空間ベクトルで測る垂線・距離・球

所属条件をパラメータで、垂直条件を内積で表す。垂線の足を求め、点と直線・平面の距離や球の切り口へ応用する。

この単元の目標
  • 空間内の点から直線または平面に下ろした垂線の足と距離を求められる
  • 内積で球や平面を表し、球と平面の位置関係を判定できる
  • 求めた点の所属条件と垂直条件を代入して検算できる
📑 目次
  1. 垂線の足には二つの条件がある
  2. 平面への垂線は法線方向に進む
  3. 球を内積で表すと距離条件が見える

垂線の足には二つの条件がある

空間図形では見た目の角度や交わり方は当てになりません。点Pから直線へ下ろした垂線の足Hは、①Hがその直線上にある、②PHが直線の方向に垂直、の両方を満たす点です。直線上の基準点Aの位置ベクトルを a⃗\vec a、0でない方向ベクトルを d⃗\vec d として、①を h⃗=a⃗+td⃗\vec h=\vec a+t\vec d と書き、②を内積0で表します。

🔍 点から直線への正射影と最短距離

  1. 所属条件を垂直条件に代入
    (p⃗−a⃗−td⃗)⋅d⃗=0(\vec p-\vec a-t\vec d)\cdot\vec d=0
  2. パラメータを決める
    t0=(p⃗−a⃗)⋅d⃗∣d⃗∣2,h⃗=a⃗+t0d⃗t_0=\frac{(\vec p-\vec a)\cdot\vec d}{|\vec d|^2},\qquad\vec h=\vec a+t_0\vec d

    方向ベクトルは0でないので分母は正。単位ベクトルに直す必要はない。

  3. 距離の平方を整理
    PH2=∣p⃗−a⃗∣2−{(p⃗−a⃗)⋅d⃗}2∣d⃗∣2PH^2=|\vec p-\vec a|^2-\frac{\{(\vec p-\vec a)\cdot\vec d\}^2}{|\vec d|^2}

    平行成分と垂直成分の直角三角形に三平方の定理を使った式。

  4. 最短である理由
    ∣p⃗−(a⃗+sd⃗)∣2=∣p⃗−h⃗∣2+(s−t0)2∣d⃗∣2≥PH2|\vec p-(\vec a+s\vec d)|^2=|\vec p-\vec h|^2+(s-t_0)^2|\vec d|^2\ge PH^2

    交差項は内積0で消える。等号はs=t₀のとき。

平面への垂線は法線方向に進む

平面 n⃗⋅x⃗=k\vec n\cdot\vec x=k の0でないベクトル n⃗\vec n を法線ベクトルといいます。平面内の任意の移動ベクトルと垂直です。Pから平面への垂線の足を h⃗=p⃗−λn⃗\vec h=\vec p-\lambda\vec n とおけば、Hが平面上という条件から λ\lambda が決まります。

λ=n⃗⋅p⃗−k∣n⃗∣2,h⃗=p⃗−n⃗⋅p⃗−k∣n⃗∣2n⃗,PH=∣n⃗⋅p⃗−k∣∣n⃗∣\lambda=\frac{\vec n\cdot\vec p-k}{|\vec n|^2},\quad\vec h=\vec p-\frac{\vec n\cdot\vec p-k}{|\vec n|^2}\vec n,\quad PH=\frac{|\vec n\cdot\vec p-k|}{|\vec n|}

距離公式の分母が ∣n⃗∣|\vec n| なのは、移動量の大きさが ∣λ∣ ∣n⃗∣|\lambda|\,|\vec n| だからです。一方、足のベクトルを求める係数の分母は ∣n⃗∣2|\vec n|^2。この二つを区別しましょう。平面の式全体を0でない定数倍しても、同じ足と距離が得られます。

球を内積で表すと距離条件が見える

中心C、半径 r>0r>0 の球面は ∣x⃗−c⃗∣2=r2|\vec x-\vec c|^2=r^2 です。また、異なる二点A,Bを直径の両端とする球面は、直径を見込む角が直角という条件から次のように表せます。両端点も方程式には含まれますが、その点では角は定義しません。

