この単元の目標- 三つの二次曲線の距離による定義と標準形を対応させ、焦点・準線・漸近線を比較できる。
- 平方完成と座標の平行移動を使い、曲線の種類・中心または頂点・軸の向きを判定できる。
- 直線を代入した方程式の次数を確認し、共有点と接線を判別できる。
📑 目次
- 1.最初に「何が一定か」を比べる
- 2.標準形から何を読み取るか
- 3.平行移動は新しい座標で処理する
- 4.共有点・接線は「代入→次数→判別式」
- 5.接点が与えられたときの近道
- 練習問題:比較から解法選択まで
- 確認クイズ
1.最初に「何が一定か」を比べる
本記事は、二次曲線の詳細な性質を個別に調べるよりも、式を見て種類を選び、問題の解法を組み立てる練習に重点を置きます。以下では回転のない非退化な曲線を扱います。点 P から焦点 F までの距離を PF、直線までの距離を d(P,ℓ) と書きます。
| 曲線 | 距離による定義 | 横向きの標準形 |
|---|
| 放物線 | 焦点までの距離=準線までの距離 | y2=4px(p=0) |
| 楕円 | 2焦点までの距離の和が 2a | x2/a2+y2/b2=1(a>b>0) |
| 双曲線 | 2焦点までの距離の差の絶対値が 2a | x2/a2−y2/b2=1(a,b>0) |
楕円・双曲線の焦点を (±c,0) とします。楕円は 2a>2c、双曲線は 0<2a<2c が必要です。「差」には絶対値を付けるので、双曲線の左右両方の枝が含まれます。円は a=b の楕円ですが、ここでは準線も比べるため、円以外を表に載せています。
2.標準形から何を読み取るか
🔍 放物線は二つの距離を二乗して比べる
- 焦点と準線を決める
pの絶対値は頂点から焦点までの距離。p自身には向きの情報がある。
- 距離が等しい条件を書く
点から鉛直線までの距離は、横座標の差の絶対値である。
- 両辺を二乗して整理
元の両辺が非負なので二乗は同値。係数4pをそのまま焦点の座標にしない。
| 項目 | 放物線 | 楕円 | 双曲線 |
|---|
| 焦点 | (p,0) | (±c,0), c2=a2−b2 | (±c,0), c2=a2+b2 |
| 準線 | x=−p | x=±a2/c | x=±a2/c |
| 頂点(横軸上) | (0,0) | (±a,0) | (±a,0) |
| 実数の漸近線 | なし | なし | y=±(b/a)x |
| 形を選ぶ手掛かり | 二乗項が一つ | 二乗項が同符号 | 二乗項が異符号 |
二乗項の符号だけで最終決定しないこと。例えば x2+y2=−1 は実点を持たず、x2−y2=0 は2直線です。平方完成して右辺を整理し、非退化な標準形になるか確かめます。 放物線は p>0 なら右向き、p<0 なら左向きです。楕円の長軸は大きい分母の側、双曲線の枝が開く軸は右辺を1にしたときの正の項の側です。双曲線では a が b より大きいとは限りません。縦向きの場合は、表の x と y の役割を交換します。
焦点と対応する準線について PF=ed(P,ℓ) とも書けます。放物線は e=1、楕円は e=c/a<1、双曲線は e=c/a>1。右焦点には正符号の準線、左焦点には負符号の準線が対応します。準線は距離を測る基準、漸近線は遠方で曲線が近づく直線であり、別物です。
🔍 符号の違いが焦点の公式を変える理由
- 楕円の短軸端で距離の和を見る
左右の焦点までの距離が等しく、和が2aになる。
- 楕円では引き算
長半径aが、直角三角形の斜辺になる。
- 双曲線の右枝で距離差を使う
r₋は左焦点、r₊は右焦点までの距離。右枝ではx≥a、c>aとする。
- 距離公式を代入して整理
したがってb²=c²−a²、つまりc²=a²+b²。左枝は対称性で得られる。
🔍 双曲線の漸近線を読む
- 二乗項を因数分解
- 遠方での傾きを確認
各枝でy=±(b/a)√(x²−a²)と書けば、対応する直線との差も0に近づく。
- 漸近線そのものを代入
標準形の双曲線と、その漸近線には有限の共有点がない。
3.平行移動は新しい座標で処理する
平方完成で (x−h) と (y−k) を作り、いったん X,Y の標準形として読みます。最後に点の座標へ (h,k) を足します。楕円・双曲線なら中心が (h,k)、放物線なら頂点が (h,k) です。直線も同じだけ移動するので、双曲線の漸近線は y−k=±(b/a)(x−h) となります。
例題1:展開された楕円を比較表に戻す
9x2+25y2−18x+100y−116=0 の中心、焦点、準線を求めよ。
解答・解説
平方完成すると 9(x−1)2+25(y+2)2=225。よって (x−1)2/25+(y+2)2/9=1 で中心は (1,−2)。長軸は横向き、a=5,b=3,c=4 だから焦点は (−3,−2),(5,−2)、準線は x=1±25/4。検算として右の頂点 (6,−2) を元の式に代入すると 324+100−108−200−116=0 となる。
