この単元の目標- 分数関数・無理関数の定義域、値域、基本的なグラフの特徴を説明できる。
- 一対一性と定義域の制限を確認して逆関数を求め、枝を選べる。
- 合成関数の式と定義域を、内側から外側へ条件をつないで求められる。
📑 目次
- 関数は「式と入力の範囲」の組である
- 分数関数と無理関数の基本形
- 逆関数には一対一性が必要
- 合成関数:内側の出力が外側に入るか
関数は「式と入力の範囲」の組である
関数は、定義域の各入力に出力をただ一つ対応させる規則です。実際に出てくる出力全体が値域です。同じ x2 でも、定義域が実数全体か x≥0 かで逆関数の有無が変わります。以下では実数の範囲で考え、特に指定がなければ式が意味をもつ実数全体を定義域とします。
分数関数と無理関数の基本形
分数関数の基本形は y=a/x を横に p、縦に q 移動した双曲線です。分母が0になる x=p は除きます。a=0 なら分数部分は0にならず、値域は y=q。直線 x=p と y=q は漸近線です。a>0 なら中心 (p,q) の右上・左下、a<0 なら右下・左上に枝があります。
平方根 u は u≥0 に対して非負の値を表します。したがって y=x−p+q の定義域は x≥p、値域は y≥q です。y=−x−p+q なら値域は y≤q。根号の前の符号は、グラフの上側・下側の枝を決めます。
| 式 | 定義域 | 値域 |
|---|
| y=2/(x−1)+3 | x=1 | y=3 |
| y=2x−4 | x≥2 | y≥0 |
| y=−x+1+2 | x≥−1 | y≤2 |
逆関数には一対一性が必要
f の値域を入力集合として、出力から元の入力へ戻す関数を f−1 と書きます。異なる入力が同じ出力をもたないこと(一対一性)が必要です。単調増加・単調減少なら一対一です。y=x2 は実数全体では一対一ではありませんが、x≥0 に制限すれば逆関数は y=x、x≤0 に制限すれば y=−x です。
計算は「y=f(x) を x について解く→x,y を交換する」の順です。同時に範囲も交換します。点 (a,b) は (b,a) に移るため、元の関数と逆関数のグラフは直線 y=x に関して対称です。二乗で解く場合は、二乗前の符号条件を最後まで残しましょう。
🔍 平方根の逆関数を、範囲を保存して導く
- 元の関数と値域
平方根は非負なので、出力は2以上です。元の関数は単調増加です。
- 符号条件付きで二乗
条件 y≥2 があるので、二乗しても元の式に戻せます。
- 変数と範囲を交換
値域は y≥1。放物線全体ではなく頂点の右側の枝です。
- 合成して検算
定義域の制限があるから絶対値を外せます。
例題1:分数関数の逆関数と値域
f(x)=x−12x+1 の定義域、値域、逆関数を求めよ。
解答・解説
f(x)=2+3/(x−1) より定義域は x=1、値域は y=2。y(x−1)=2x+1 から (y−2)x=y+1 なので x=(y+1)/(y−2)。したがって f−1(x)=(x+1)/(x−2)、定義域は x=2、値域は y=1。各 y=2 に入力がただ一つ決まるので一対一性も確認できます。例えば f(2)=5、f−1(5)=2 と元に戻ります。
合成関数:内側の出力が外側に入るか
f∘g は、まず g、次に f を作用させます。内側の g(x) が計算でき、さらにその値が外側の f の定義域に入る必要があります。f∘g と g∘f は一般に式も定義域も違います。約分や平方根の整理で式が簡単になっても、元の合成にあった入力制限は消せません。
例題2:順序で変わる合成の定義域
f(x)=x、g(x)=1/(x−1) とする。f∘g と g∘f の式・定義域・値域を求めよ。
解答・解説
(f∘g)(x)=1/(x−1)。x=1 に加え 1/(x−1)≥0 が必要なので定義域は x>1。出力は正で、任意の y>0 は x=1+1/y2 で得られるため値域は y>0。一方 (g∘f)(x)=1/(x−1) は x≥0 かつ x=1。t=x≥0 とおくと、0≤t<1 では y≤−1、t>1 では y>0 なので、値域は (−∞,−1]∪(0,∞) です。
よくある誤解:f−1(x) は逆関数であり 1/f(x) ではありません。また x2=∣x∣ であって常に x ではありません。逆関数の式に「±」を付けたままでは入力一つに出力が二つとなり、関数になりません。元の定義域に合わせて枝を選びます。 練習:必ず範囲も書こう
f(x)=(x−1)2 を x≤1 で定義する。逆関数とその定義域・値域を求めよ。
ヒント
x−1≤0 なので、平方根を取るとき負の枝を選びます。
解答・解説
y≥0、x−1=−y より f−1(x)=1−x。定義域は x≥0、値域は y≤1。f−1(f(x))=1−∣x−1∣=x は元の範囲 x≤1 で成立します。
h(x)=3−x+1 の定義域と値域を求めよ。
ヒント
根号の中を0以上にし、平方根自体がどんな値を取るか考えます。
解答・解説
3−x≥0 より定義域は x≤3。平方根は0以上のすべての値を取るので値域は y≥1。実際、任意の y≥1 に対して x=3−(y−1)2≤3 とすれば h(x)=y です。
f(x)=x−2、g(x)=x2 のとき、f∘g と g∘f の式と定義域を求めよ。
ヒント
最初の合成では x2≥2、次の合成では内側の平方根の条件を使います。
解答・解説
(f∘g)(x)=x2−2、定義域は x≤−2 または x≥2。(g∘f)(x)=(x−2)2=x−2、定義域は x≥2。後者を整理した式だけ見て全実数に広げてはいけません。
確認クイズ
問1. f(x)=x2(x≤0)の逆関数はどれか。
問2. f(x)=1/x、g(x)=x−2 のとき、(f∘g)(x) とその定義域はどれか。