凸レンズの像を光線作図で読み解く

焦点と3種類の光線を手がかりに、像の位置・向き・大きさを予測し、実像と虚像を光の進み方で区別する。

この単元の目標
  • 焦点・焦点距離・光軸を区別し、作図に必要な位置を示せる
  • 物体の同じ一点から出た光線を2本以上描き、像の位置を決められる
  • 物体を動かしたときの像の位置・向き・大きさを説明できる
  • 実際の光線の交点と延長線の交点を区別し、実像と虚像を説明できる
📑 目次
  1. 1 まず、どのようなレンズを考えるか
  2. 2 同じ一点から出る光を追う
  3. 3 実像と虚像は「光が集まるか」で区別する
  4. 4 物体の位置で変わる像
  5. 5 発展:薄レンズ式で作図を検算する
  6. 6 練習:判断の根拠も説明する

1 まず、どのようなレンズを考えるか

凸レンズは中央が周辺より厚いレンズです。ここでは、空気中のガラスなどでできた、光を集める凸レンズを扱います。レンズを薄いものとみなし、中心付近を光軸に対して小さい角度で進む光について作図します。厚みや周辺部で生じる像のぼけを無視したモデルです。物体はレンズの左側に置き、光は左から右へ進むものとします。

用語作図での意味
光軸レンズの中心を通る基準の直線。紙では横向きに描く。
焦点 F光軸に平行な光がレンズを通ったあとに集まる点。左右のどちらから平行光を入れるかに応じ、左右に1つずつある。
焦点距離 f薄いレンズの中心から焦点までの距離。左右で同じ長さとする。
2f の位置レンズの中心から焦点距離の2倍だけ離れた位置。焦点そのものとは異なる。
凸レンズで太陽をのぞいたり、太陽光を目や物に集めたりしてはいけません。目の損傷や火災につながります。このレッスンは紙上の作図で考えます。

2 同じ一点から出る光を追う

物体を光軸上に立つ上向きの矢印で表し、その先端 A から出た光を追います。物体の別々の点から出た光を混ぜて交点を求めてはいけません。先端の像 A′ が決まれば、光軸から A′ まで矢印を描いて、像の向きと高さを読み取れます。作図の線は、無数に出る光のうち、進み方がわかりやすい代表の光線です。

  1. A から光軸に平行に進む光:レンズを通ったあと、右側の焦点を通る。
  2. A からレンズの中心を通る光:薄いレンズのモデルでは、そのまま直進する。
  3. A から左側の焦点を通ってレンズに入る光:通過後は光軸に平行に進む。これは物体が左の焦点より外側にあるときに描きやすい。

通常は最初の2本で像が決まり、3本目で交点を確かめられます。レンズに入る前と出たあとの光線をつなぎ、実際に光が進む線は実線、位置を調べるために後方へ延ばす線は破線にします。光の進む向きを矢印で添えると、「右へ進む光」と「左への延長線」を取り違えにくくなります。

3 実像と虚像は「光が集まるか」で区別する

種類像の位置の決め方スクリーンとの関係
実像レンズを出た光線そのものが交わる位置。今回の配置ではレンズの右側。その位置にスクリーンを置くと、ピントの合った像を映せる。
虚像レンズを出た光は広がるが、後方への延長線が交わる位置。今回の配置では物体と同じ左側。その位置にスクリーンを置いても像は映らない。右側からレンズ越しに見ると、その位置から光が来るように見える。
「虚像だから見えない」は誤りです。虫眼鏡で近くの文字を拡大して見るときは虚像を見ています。また、スクリーンに像が映らないだけでは虚像とは断定できません。実像でもスクリーンの位置が違えば、はっきりとは映りません。

4 物体の位置で変わる像

物体からレンズまでの距離を a とします。次の表は光軸上に底辺を置く物体についての結果です。倒立は物体の矢印と逆向き、正立は同じ向きという意味です。まず焦点の内側か外側かを判定し、次に 2f と比べます。

物体の距離 a像の位置向き・大きさ・種類
a > 2f右側の f と 2f の間倒立・縮小・実像
a = 2f右側の 2f倒立・同じ大きさ・実像
f < a < 2f右側の 2f より遠く倒立・拡大・実像
a = f有限の距離には像ができない同じ点から出てレンズを通った光線が互いに平行になる
0 < a < f左側で、物体よりレンズから遠い位置正立・拡大・虚像

物体を遠くから焦点へ近づけると、実像はレンズから遠ざかり、大きくなります。焦点の位置では「像が消えたから必ず虚像」と考えず、出ていく光が平行になることを作図で確かめます。焦点より内側へ入って初めて、後方への延長線が交わる虚像になります。

例題1:2f の位置から等大の像を作図する

焦点距離 10 cm の凸レンズの左 20 cm に、高さ 2 cm の矢印を置く。光軸を横、レンズを縦に描き、両側 10 cm に焦点を取る。像の位置・高さ・向き・種類を求めよう。縦横に同じ縮尺を使う。