「中心が右へ1、下へ2」なら式は (x−1) と (y+2)。式の中の符号と移動方向を混同したら、新座標の原点 X=Y=0 を解いて中心を確かめましょう。 4.共有点・接線は「代入→次数→判別式」
- 直線を曲線に代入し、一変数の方程式にする。鉛直線なら x を定数として代入する。
- 最高次係数を調べる。二次方程式のままなら判別式 D を使う。
- 二次なら D>0 は2共有点、D=0 は重解に対応する接点、D<0 は共有点なし。
- 一次式や定数式になった場合は直接解く。共有点が1個というだけで接線と断定しない。
🔍 楕円と直線 y=mx+n の接線条件
- 代入して分母を払う
a,b>0なので二次係数は常に正。
- 判別式を整理
- 接線条件
これは傾きが存在する直線についての条件。鉛直接線x=±aは別に調べる。
例題2:指定した傾きの楕円の接線
楕円 x2/9+y2/4=1 に接し、傾きが1である直線をすべて求め、接点も示せ。
解答・解説
y=x+n と置くと 13x2+18nx+9n2−36=0。D=144(13−n2) より n=±13。接線は y=x±13。重解は x=−9n/13、y=4n/13 だから接点は (−9n/13,4n/13)。x2/9+y2/4=n2/13=1 で曲線上にあることも確認できる。
双曲線に y=mx+n を代入すると、二次係数は b2−a2m2 です。m=±b/a ではこれが0になり、直線は漸近線と平行になります。接線条件を公式として使う前に、この場合を除かなければなりません。
例題3:共有点が1個でも接線とは限らない
双曲線 x2/4−y2=1 と、直線 y=x/2、y=x/2+1 の共有点をそれぞれ調べよ。後者は接線か。
解答・解説
前者は代入すると 0=1 で共有点なし。この直線は漸近線である。後者は x2/4−(x/2+1)2=1、すなわち −x−1=1 から x=−2,y=0 の1点だけを共有する。しかしこの頂点での接線は x=−2。したがって y=x/2+1 は接線ではない。二次式が一次式に下がったことが原因であり、重解が生じたのではない。
5.接点が与えられたときの近道
曲線上の点 (x0,y0) が既知なら、次の接線の公式を使えます。楕円・双曲線では二乗項を座標の積に置き換えた形です。平行移動後は x,y,x0,y0 をすべて新座標に直してから使います。
曲線外の点を接点公式へ代入しても、その点での接線にはなりません。また双曲線で形式的に D=0 を計算すると、漸近線まで候補に入る場合があります。必ず二次係数が0でないことと、実際の接点が存在することを確認します。放物線でも軸に平行な直線は共有点が1個でも通常は接線ではありません。 練習問題:比較から解法選択まで
焦点や準線を聞かれたら平方完成、直線の切片を聞かれたら代入と判別式、接点が既知なら接点公式、と入口を選びます。答えを出した後は、焦点が対称に並ぶか、接点が曲線と直線の両方を満たすかを確かめましょう。
練習問題
放物線 (y−1)2=−8(x+2) の頂点・焦点・準線・開く向きを求めよ。
ヒント
X=x+2,Y=y−1 として Y2=4pX と比べる。
解答・解説
p=−2、頂点は (−2,1)。新座標の焦点 (−2,0) を戻して焦点は (−4,1)、準線 X=2 は x=0。左向きに開く。頂点から焦点・準線までの距離はどちらも2。
楕円 (x+1)2/4+(y−3)2/9=1 の焦点と準線を求めよ。
ヒント
長軸は縦向き。長半径は3、短半径は2。
解答・解説
c=9−4=5。中心 (−1,3) から縦方向に移動して焦点は (−1,3±5)。準線も横ではなく縦座標が一定の直線 y=3±9/5 になる。
双曲線 x2/9−y2/16=1 の漸近線と、点 (5,16/3) における接線を求めよ。
ヒント
点が曲線上にあることを確かめてから接点公式を使う。
解答・解説
漸近線は y=±4x/3。25/9−(256/9)/16=1 より指定点は曲線上。接線は 5x/9−y/3=1、すなわち 5x−3y=9。代入すると (3x−15)2=0 が得られ、x=5 が重解となる。
放物線 y2=8x と直線 y=x+t の共有点の個数を実数 t で分類し、接するときの接点を求めよ。さらに直線 y=2 は接線か。
ヒント
前半は (x+t)2=8x の判別式。後半は代入後の次数が違う。
解答・解説
x2+(2t−8)x+t2=0 の判別式は D=64−32t。t<2 で2個、t=2 で1個、t>2 で0個。接するとき x=2,y=4。一方 y=2 は (1/2,2) の1点で交わるが、そこでの接線は y=2x+1 なので接線ではない。
確認クイズ
確認クイズ
問1. 双曲線 y2/4−x2/9=1 の焦点はどれか。
問2. 双曲線 x2/4−y2=1 に直線 y=x/2 を代入すると、形式的な判別式は0になる。正しい結論は?
問3. 双曲線 (x−2)2/9−(y+1)2/4=1 の漸近線はどれか。