積分で求める面積と体積

三角関数の囲む面積から断面積の積分、円板と穴のある回転体まで、図形を式に翻訳する。

この単元の目標
  • 非多項式のグラフの交点と上下関係を調べ、面積を定積分で求められる
  • 切断方向と断面積を明示して、一般の立体の体積を積分で表せる
  • 回転軸からの外半径・内半径を区別し、穴のある回転体の体積を求められる
📑 目次
  1. 面積は「上−下」を細く切って足す
  2. 断面積を積み上げる体積
  3. 回転体:円板と円環を区別する

面積は「上−下」を細く切って足す

積分の計算を始める前に、まずどの領域を測るのかを確定します。連続な2曲線について、交点と指定された境界から積分範囲を決め、その各区間で上側の関数と下側の関数を調べます。指数・対数・三角関数でも、この手順は多項式の場合と変わりません。三角関数の角は弧度法です。

S=∫ab∣f(x)−g(x)∣ dx,f(x)≥g(x) (a≤x≤b) ⇒ S=∫ab{f(x)−g(x)} dxS=\int_a^b |f(x)-g(x)|\,dx,\qquad f(x)\ge g(x)\ (a\le x\le b)\ \Rightarrow\ S=\int_a^b\{f(x)-g(x)\}\,dx

途中で上下が入れ替わるなら、交点で区間を分けます。たとえば 0≤x≤π/20\le x\le\pi/2 で sin⁡x\sin x と cos⁡x\cos x を比べると、x=π/4x=\pi/4 を境に上側が入れ替わります。符号付きの積分を最後に絶対値にするだけでは、異なる部分の面積が相殺されるので不十分です。

例題1:三角関数に囲まれた面積

y=sin⁡xy=\sin x と y=cos⁡xy=\cos x の2つの交点 x=π/4, 5π/4x=\pi/4,\ 5\pi/4 の間にある領域の面積を求めよ。

解答・解説

sin⁡x−cos⁡x=2sin⁡(x−π/4)\sin x-\cos x=\sqrt2\sin(x-\pi/4) より、π/4≤x≤5π/4\pi/4\le x\le5\pi/4 では上が sin⁡x\sin x、下が cos⁡x\cos x。したがって S=∫π/45π/4(sin⁡x−cos⁡x) dx=[−cos⁡x−sin⁡x]π/45π/4=2−(−2)=22S=\int_{\pi/4}^{5\pi/4}(\sin x-\cos x)\,dx=[-\cos x-\sin x]_{\pi/4}^{5\pi/4}=\sqrt2-(-\sqrt2)=2\sqrt2。約 2.8282.828 で、幅 π\pi・高さの最大値 2\sqrt2 の長方形の面積より小さいことも確認できます。

断面積を積み上げる体積

立体を xx 軸に垂直な平面で切り、位置 xx の断面積を A(x)A(x) とします。立体が a≤x≤ba\le x\le b に存在し、断面積が連続なら、薄い柱の体積を足すことで体積を得られます。断面は円でなくてもよく、正方形や三角形でも同じ原理です。

🔍 薄い柱の和から断面積の積分へ

  1. 1:区間を等分する
    Δx=b−an,xk=a+kΔx\Delta x=\frac{b-a}{n},\qquad x_k=a+k\Delta x

    切断方向に沿った長さを n 等分します。各小区間から代表点を選びます。

  2. 2:各薄片を柱で近似する
    Vn=∑k=1nA(xk)ΔxV_n=\sum_{k=1}^n A(x_k)\Delta x

    断面積×厚さが体積です。有限の厚さでは近似であり、まだ立体の体積との等式ではありません。

  3. 3:厚さを0へ近づける
    V=lim⁡n→∞Vn=∫abA(x) dxV=\lim_{n\to\infty}V_n=\int_a^b A(x)\,dx

    連続な断面積では、細分化による近似の誤差が0に近づきます。単位も「面積×長さ」で体積になります。

具体的に、底面が x2+y2≤9x^2+y^2\le9 の円で、各 xx における底面の弦を一辺とする正方形を垂直に立てた立体を考えます。−3≤x≤3-3\le x\le3 で弦の長さは 29−x22\sqrt{9-x^2}、断面積は A(x)=4(9−x2)A(x)=4(9-x^2)。体積は ∫−334(9−x2) dx=144\int_{-3}^{3}4(9-x^2)\,dx=144 です。円の面積に高さを掛けるのではなく、変わる断面積を積み上げます。

