この単元の目標- 第二次導関数の符号から凹凸を判定し、変曲点の条件を説明できる。
- 極限から漸近線を求め、接線や増減と組み合わせてグラフを描ける。
- 定義域の端点や極限を確認し、極値と最大値・最小値を区別できる。
一次の微分は増減、二次の微分は傾きの変化
導関数 f′ をさらに微分した f′′ を第二次導関数といいます。f′>0 なら関数値が増加し、f′′>0 なら接線の傾きが増加します。この二つは別の情報です。例えば e−x は減少しますが、傾きは負の大きな値から 0 に近づくので下に凸です。ここでも自然対数は lnx=logex と書きます。
| 区間での符号 | 傾きの動き | 曲線の形 |
|---|
| f′′>0 | f′ が増加する | 下に凸(おわん型、接線より上側) |
| f′′<0 | f′ が減少する | 上に凸(山型、接線より下側) |
変曲点は、グラフ上で凹凸が切り替わる点です。二階微分可能な滑らかな曲線なら f′′=0 の点が候補になりますが、その左右の符号まで調べます。f(x)=x4 は f′′(0)=0 でも左右とも下に凸なので変曲点ではありません。第二次導関数が存在しない点も候補になり得るため、0 になる点だけを機械的に探す方法には限界があります。
🔍 第二次導関数の符号から極小を判断する理由
- 停留点の近くで傾きが増加する
a が定義域の内点で、その近くで二階微分可能とします。
- 傾きの符号が負から正へ変わる
f' が増加し、a で 0 になることから従います。
- 減少から増加へ転じる
したがって a で極小です。f'' が連続なら f''(a)>0 から近傍の正値性が従います。負の場合は極大、0 の場合はこの判定だけでは決まりません。
接線と漸近線は、別の種類の直線
接線は点 (a,f(a)) 付近でグラフを一次式で近似する直線です。一方、漸近線は端や無限遠での極限から決めます。x→a の少なくとも片側で f(x)→±∞ なら x=a が垂直漸近線です。分母が 0 でも、約分できる穴だけなら垂直漸近線とは限りません。
m=0 なら水平漸近線です。負の無限遠についても別に調べ、左右で異なる漸近線をもつこともあります。「近づく」とは差が 0 に近づくことであり、漸近線とグラフが途中で交わることは禁止されていません。
- 定義域と対称性を確認し、除外点・端点・無限遠での極限を調べる。
- f' の符号で増減と極値を、f'' の符号で凹凸と変曲点を調べる。
- 軸との交点、接線、漸近線を記入し、各情報が矛盾しないように曲線を結ぶ。
- 最大最小では、内部の候補だけでなく含まれる端点の値も比較する。開いた端の極限値は、実際に達成されなければ最大値・最小値ではない。
例題1:対数関数の増減・凹凸・漸近線
f(x)=lnx/x(x>0)の極値、変曲点、漸近線、x=1 での接線を求めよう。
解答・解説
f′=(1−lnx)/x2 より (0,e) で増加、(e,∞) で減少し、最大値は f(e)=1/e。f′′=(2lnx−3)/x3 は x=e3/2 の左で負、右で正なので、変曲点は (e3/2,3/(2e3/2))。x→0+ で f→−∞、x→∞ で f→0 より漸近線は x=0,y=0。最小値はありません。f(1)=0,f′(1)=1 から接線は y=x−1 です。
例題1の無限遠では lnx も増えますが、x より遅いので lnx/x→0 です。数値の目安は最大点が (2.718,0.368)、変曲点が約 (4.482,0.335)。最大点と変曲点は一致せず、減少しながら凹凸が変わっています。 例題2:閉区間では端点を必ず比較する
f(x)=x3−3x を −2≤x≤3 で考える。最大値・最小値、変曲点、x=0 での接線を求めよう。
解答・解説
f′=3(x−1)(x+1) より内部の候補は x=−1,1。端点も含めると f(−2)=−2,f(−1)=2,f(1)=−2,f(3)=18。最大値は 18(x=3)、最小値は −2(x=−2,1)です。f′′=6x は 0 の左で負、右で正なので変曲点は (0,0)。f′(0)=−3 より接線は y=−3x。差 f(x)−(−3x)=x3 の符号が変わるので、ここではグラフが接線を横切ります。
誤解に注意: 極大値が全体の最大値とは限りません。また f′′=0 は変曲点の十分条件ではなく、凹凸の切り替わりとグラフ上の点であることが必要です。1/x は 0 の両側で凹凸が異なりますが、0 で関数が定義されないため、そこに変曲点はありません。閉区間で連続なら最大最小は存在しますが、開区間や無限区間では存在を別に確認します。 練習:境界と符号を確認する
f(x)=x4 の原点は変曲点か。また [−1,2] での最大値・最小値を求めよ。
ヒント
f''=12x² の左右の符号を調べ、端点と x=0 の値を比較する。
解答・解説
原点の左右で f′′>0 なので原点は変曲点ではありません。f(−1)=1,f(0)=0,f(2)=16 より、最大値 16(x=2)、最小値 0(x=0)です。
f(x)=x+1/x(x=0)の漸近線を求め、変曲点があるか調べよ。
ヒント
斜めの直線 y=x との差、および f''=2/x³ を見る。
解答・解説
f(x)−x=1/x→0(x→±∞)より y=x が漸近線。x→0± で発散するので x=0 も漸近線です。x<0 で上に凸、x>0 で下に凸ですが、0 は定義域外なので変曲点はありません。
f(x)=xe−x の [0,2] における最大値と最小値を求めよ。
ヒント
f'=e⁻ˣ(1−x)。内部の x=1 と両端点を比較する。
解答・解説
f(0)=0,f(1)=1/e,f(2)=2/e2。増加から減少へ移る x=1 で最大値 1/e、x=0 で最小値 0。参考に f′′=e−x(x−2) なので、全実数上なら x=2 は変曲点ですが、区間 [0,2] 内にはその両側がなく、内部の変曲点はありません。
確認クイズ
問1. 滑らかな曲線の変曲点を判定するとき、適切なのはどれ?
問2. f(x)=x を 0<x<1 で考えるとき、最大値・最小値は?