解答・解説

物体の先端から水平に進む光は、レンズ上の高さ 2 cm の点から右の焦点へ向かう。右へ 10 cm 進む間に 2 cm 下がるので、右 20 cm では高さ −2 cm。中心を通る光も、左 20 cm・高さ 2 cm から中心へ進み、その先の右 20 cm・高さ −2 cm を通る。2本が実際に交わるため、像は右 20 cm、高さの大きさ 2 cm の倒立・等大の実像。高さの負号は光軸より下という意味である。

例題2:焦点の内側の像を延長線で探す

同じ焦点距離 10 cm の凸レンズの左 5 cm に、高さ 1 cm の矢印を置く。平行に入る光と中心を通る光を描き、像を調べよう。

解答・解説

平行に入った光はレンズ上の高さ 1 cm から右の焦点へ進む。その直線を左へ延ばすと、左 10 cm で高さ 2 cm になる。中心を通る光の直線も、左 5 cm・高さ 1 cm を通るので、左 10 cm では高さ 2 cm。右側では光が集まらず、左側の延長線だけが交わる。したがって左 10 cm に高さ 2 cm、正立・2倍の虚像ができる。延長線は、光が左へ戻ったことを表すものではない。

5 発展:薄レンズ式で作図を検算する

以下は中学校の基本的な作図から一歩進んだ発展内容です。薄いレンズで、光軸近くの小さい角度の光を扱う近似の式です。凸レンズの焦点距離 f と左側の実物体までの距離 a を正に取ります。像距離 b は右側の実像なら正、左側の虚像なら負と約束します。a、b、f の長さの単位は cm などに統一します。

1f=1a+1b,b=afa−f(a≠f)\frac{1}{f}=\frac{1}{a}+\frac{1}{b},\qquad b=\frac{af}{a-f}\quad(a\ne f)

像の高さを、光軸より上なら正、下なら負として表すと、中心を通る光でできる相似な三角形から次の関係も得られます。倍率 m は単位を持たず、負なら倒立、正なら正立です。大きさの比だけを尋ねられたら、倍率の絶対値を答えます。

m=himagehobject=−bam=\frac{h_{\mathrm{image}}}{h_{\mathrm{object}}}=-\frac{b}{a}
例題3(発展):拡大された実像を数値で確かめる

焦点距離 10 cm の薄い凸レンズの左 15 cm に、高さ 2 cm の物体を置く。像距離と像の高さを求め、位置の表と照合しよう。

解答・解説

b = 15 × 10 ÷ (15 − 10) = 30 cm。正なので右側の実像である。m = −30 ÷ 15 = −2、像の高さは −2 × 2 = −4 cm。したがって高さの大きさ 4 cm の倒立・2倍の実像。10 cm < 15 cm < 20 cm なので、像が右側の 2f = 20 cm より遠くにできるという表の結果とも一致する。

根拠と限界:位置の表と例題は、ここで示した平行光線・中心光線の作図および相似関係から求めたものです。観測データではありません。実際の厚いレンズや光軸から大きく離れた光では、このモデルからずれ、すべての光が厳密に一点に集まるとは限りません。

6 練習:判断の根拠も説明する

光線と像の練習
  1. 焦点距離 8 cm の凸レンズの左 24 cm に物体を置く。像の位置の範囲と、向き・大きさ・種類を答えよう。

    解答・解説

    2f = 16 cm より 24 cm はその外側。像は右側の 8 cm と 16 cm の間にできる倒立・縮小の実像。物体が 2f より遠いときの作図では、光線が反対側の f と 2f の間で交わる。

  2. 焦点距離 8 cm の凸レンズの左 4 cm に物体を置く。像の種類と向き、スクリーンに映せるかを答えよう。

    解答・解説

    焦点の内側なので正立・拡大の虚像。光線そのものは集まらず、後方への延長線が物体側で交わるため、スクリーンに映せない。

  3. 物体の先端から水平に進む光と、物体の底から中心へ進む光との交点を、先端の像とする作図は正しいか。

    解答・解説

    正しくない。先端の像は、先端という同じ一点から出た光線で探す。先端からレンズの中心を通る光を描き直す必要がある。

  4. 【発展】焦点距離 8 cm、物体距離 24 cm、高さ 3 cm のとき、像距離と像の高さの大きさを計算しよう。

    解答・解説

    b = 24 × 8 ÷ (24 − 8) = 12 cm。m = −12 ÷ 24 = −0.5 なので、高さの大きさは 1.5 cm。右側にできる倒立・縮小の実像であり、12 cm は f と 2f の間にある。

確認クイズ

問1. このレッスンのモデルで、光軸に平行に入った光は凸レンズを通ったあとどう進むか。

問2. 物体を焦点距離の半分の位置に置いたときの像として正しいものはどれか。

問3. 物体をちょうど焦点の位置に置いたとき、同じ一点から出てレンズを通過した光はどうなるか。

問4. 実像と虚像を区別する説明として正しいものはどれか。

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