いろいろな関数の微分と対数微分法

積・商・合成関数の構造を見抜き、三角・指数・対数関数を定義域に注意して微分する。

この単元の目標
  • 積・商・合成関数の微分法を、関数の構造に応じて組み合わせられる。
  • 三角・指数・対数関数の導関数を、定義域とともに説明できる。
  • 対数微分法を用いて、底と指数の両方に変数を含む関数を微分できる。
📑 目次
  1. 計算前に「外側の構造」と定義域を見る
  2. 積・商・合成の三つのルール
  3. 三角・指数・対数関数の基本公式
  4. 対数微分法:積と累乗を和と積に変える

計算前に「外側の構造」と定義域を見る

微分は記号を機械的に置き換える作業ではありません。まず関数が積・商・合成のどれで組み立てられているかを調べ、使う公式を選びます。例えば ex2e^{x^2} は指数関数と二次関数の合成、x2exx^2e^x は積です。分母が 0 になる点、対数の真数が正でない点などは、計算を始める前に除きます。

この記事では $\ln x=\log_e x$ を自然対数 とします。ee は自然対数の底です。三角関数の角はすべてラジアン(弧度法)で測ります。度数法のままでは、以下の微分公式はそのまま使えません。

積・商・合成の三つのルール

(uv)′=u′v+uv′,(uv)′=u′v−uv′v2(v≠0)(uv)'=u'v+uv',\qquad \left(\frac{u}{v}\right)'=\frac{u'v-uv'}{v^2}\quad(v\ne0)
ddxF(g(x))=F′(g(x))g′(x)\frac{d}{dx}F(g(x))=F'(g(x))g'(x)

積では「片方だけを微分した項」を二つ足します。商では分子の順序が重要です。合成では外側を微分した後、内側の微分を掛けます。これらは u,v,gu,v,g と外側の FF が必要な点で微分可能であることを前提にしています。

🔍 差の分解から積の微分法を導く

  1. 積の差に同じ項を加減する
    u(x+h)v(x+h)−u(x)v(x)=[u(x+h)−u(x)]v(x+h)+u(x)[v(x+h)−v(x)]u(x+h)v(x+h)-u(x)v(x)=[u(x+h)-u(x)]v(x+h)+u(x)[v(x+h)-v(x)]

    両方の関数が同時に変わる差を、一つずつの変化に分けます。

  2. h で割って極限をとる
    lim⁡h→0Δ(uv)h=u′(x)v(x)+u(x)v′(x)\lim_{h\to0}\frac{\Delta(uv)}{h}=u'(x)v(x)+u(x)v'(x)

    微分可能なら連続なので、v(x+h) は v(x) に近づきます。積の微分が導関数どうしの積にならない理由です。

  3. 商は逆数との積とみなす
    (uv−1)′=u′v−1−uv−2v′=u′v−uv′v2(uv^{-1})'=u'v^{-1}-uv^{-2}v'=\frac{u'v-uv'}{v^2}

    逆数の合成関数の微分を使えば商の公式も得られます。ただし v は 0 でないことが必要です。

三角・指数・対数関数の基本公式

関数導関数条件
sin⁡x\sin xcos⁡x\cos x実数全体
cos⁡x\cos x−sin⁡x-\sin x実数全体
tan⁡x\tan x1/cos⁡2x1/\cos^2 xcos⁡x≠0\cos x\ne0
exe^xexe^x実数全体
axa^xaxln⁡aa^x\ln aa>0a>0(a=1a=1 なら導関数は 0)
ln⁡x\ln x1/x1/xx>0x>0
log⁡ax\log_a x1/(xln⁡a)1/(x\ln a)x>0, a>0, a≠1x>0,\ a>0,\ a\ne1

内側が u(x)u(x) なら各公式に u′(x)u'(x) を掛けます。例えば (sin⁡3x)′=3cos⁡3x(\sin 3x)'=3\cos 3x、(ex2)′=2xex2(e^{x^2})'=2xe^{x^2}、(ln⁡u)′=u′/u(\ln u)'=u'/u(u>0u>0)です。ln⁡∣u∣\ln|u| は u≠0u\ne0 の各区間で定義され、同じ導関数 u′/uu'/u をもちます。