回転体:円板と円環を区別する

a≤x≤ba\le x\le b で 0≤y≤f(x)0\le y\le f(x) の領域を xx 軸のまわりに1回転させると、断面は半径 f(x)f(x) の円板です。一方、0≤g(x)≤y≤f(x)0\le g(x)\le y\le f(x) の領域では、外半径 R(x)=f(x)R(x)=f(x)、内半径 r(x)=g(x)r(x)=g(x) の円環になります。軸に接していない領域では穴の部分を必ず引きます。

V=π∫ab{R(x)2−r(x)2} dx(0≤r(x)≤R(x))V=\pi\int_a^b\{R(x)^2-r(x)^2\}\,dx\qquad (0\le r(x)\le R(x))

半径は座標そのものではなく回転軸からの距離です。回転軸が y=cy=c なら距離は ∣y−c∣|y-c|。領域が軸をまたぐ場合、断面が円板になることもあるので、単純に上下の値を二乗して引いてはいけません。yy 軸回転を円板で処理するなら、yy 軸に垂直に切り、半径を yy の関数で表して dydy で積分します。

例題2:穴のある回転体

y=xy=\sqrt{x} と y=x2y=x^2 に囲まれた領域を xx 軸のまわりに1回転させてできる立体の体積を求めよ。

解答・解説

交点は x=0,1x=0,1。0≤x≤10\le x\le1 で x≥x2≥0\sqrt{x}\ge x^2\ge0 なので、外半径 R=xR=\sqrt{x}、内半径 r=x2r=x^2 です。断面積は π(x−x4)\pi(x-x^4)、体積は V=π∫01(x−x4) dx=π[x22−x55]01=3π10V=\pi\int_0^1(x-x^4)\,dx=\pi[\frac{x^2}{2}-\frac{x^5}{5}]_0^1=\frac{3\pi}{10}。約 0.94250.9425 で、穴を埋めた立体の体積 π/2\pi/2 より小さくなります。

円環の面積は π(R2−r2)\pi(R^2-r^2) であって π(R−r)2\pi(R-r)^2 ではありません。また、回転させるのは「曲線だけ」ではなく指定された平面領域です。計算前に積分範囲・切断方向・回転軸・内外の半径を言葉か図で確認しましょう。
練習:領域と断面を先に書く
  1. y=exy=e^x、y=1y=1、x=0x=0、x=1x=1 で囲まれる領域の面積を求めよ。

    ヒント

    0≤x≤10\le x\le1 で上は exe^x、下は 1 です。

    解答・解説

    S=∫01(ex−1) dx=[ex−x]01=e−2S=\int_0^1(e^x-1)\,dx=[e^x-x]_0^1=e-2。約 0.71830.7183 で正です。積分範囲の左端で2曲線は接しているのではなく、交わっています。

  2. 0≤x≤π0\le x\le\pi、0≤y≤sin⁡x0\le y\le\sin x の領域を xx 軸のまわりに1回転させた体積を求めよ。

    ヒント

    断面は半径 sin⁡x\sin x の円板。sin⁡2x=(1−cos⁡2x)/2\sin^2x=(1-\cos2x)/2 を使います。

    解答・解説

    内半径は0、外半径は sin⁡x≥0\sin x\ge0。V=π∫0πsin⁡2x dx=π[x2−sin⁡2x4]0π=π2/2V=\pi\int_0^\pi\sin^2x\,dx=\pi[\frac{x}{2}-\frac{\sin2x}{4}]_0^\pi=\pi^2/2。約 4.93484.9348 です。

  3. y=2xy=2x と y=x2y=x^2 に囲まれる領域を xx 軸のまわりに1回転させた体積を求めよ。

    ヒント

    交点は x=0,2x=0,2。その間で外半径は 2x2x、内半径は x2x^2 です。

    解答・解説

    V=π∫02{(2x)2−(x2)2} dx=π[4x33−x55]02=64π15V=\pi\int_0^2\{(2x)^2-(x^2)^2\}\,dx=\pi[\frac{4x^3}{3}-\frac{x^5}{5}]_0^2=\frac{64\pi}{15}。約 13.404113.4041。半径の差の二乗でなく、それぞれの二乗の差を積分します。

確認クイズ

問1. 区間内で2曲線の上下が入れ替わるとき、面積を求める正しい方針は?

問2. 外半径3、内半径1の円環の断面積はいくらか。

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