古文単語 基本50語と覚え方
基本50語を、現代語との意味の違い・多義性・敬語の用法から学ぶ。
- 掲載した50語の代表的な意味を確認できる
- 多義語の意味を文脈から選べる
- 動詞の意味と敬語の用法を区別できる
以下は読解の入口となる50語で、試験範囲を網羅するものではありません。意味の一覧だけでなく、例文の主語・対象・前後の出来事と結びつけて覚えます。語呂合わせは記憶の補助にはなりますが、語源の説明とは区別しましょう。
① 評価・感情の15語
| 語 | 代表的な意味 | 注意 |
|---|---|---|
| をかし | 趣がある・おもしろい | 滑稽でおかしい場合もあり、対象から判断する |
| あはれなり | しみじみと趣深い・しみじみと心にしみる | 悲しみだけに限定しない |
| いみじ | たいそうすばらしい・ひどい・甚だしい | 良い場合にも悪い場合にも使う |
| うつくし | かわいい・いとしい | 小さなものや親しい対象への愛情 |
| かなし | いとしい・悲しい | 悲哀の意味もあるので、常に肯定的とはしない |
| あやし | 不思議だ・身分が低い・粗末だ | 「怪し」と「賤し」の意味を区別する |
| あさまし | 驚きあきれるほどだ・情けない | 現代語の意味だけに限定しない |
| すさまじ | 興ざめだ・殺風景だ | 期待や場面との不調和を読む |
| あてなり | 高貴だ・上品だ | 身分や振る舞いの評価 |
| ゆかし | 見たい・聞きたい・知りたい | 対象へ心が引かれる気持ち |
| おぼつかなし | はっきりしない・不安だ・待ち遠しい | 何が分からないのかを確認する |
| こころもとなし | 待ち遠しい・じれったい・不安だ | 期待と不安の文脈を読む |
| つれなし | 平然としている・冷淡だ | 相手への反応に注目する |
| わびし | つらい・心細い・貧しい | 精神面か暮らしの状態かを区別する |
| くちをし | 残念だ・情けない | 失望の対象を確認する |
② 程度・時間などの15語
| 語 | 代表的な意味 | 注意 |
|---|---|---|
| いと | とても | 程度を強める副詞 |
| いとど | いっそう・ますます | 程度の増大を表す |
| やうやう | だんだん・ようやく | 変化の経過か、実現かを確認する |
| やがて | そのまま・すぐに | 現代語の「しばらくして」だけで訳さない |
| つとめて | 早朝・翌朝 | 前日の出来事があれば翌朝の意味を検討する |
| つひに | とうとう・最後に | 打消とともに「結局〜ない」とも訳す |
| さらに | そのうえ・改めて | 打消とともに「まったく〜ない」 |
| え | (打消とともに)〜できない | え〜ずの呼応を確認する |
| なほ | やはり・依然として・さらに | 前後の関係で選ぶ |
| げに | なるほど・本当に | 他人の言葉などへの納得にも使う |
| おほかた | だいたい・一般に | 打消とともに「まったく〜ない」ともなる |
| ひねもす | 一日中 | 昼の間ずっと |
| よもすがら | 一晩中 | 夜の間ずっと |
| とく | 早く | 形容詞「とし」の連用形に由来する副詞的用法 |
| ひたぶるなり | 一途だ・むやみだ | よい評価にも強引さの評価にも使う |
③ 動作・状態などの20語
| 語 | 代表的な意味 | 注意 |
|---|---|---|
| ののしる | 大声で騒ぐ・評判になる | 悪口を言う意味だけにしない |
| おぼゆ | 思われる・思い出される・似る | 自然にそう感じられる意味などを文脈で選ぶ |
| いらふ | 答える・返事をする | ハ行下二段活用。未然形・連用形は「いらへ」 |
| まかる | 退出する・出向く | 高貴な所から退出する意味が基本。参上する・行きますの用法もある |
| まゐる | 参上する・差し上げる | 謙譲語が基本。飲食する尊敬語の用法などもある |
| さぶらふ | お仕えする・あります・ございます | 謙譲語と丁寧語の用法を区別する |
| たまふ | お与えになる・〜なさる | 四段活用は尊敬。下二段活用の補助動詞は謙譲 |
| おはす | いらっしゃる | あり・行く・来るの尊敬語 |
| わたる | 渡る・通る | 補助動詞では「ずっと〜する・一面に〜する」。常に謙譲語ではない |
| ゆるす | 許す・認める | 「目を留める」を基本義として覚えない |
| おどろく | 目を覚ます・気づく・驚く | 眠りから覚める意味に注意する |
| ながむ | 物思いに沈んでぼんやり見る・詩歌を口ずさむ | 見る対象と動作の文脈を確認する |
| ねんず | 祈る・我慢する | 祈願か忍耐かを区別する |
| あく | 満足する・飽きる | 「飽く」。カ行四段活用 |
| うらやむ | うらやましく思う | 他人の状態などを望ましく思う |
| あかる | 離れる・別れる | 「別る・散る」。ラ行下二段活用 |
| おこたる | 怠ける・病気がよくなる | 病気の話では回復の意味を検討する |
| いたづらなり | むだだ・手持ちぶさただ | 「いたづらになる」で死ぬ意味にもなる |
| さらなり | 言うまでもない | 「言ふもさらなり」などで確認する |
| すずろなり | むやみだ・思いがけない・なんとなくだ | 意図や理由がはっきりしない様子 |
①「褒美を得て、いみじく喜ぶ。」②「友の死を聞き、いみじく泣く。」の「いみじく」をそれぞれ訳せ。
解答・解説
①「たいそう喜ぶ」②「ひどく泣く(たいそう泣く)」。どちらも程度が甚だしいことを表す。①は喜び、②は悲しみという出来事が評価の方向を示すので、「いみじく」自体が必ず「恐ろしく」を意味するわけではない。
「人の呼ぶ声におどろきて、いらふ。」を、眠っていた人物の場面として訳せ。
解答・解説
「人が呼ぶ声で目を覚まして、返事をする。」眠っていたという文脈から「おどろく」を覚醒と判断する。「いらふ」は帰るではない。
自作例文「病、やうやうおこたりぬ。」を訳せ。
解答・解説
「病気がだんだんよくなった。」「おこたる」はここでは病気の回復。「ぬ」は連用形に接続した完了の助動詞。
自作例文「え行かず。」を訳し、「え」の働きを説明せよ。
解答・解説
「行くことができない。」「え」が打消の「ず」と呼応して不可能を表す。単なる「行かない」では不可能の意味が落ちる。
「かなし」を常に「いとしい」と訳すのは適切か。
解答・解説
適切ではない。「悲しい」の意味もあるため、対象や出来事から判断する。現代語と異なる意味を覚えても、共通する意味を排除しない。
「たまふ」が動詞の連用形に続くことだけで、必ず尊敬語と決められるか。
解答・解説
決められない。補助動詞である手がかりにはなるが、四段活用の尊敬用法と下二段活用の謙譲用法がある。活用形と話し手・動作主を確認する。
問1. 古語「いらふ」の意味はどれか。
問2. 古語「うつくし」の代表的な意味はどれか。