例題1:積の中に合成関数がある場合

f(x)=exsin⁡2xf(x)=e^x\sin 2x を微分し、x=0x=0 での接線の傾きを求めよう。

解答・解説

積の微分で f′(x)=exsin⁡2x+ex⋅2cos⁡2x=ex(sin⁡2x+2cos⁡2x)f'(x)=e^x\sin 2x+e^x\cdot2\cos 2x=e^x(\sin 2x+2\cos 2x)。内側の 2x2x の微分を忘れないことが要点です。f′(0)=1(0+2)=2f'(0)=1(0+2)=2 なので傾きは 2。定義域は実数全体で、f(0)=0f(0)=0 より接線は y=2xy=2x です。

対数微分法:積と累乗を和と積に変える

y>0y>0 の式では両辺の自然対数をとり、ln⁡y\ln y を微分すると y′/yy'/y になります。求めた後に元の yy を掛ければ導関数です。特に y=u(x)v(x)y=u(x)^{v(x)}(u>0u>0)なら ln⁡y=vln⁡u\ln y=v\ln u とでき、指数にも変数がある場合を扱えます。符号が一定で 0 でない関数なら ln⁡∣y∣\ln|y| を使う方法もあります。

y=uv (u>0)⟹y′=uv(v′ln⁡u+vu′u)y=u^v\ (u>0)\quad\Longrightarrow\quad y'=u^v\left(v'\ln u+v\frac{u'}{u}\right)
例題2:底と指数の両方が変化する

y=xxy=x^x(x>0x>0)を微分し、x=1x=1 での微分係数を求めよう。

解答・解説

ln⁡y=xln⁡x\ln y=x\ln x。両辺を微分すると y′/y=ln⁡x+1y'/y=\ln x+1 なので y′=xx(ln⁡x+1)y'=x^x(\ln x+1)。x=1x=1 では y′=1y'=1 です。xx=exln⁡xx^x=e^{x\ln x} と書き直して合成関数として微分しても同じ答えになります。実数上で滑らかな関数として扱うため、ここでは定義域を x>0x>0 に限っています。

誤解に注意: (uv)′=u′v′(uv)'=u'v' ではありません。また xxx^x に「指数を前に出す」公式だけを使うことはできません。その公式は指数が定数の場合です。ln⁡(x2)\ln(x^2) の定義域は x≠0x\ne0 で、2ln⁡∣x∣2\ln|x| と書くのが正確です。式を簡単にしても、元の関数で除かれていた点を勝手に戻してはいけません。
練習:構造と定義域をセットで答える
  1. f(x)=ln⁡x/xf(x)=\ln x/x を微分し、f′(e)f'(e) を求めよ。

    ヒント

    定義域は x>0。商の分子は「分子の微分×分母 − 分子×分母の微分」。

    解答・解説

    f′(x)=[(1/x)x−ln⁡x]/x2=(1−ln⁡x)/x2f'(x)=[(1/x)x-\ln x]/x^2=(1-\ln x)/x^2。ln⁡e=1\ln e=1 より f′(e)=0f'(e)=0 です。

  2. y=tan⁡3xy=\tan 3x の導関数と定義域を求めよ。

    ヒント

    内側の 3x を微分する。定義域では cos 3x が 0 になる点を除く。

    解答・解説

    y′=3/cos⁡23xy'=3/\cos^2 3x。定義域は x≠π/6+kπ/3x\ne\pi/6+k\pi/3(kk は整数)。例えば x=0x=0 の傾きは 3 です。

  3. y=ln⁡∣x2−1∣y=\ln|x^2-1| を微分し、定義域を答えよ。

    ヒント

    ln|u| の導関数は u'/u。ただし u=0 は除く。

    解答・解説

    y′=2x/(x2−1)y'=2x/(x^2-1)、定義域は x≠±1x\ne\pm1。−1<x<1-1<x<1 でも絶対値の中が 0 でなければ定義されます。例えば x=0x=0 では y=0, y′=0y=0,\ y'=0 です。

確認クイズ

問1. x>0x>0 で y=ln⁡(2x)y=\ln(2x) の導関数はどれ?

問2. y=2xy=2^x の導関数はどれ?

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