分数関数・無理関数と逆関数・合成関数

式だけでなく定義域と値域を追い、逆関数の枝と合成の順序を正しく扱う。

この単元の目標
  • 分数関数・無理関数の定義域、値域、基本的なグラフの特徴を説明できる。
  • 一対一性と定義域の制限を確認して逆関数を求め、枝を選べる。
  • 合成関数の式と定義域を、内側から外側へ条件をつないで求められる。
📑 目次
  1. 関数は「式と入力の範囲」の組である
  2. 分数関数と無理関数の基本形
  3. 逆関数には一対一性が必要
  4. 合成関数:内側の出力が外側に入るか

関数は「式と入力の範囲」の組である

関数は、定義域の各入力に出力をただ一つ対応させる規則です。実際に出てくる出力全体が値域です。同じ x2x^2 でも、定義域が実数全体か x≥0x\ge0 かで逆関数の有無が変わります。以下では実数の範囲で考え、特に指定がなければ式が意味をもつ実数全体を定義域とします。

分数関数と無理関数の基本形

y=ax−p+q(a≠0),y=x−p+qy=\frac{a}{x-p}+q\quad(a\ne0),\qquad y=\sqrt{x-p}+q

分数関数の基本形は y=a/xy=a/x を横に pp、縦に qq 移動した双曲線です。分母が0になる x=px=p は除きます。a≠0a\ne0 なら分数部分は0にならず、値域は y≠qy\ne q。直線 x=px=p と y=qy=q は漸近線です。a>0a>0 なら中心 (p,q)(p,q) の右上・左下、a<0a<0 なら右下・左上に枝があります。

平方根 u\sqrt{u} は u≥0u\ge0 に対して非負の値を表します。したがって y=x−p+qy=\sqrt{x-p}+q の定義域は x≥px\ge p、値域は y≥qy\ge q です。y=−x−p+qy=-\sqrt{x-p}+q なら値域は y≤qy\le q。根号の前の符号は、グラフの上側・下側の枝を決めます。

式定義域値域
y=2/(x−1)+3y=2/(x-1)+3x≠1x\ne1y≠3y\ne3
y=2x−4y=\sqrt{2x-4}x≥2x\ge2y≥0y\ge0
y=−x+1+2y=-\sqrt{x+1}+2x≥−1x\ge-1y≤2y\le2

逆関数には一対一性が必要

ff の値域を入力集合として、出力から元の入力へ戻す関数を f−1f^{-1} と書きます。異なる入力が同じ出力をもたないこと(一対一性)が必要です。単調増加・単調減少なら一対一です。y=x2y=x^2 は実数全体では一対一ではありませんが、x≥0x\ge0 に制限すれば逆関数は y=xy=\sqrt{x}、x≤0x\le0 に制限すれば y=−xy=-\sqrt{x} です。

Dom⁡(f−1)=Ran⁡(f),Ran⁡(f−1)=Dom⁡(f)\operatorname{Dom}(f^{-1})=\operatorname{Ran}(f),\quad \operatorname{Ran}(f^{-1})=\operatorname{Dom}(f)

計算は「y=f(x)y=f(x) を xx について解く→x,yx,y を交換する」の順です。同時に範囲も交換します。点 (a,b)(a,b) は (b,a)(b,a) に移るため、元の関数と逆関数のグラフは直線 y=xy=x に関して対称です。二乗で解く場合は、二乗前の符号条件を最後まで残しましょう。

🔍 平方根の逆関数を、範囲を保存して導く

  1. 元の関数と値域
    y=x−1+2,x≥1,y≥2y=\sqrt{x-1}+2,\quad x\ge1,\quad y\ge2

    平方根は非負なので、出力は2以上です。元の関数は単調増加です。

  2. 符号条件付きで二乗
    y−2=x−1≥0 ⟹ x=(y−2)2+1y-2=\sqrt{x-1}\ge0\ \Longrightarrow\ x=(y-2)^2+1

    条件 y≥2 があるので、二乗しても元の式に戻せます。

  3. 変数と範囲を交換
    f−1(x)=(x−2)2+1,x≥2f^{-1}(x)=(x-2)^2+1,\quad x\ge2

    値域は y≥1。放物線全体ではなく頂点の右側の枝です。

  4. 合成して検算
    f(f−1(x))=(x−2)2+2=∣x−2∣+2=x(x≥2)f(f^{-1}(x))=\sqrt{(x-2)^2}+2=|x-2|+2=x\quad(x\ge2)

