃に昇り18時頃に沈む単純化したモデルの目安である。南中は、天体が南の空で子午線を通ること。実際の月の出入り・南中時刻は日付、緯度、経度、月の軌道などでずれる。特に出入りの時刻は季節で変わるので、時刻表としては使わない。
| 月相 | 太陽との方向の関係 | 南中の目安 | 出入りの目安 |
|---|---|---|---|
| 新月 | ほぼ同じ方向 | 12時頃 | 6時頃に昇り18時頃に沈む。通常は見えない |
| 上弦 | 太陽より東に約90° | 18時頃 | 12時頃に昇り0時頃に沈む |
| 満月 | ほぼ反対方向 | 0時頃 | 18時頃に昇り6時頃に沈む |
| 下弦 | 太陽より西に約90° | 6時頃 | 0時頃に昇り12時頃に沈む |
単純化したモデルで、太陽が西に沈む18時頃、半月が南中していた。上弦と下弦のどちらか。太陽と月の南中の間隔も答えよう。
解答・解説
**上弦の月**。太陽の南中を12時とすれば、月の南中は6時間後である。太陽より東に約90°離れた月が、日周運動であとから南中するため。90° ÷ 15°/時 = **6時間**。下弦なら明け方に南中するので、この条件には合わない。
4.一晩の星の動き——日周運動
地球は西から東へ自転するため、空の天体は反対に東から西へ動くように見える。日本から南の空を見ると、南中前の星は東側から高くなり、南中後は西側へ低くなる。北の空では、星は天の北極(北極星の近く)を中心に反時計回りに動く。北極星自身も天の北極から少し離れているので完全に静止しているわけではない。
地平線の下まで回る星は昇ったり沈んだりするが、天の北極に近く、円形の経路全体が地平線より上にある星は沈まない。このような星を周極星という。どの星が周極星になるかは観測地の緯度によって異なる。「すべての星が東から昇り西に沈む」とは限らない。
星空が1周する時間は正確には約23時間56分(恒星日)だが、短い時間の計算では約24時間として、天の北極まわりの回転角を1時間に約15°とする。これは各星の高度や方位が1時間に15°変わるという意味ではない。北極に近い星と遠い星では描く円の大きさも違う。
北の空を同じ場所から見て、20時から22時まで星の位置を比べた。天の北極まわりの回転角と向きを求めよ。角速度は15°/時とする。
解答・解説
経過時間は2時間なので、15°/時 × 2時 = **約30°、反時計回り**。地球の自転による見かけの回転である。30°は天の北極を中心とした回転角であり、星の高度差をそのまま30°とはいえない。
5.同じ時刻に見る季節の星座
地球が太陽のまわりを公転すると、夜側から宇宙を見る方向が変わる。太陽と反対方向の星座は夜に見やすく、太陽に近い方向の星座は昼の空にあって見えにくい。星座が毎年遠くへ消えるのではない。同じ観測地の同じ時刻でも、公転によって別の方向を見ることになるのである。
時計の平均的な1日(24時間)より恒星日が約4分短いので、同じ星の南中時刻は毎日約4分早まる。30日なら約120分、つまり約2時間早まる。同じ時計時刻に比べると、星空は前月より約2時間分先まで日周運動した位置に見える。この年単位の変化の原因は公転であり、自転の速さが季節ごとに大きく変わるからではない。
| 日本で夕方〜夜に見つけやすい季節の目安 | 代表的な星座・目印 |
|---|---|
| 春 | しし座、うしかい座、おとめ座 |
| 夏 | こと座のベガ・はくちょう座のデネブ・わし座のアルタイル(夏の大三角) |
| 秋 | ペガスス座付近の秋の四辺形、アンドロメダ座 |
| 冬 | オリオン座、おうし座、おおいぬ座 |
ある星がある日の22時に南中した。30日後、同じ場所での南中時刻は何時頃になるか。毎日4分早まるとする。
解答・解説
4分/日 × 30日 = 120分 = 2時間早まる。22時 − 2時間 = **20時頃**。遅くなるのではなく早くなる点に注意。したがって30日後の22時には、この星はすでに南中を過ぎている。4分/日は丸めた値であり、長期間の精密な時刻予報には用いない。
ふつうの三日月の暗い部分は地球の影か。月食と比較して説明せよ。
解答・解説
**地球の影ではない。**太陽光が直接当たっていない月の半球の一部が地球から見えている。月食は満月の月が地球の影を通る現象であり、三日月の位置関係とは異なる。
太陽が12時に南中する単純化したモデルで、下弦の月の南中は何時頃か。
解答・解説
**6時頃**。下弦は太陽より西に約90°離れているので、太陽より約6時間先に南中する。真夜中頃は昇る時刻の目安で、南中とは違う。
北の空の星を3時間観察した。天の北極まわりに何度、どちら向きに回るか。15°/時で近似せよ。
解答・解説
15°/時 × 3時 = **約45°、反時計回り**。地球の自転が原因であり、星の高度の変化が45°とは限らない。
ある星が21時に南中した。15日後には何時頃か。1日4分早まるとする。
解答・解説
15日 × 4分/日 = 60分早まるので **20時頃**。同じ時計時刻の星空が季節で変わることと対応する。
「冬の星座は、冬以外には一切見えない」という説明を直せ。
解答・解説
冬の夕方〜夜に見つけやすい星座という意味で、**観察時刻を変えれば別の季節にも見える場合がある**。例えばオリオン座は秋の明け方にも見える。時刻と季節の両方を確認する必要がある。
問1. ふだんの月の満ち欠けの主な原因はどれか。
問2. 月食が起こりうる月相はどれか。
問3. 太陽が12時に南中するモデルで、上弦の月が南中する目安はどれか。
問4. 日本から北の空を見たとき、星の日周運動はどのように見えるか。
問5. 同じ場所の同じ時計時刻に見る星座が季節で変わる主な原因はどれか。
観察の安全と、このレッスンの近似
数値は中学理科で用いる概数(朔望月約29.5日、恒星日約23時間56分、月軌道の傾き約5°)である。例題はこれらを使った学習用の設定で、実際の観測記録ではない。角度の式は一定速度の近似、月の時刻表は単純化した位置関係のモデルとして使い、特定の日付の月の出入りや食の予報とは区別する。