植物の生活と種類——光合成以外のはたらきと分類

植物も呼吸をし、水を吸い上げ、蒸散させる。光合成以外の生活現象を整理し、植物界の分類の軸をつかむ。

この単元の目標
  • 植物の光合成と呼吸を時間帯やガスの出入りの面で対比して説明できる
  • 根からの水の吸収と蒸散、道管・師管の輸送の役割を区別して説明できる
  • 種子植物(被子・裸子)とシダ植物・コケ植物の違いを挙げて分類できる
📑 目次
  1. 植物も呼吸している
  2. 水の吸収と蒸散、輸送の通路
  3. 植物の分類——何を手がかりに分けるか

植物も呼吸している

植物は光があれば光合成をする一方、昼夜を問わず呼吸をしています。呼吸では酸素を使って養分からエネルギーを取り出し、二酸化炭素と水を生じます。光合成が呼吸を上回る明るさなら見かけ上は酸素を放出しますが、弱い光では酸素を正味で吸収することもあります。暗所では光合成が止まるため、呼吸によって酸素を吸収し二酸化炭素を放出します。

項目光合成呼吸
行われる時間光があるとき(人工光でも可能)昼夜を問わず
使う材料二酸化炭素と水酸素と養分(でんぷん等)
物質とエネルギー養分と酸素をつくり、光エネルギーを養分に蓄える二酸化炭素と水を生じ、養分からエネルギーを取り出す
葉緑体必要不要(主にミトコンドリアなどで行う)

水の吸収と蒸散、輸送の通路

根は根毛などから水と無機塩類を吸収し、道管を通して茎や葉へ運びます。主に葉の気孔から水が水蒸気として出る蒸散は、水を引き上げる原動力になります。光合成でできた養分は主に糖の形で師管を通り、根や実、成長中の芽などへ運ばれます。師管の輸送は「下向き」だけでなく、養分を必要とする場所へ向かいます。

通路位置運ぶもの方向
道管木部水と無機塩類根 → 葉(上がる)
師管師部主に糖などの養分葉など → 根・実・芽など(上向きも下向きもある)

🔍 養分の蓄積量——昼と夜の呼吸を分けて考える

  1. Step 1: 昼のガスと物質の出入り
    ΔMday=Pday−Rday\Delta M_{day} = P_{day} - R_{day}

    PdayP_{day} は昼の間に光合成でつくられる養分の総量、RdayR_{day} は昼の呼吸で消費する養分の総量です。同じ単位で比べます。

  2. Step 2: 夜の出入り
    ΔMnight=−Rnight\Delta M_{night} = -R_{night}

    光のない夜は光合成が止まり、夜の呼吸で消費する養分量 RnightR_{night} だけ減ります。昼夜の長さや温度が違えば、昼夜の呼吸量は同じとは限りません。

  3. Step 3: 1日の合計
    ΔMtotal=Pday−Rday−Rnight\Delta M_{total} = P_{day} - R_{day} - R_{night}

    養分の出入りを光合成と呼吸だけとみなしたモデルです。正なら養分が蓄積しますが、実際の体重には水分量なども影響します。光補償点は「同じ時間あたりの光合成量と呼吸量が等しくなる明るさ」であり、1日全体の収支が 0 になる条件とは違います。

  4. Step 4: 酸素の測定値を読む
    正味の酸素放出量=光合成による酸素発生量−呼吸による酸素消費量\text{正味の酸素放出量} = \text{光合成による酸素発生量} - \text{呼吸による酸素消費量}

    同じ時間・同じ単位で測定した量を使います。暗所の酸素消費量から明所の呼吸量を見積もる問題では、明所と暗所で呼吸の速さが等しいという仮定が必要です。

植物の分類——何を手がかりに分けるか

植物は「種子を作るか」「維管束(道管・師管など)をもつか」「胚珠が子房に包まれているか」などの手がかりで分類できます。種子植物は胚珠がむき出しの裸子植物と、子房の中に胚珠がある被子植物に分かれます。中学では被子植物を子葉が1枚の単子葉類と2枚の双子葉類に分け、典型的な葉脈や根の特徴も比較します。

グループ維管束種子例
被子植物あり胚珠が種子、子房が果実になり、種子は果実に包まれる稲・ヒマワリ・サクラ
裸子植物ありむき出しでできるマツ・イチョウ
シダ植物あり作らない(胞子でふえる)ワラビ・ヘゴ
コケ植物なし作らない(胞子でふえる)スギゴケ・ゼニゴケ
特徴単子葉類双子葉類
子葉の枚数1枚2枚
葉脈平行脈網状脈
根ひげ根主根と側根
例稲・小麦・ユリダイコン・ソバ・サクラ
コケ植物には維管束や本当の根はなく、体の表面から水を吸収します。仮根は主に体を固定します。一般に小型で、受精には水が必要ですが、乾燥に耐えて岩の上などで暮らす種類もあり、「湿った場所にしか生きられない」とは限りません。
例題

ある測定資料で、植物の明所での正味の酸素放出量は 60 mL/h、暗所での酸素消費量は 20 mL/h だった。呼吸の速さは明所と暗所で等しいと仮定して、光合成そのものによる酸素発生量を求めよ。

解答・解説

明所での測定値は「光合成 − 呼吸」。よって 60+20=60 + 20 = **80 mL/h**

練習問題
  1. 光のない夜、植物が呼吸によって放出する気体は何か。理由も添えて述べよ。

    ヒント

    光がなければ光合成が止まることを考える。

    解答・解説

    **二酸化炭素**。光合成が止まり呼吸だけが行われているため。

  2. 根から吸収された水が葉に達する通路と、葉で作られた養分が根へ届く通路をそれぞれ答えよ。

    解答・解説

    水 → **道管**、養分 → **師管**

  3. 平行脈とひげ根をもつ植物は、単子葉類・双子葉類のどちらか。例を1つ挙げよ。

    解答・解説

    **単子葉類**。例:稲(または小麦・ユリなど)

確認クイズ(植物)

問1. 呼吸について正しい記述はどれか。

問2. 道管が運ぶものはどれか。

問3. 胚珠がむき出しになっている植物のグループはどれか。

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