    定義域の制限があるから絶対値を外せます。

例題1:分数関数の逆関数と値域

f(x)=2x+1x−1f(x)=\dfrac{2x+1}{x-1} の定義域、値域、逆関数を求めよ。

解答・解説

f(x)=2+3/(x−1)f(x)=2+3/(x-1) より定義域は x≠1x\ne1、値域は y≠2y\ne2。y(x−1)=2x+1y(x-1)=2x+1 から (y−2)x=y+1(y-2)x=y+1 なので x=(y+1)/(y−2)x=(y+1)/(y-2)。したがって f−1(x)=(x+1)/(x−2)f^{-1}(x)=(x+1)/(x-2)、定義域は x≠2x\ne2、値域は y≠1y\ne1。各 y≠2y\ne2 に入力がただ一つ決まるので一対一性も確認できます。例えば f(2)=5f(2)=5、f−1(5)=2f^{-1}(5)=2 と元に戻ります。

合成関数:内側の出力が外側に入るか

(f∘g)(x)=f(g(x)),Df∘g={x∈Dg∣g(x)∈Df}(f\circ g)(x)=f(g(x)),\qquad D_{f\circ g}=\{x\in D_g\mid g(x)\in D_f\}

f∘gf\circ g は、まず gg、次に ff を作用させます。内側の g(x)g(x) が計算でき、さらにその値が外側の ff の定義域に入る必要があります。f∘gf\circ g と g∘fg\circ f は一般に式も定義域も違います。約分や平方根の整理で式が簡単になっても、元の合成にあった入力制限は消せません。

例題2:順序で変わる合成の定義域

f(x)=xf(x)=\sqrt{x}、g(x)=1/(x−1)g(x)=1/(x-1) とする。f∘gf\circ g と g∘fg\circ f の式・定義域・値域を求めよ。

解答・解説

(f∘g)(x)=1/(x−1)(f\circ g)(x)=\sqrt{1/(x-1)}。x≠1x\ne1 に加え 1/(x−1)≥01/(x-1)\ge0 が必要なので定義域は x>1x>1。出力は正で、任意の y>0y>0 は x=1+1/y2x=1+1/y^2 で得られるため値域は y>0y>0。一方 (g∘f)(x)=1/(x−1)(g\circ f)(x)=1/(\sqrt{x}-1) は x≥0x\ge0 かつ x≠1x\ne1。t=x≥0t=\sqrt{x}\ge0 とおくと、0≤t<10\le t<1 では y≤−1y\le-1、t>1t>1 では y>0y>0 なので、値域は (−∞,−1]∪(0,∞)(-\infty,-1]\cup(0,\infty) です。

よくある誤解:f−1(x)f^{-1}(x) は逆関数であり 1/f(x)1/f(x) ではありません。また x2=∣x∣\sqrt{x^2}=|x| であって常に xx ではありません。逆関数の式に「±\pm」を付けたままでは入力一つに出力が二つとなり、関数になりません。元の定義域に合わせて枝を選びます。
練習:必ず範囲も書こう
  1. f(x)=(x−1)2f(x)=(x-1)^2 を x≤1x\le1 で定義する。逆関数とその定義域・値域を求めよ。

    ヒント

    x−1≤0x-1\le0 なので、平方根を取るとき負の枝を選びます。

    解答・解説

    y≥0y\ge0、x−1=−yx-1=-\sqrt{y} より f−1(x)=1−xf^{-1}(x)=1-\sqrt{x}。定義域は x≥0x\ge0、値域は y≤1y\le1。f−1(f(x))=1−∣x−1∣=xf^{-1}(f(x))=1-|x-1|=x は元の範囲 x≤1x\le1 で成立します。

  2. h(x)=3−x+1h(x)=\sqrt{3-x}+1 の定義域と値域を求めよ。

    ヒント

    根号の中を0以上にし、平方根自体がどんな値を取るか考えます。

    解答・解説

    3−x≥03-x\ge0 より定義域は x≤3x\le3。平方根は0以上のすべての値を取るので値域は y≥1y\ge1。実際、任意の y≥1y\ge1 に対して x=3−(y−1)2≤3x=3-(y-1)^2\le3 とすれば h(x)=yh(x)=y です。

  3. f(x)=x−2f(x)=\sqrt{x-2}、g(x)=x2g(x)=x^2 のとき、f∘gf\circ g と g∘fg\circ f の式と定義域を求めよ。

    ヒント

    最初の合成では x2≥2x^2\ge2、次の合成では内側の平方根の条件を使います。

    解答・解説

    (f∘g)(x)=x2−2(f\circ g)(x)=\sqrt{x^2-2}、定義域は x≤−2x\le-\sqrt{2} または x≥2x\ge\sqrt{2}。(g∘f)(x)=(x−2)2=x−2(g\circ f)(x)=(\sqrt{x-2})^2=x-2、定義域は x≥2x\ge2。後者を整理した式だけ見て全実数に広げてはいけません。

確認クイズ

問1. f(x)=x2f(x)=x^2(x≤0x\le0)の逆関数はどれか。

問2. f(x)=1/xf(x)=1/x、g(x)=x−2g(x)=x-2 のとき、(f∘g)(x)(f\circ g)(x) とその定義域はどれか。

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