民主政治と選挙のしくみ
間接民主制、内閣総辞職・解散、選挙権年齢など現代の政治の基本を学ぶ。
- 間接民主制と直接民主制の違いを説明できる
- 国会・内閣・裁判所の関係(抑制と均衡)を具体例で説明できる
- 選挙権・被選挙権の条件と、一票の格差問題を説明できる
民主政治のかたち
| 形式 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 直接民主制 | 国民が直接意思決定する | 国民投票、住民投票 |
| 間接民主制 | 国民が代表者を選び、その代表が政治を行う | 日本の議院内閣制 |
日本は議院内閣制です。国会が内閣総理大臣を指名し、内閣は国会に対して連帯して責任を負います。衆議院で内閣不信任決議が可決された場合、10日以内に衆議院を解散しなければ内閣は総辞職しなければなりません。解散を選んだ場合も、総選挙後初めて国会が召集されるときには総辞職します。
代表を選ぶことと、代表が決めること
なぜ国民が直接すべての法案を決めず、代表者を選ぶ仕組みがあるのでしょう。多くの課題を継続的に調査し、話し合う必要があるからです。学級で委員を選んで案を検討してもらう場合を想像すると、選ぶ段階と議論する段階を分けて理解できます。ただし国会議員は学級の係と同じではなく、憲法第43条が定める全国民の代表です。
| 政治の段階 | 日本国憲法上の仕組み | 混同しない点 |
|---|---|---|
| 国会議員を選ぶ | 国民が選挙で代表を選ぶ(第43条) | 国民が首相を直接選ぶ制度ではない |
| 首相を指名する | 国会が国会議員の中から指名(第67条) | 指名と天皇による任命は別 |
| 首相を任命する | 天皇が国会の指名に基づき任命(第6条) | 天皇が独自に候補者を選ぶのではない |
| 地方の長・議員を選ぶ | 住民が直接選挙(第93条) | 市長を選ぶことは政策すべてを直接決めることではない |
一票の格差は、得票数の勝ち負けではなく、代表者一人を選ぶ有権者数の不均衡を考える問題です。たとえば同じ一議席でも、10万人で選ぶ場合と20万人で選ぶ場合では、一人当たりの代表への重みが違います。比較ではまず「有権者数÷議席数」を計算し、それぞれ一議席当たりにそろえます。
架空の選挙区Aは有権者20万人で2議席、Bは30万人で1議席。議員一人当たりの有権者数と、その最大・最小の比を求めよ。
解答・解説
Aは20万÷2=10万人、Bは30万÷1=30万人。比は30万÷10万=3倍。有権者数だけを比べた1.5倍ではない。Aの有権者一人当たりの代表への重みは、Bの3倍に相当するという計算上の比較になる。これだけで違憲判断はできない。
衆議院で不信任決議が可決され、10日以内に解散した。この内閣は、その後総選挙が行われても総辞職する必要がないか。第69・70条に基づいて答えよ。
解答・解説
必要がある。第69条の解散によって、その時点での総辞職は回避できるが、第70条により、総選挙後初めて国会が召集されるときに総辞職する。なお第71条により新たな首相が任命されるまで職務は続けるため、行政がただちに空白になるわけではない。
架空のC区は有権者40万人で2議席、D区は30万人で2議席。議員一人当たりの有権者数の大きいのはどちらか。
解答・解説
C区は20万人、D区は15万人なのでC区。どちらも2議席なので、議席数で割って比較する。
内閣総理大臣を指名する機関と任命する立場を、それぞれ答えよ。
解答・解説
指名は国会、任命は天皇。憲法第67条と第6条を区別する。天皇の任命は国会の指名に基づく。
市長を住民が直接選ぶことは、市のすべての政策を住民投票で決めることと同じか。
解答・解説
同じではない。市長という代表を直接選ぶことと、政策の内容を住民が直接決めることは別の段階である。
選挙のルール
- 選挙権は原則として満18歳以上の日本国民に認められる。被選挙権の年齢要件は衆議院・地方議会議員・市町村長で満25歳以上、参議院議員・都道府県知事で満30歳以上。地方選挙には住所などの要件もある
- 選挙は普通・平等・秘密・自由の原則で行われる
- 一票の格差: 議員1人あたりの有権者数の差が大きいと「票の価値が違う」ことになり、違憲状態とされた判例がある
衆議院で内閣不信任案が可決されたとき、内閣が取りうる2つの選択肢を答えよ。
解答・解説
①**10日以内に衆議院を解散**して総選挙で国民に問う、②**内閣総辞職**する。どちらも憲法第69条にもとづく。
裁判所が法律を「憲法に違反する」と判断することを何というか。
解答・解説
**違憲審査**(法令審査権)。憲法第81条により、最高裁判所は一切の法律や命令の合憲性を審査する。
「抑制と均衡」の考え方について、国会と内閣の関係を例に説明せよ。
ヒント
内閣には解散権、国会には不信任権がある。
解答・解説
**衆議院**は内閣不信任決議で内閣を牽制し、内閣は衆議院の解散を決定して選挙で国民の判断を求めることができる。参議院は解散されず、内閣不信任決議も行わない。
地方自治体の首長(市長など)を選ぶ選挙で投票できる年齢は何歳からか。
解答・解説
**18 歳**。国政選挙だけでなく地方選挙も同じく18歳から(2015年の公職選挙法改正で選挙権年齢が20歳→18歳に引き下げられた)。
問1. 日本の政治の仕組みはどの型か。
問2. 衆議院の解散について、天皇に助言と承認を行う機関はどこか。
問3. 一票の格差とは何の差か。