(x⃗−a⃗)⋅(x⃗−b⃗)=0⟺∣x⃗−a⃗+b⃗2∣2=∣a⃗−b⃗∣24(\vec x-\vec a)\cdot(\vec x-\vec b)=0\quad\Longleftrightarrow\quad\left|\vec x-\frac{\vec a+\vec b}{2}\right|^2=\frac{|\vec a-\vec b|^2}{4}

中心から平面までの距離を δ\delta とすると、δ>r\delta>r なら共有点なし、δ=r\delta=r なら接し、δ<r\delta<r なら交わりは円です。切り口の中心はCから平面への垂線の足Hで、切り口の半径は r2−δ2\sqrt{r^2-\delta^2}。球面上の点Xについて三角形CHXが直角になることから分かります。

例題1:空間の直線へ下ろした垂線の足

点 P(3,1,2)P(3,1,2) から、点 A(1,0,1)A(1,0,1) を通り方向ベクトル d⃗=(1,2,2)\vec d=(1,2,2) をもつ直線に下ろした垂線の足Hと距離を求めよ。

解答・解説

p⃗−a⃗=(2,1,1)\vec p-\vec a=(2,1,1)、内積は 2+2+2=62+2+2=6、∣d⃗∣2=9|\vec d|^2=9 より t0=2/3t_0=2/3。H=(1,0,1)+23(1,2,2)=(5/3,4/3,7/3)H=(1,0,1)+\frac23(1,2,2)=(5/3,4/3,7/3) です。HP→=(4/3,−1/3,−1/3)\overrightarrow{HP}=(4/3,-1/3,-1/3) より PH=18/9=2PH=\sqrt{18/9}=\sqrt2。検算すると HP→⋅d⃗=(4−2−2)/3=0\overrightarrow{HP}\cdot\vec d=(4-2-2)/3=0。HはAに方向ベクトルの実数倍を足した点なので、直線への所属条件も満たします。

例題2:球と平面の切り口の中心・半径

球面 (x−1)2+(y+2)2+(z−2)2=9(x-1)^2+(y+2)^2+(z-2)^2=9 と平面 x+2y+2z=7x+2y+2z=7 の交わりが円であることを示し、その中心と半径を求めよ。

解答・解説

球の中心は C(1,−2,2)C(1,-2,2)、半径は3。法線 n⃗=(1,2,2)\vec n=(1,2,2) の長さは3で、n⃗⋅c⃗=1\vec n\cdot\vec c=1。中心と平面の距離は ∣1−7∣/3=2<3|1-7|/3=2<3 なので交わりは円です。H=C−1−79n⃗=(5/3,−2/3,10/3)H=C-\frac{1-7}{9}\vec n=(5/3,-2/3,10/3)。平面への代入で 5/3−4/3+20/3=75/3-4/3+20/3=7、また CH=2CH=2 と確認できます。切り口の半径は 9−4=5\sqrt{9-4}=\sqrt5。中心Hは球の内部の点であり、球面上の点ではありません。

空間で「ある一方向に垂直」だけでは、特定の平面に垂直とはいえません。平面に垂直なベクトルを内積で確認するなら、平面内の一次独立な二方向の両方と内積0であることが必要です。また点と線分の距離では、直線への射影パラメータが線分の範囲外なら近い端点までの距離を採用します。
計算後は「点を直線・平面の式に代入」「差ベクトルの内積0」「距離の平方が非負」の三点を確認します。球面との交点問題では、中心からの距離が半径に等しいかも調べましょう。平方で計算し、最後にだけ平方根を取ると分数計算を減らせます。
練習:内積を条件へ翻訳する
  1. P(1,2,3)P(1,2,3) から平面 x+y+z=0x+y+z=0 への垂線の足と距離を求めよ。

    ヒント

    法線は (1,1,1)(1,1,1)。足を P−λ(1,1,1)P-\lambda(1,1,1) とおく。

    解答・解説

    λ=(1+2+3)/3=2\lambda=(1+2+3)/3=2 なので H=(−1,0,1)H=(-1,0,1)。距離は 6/3=236/\sqrt3=2\sqrt3。Hの座標和は0、HP→=(2,2,2)\overrightarrow{HP}=(2,2,2) は法線に平行であり両条件を満たします。

  2. A(0,0,0),B(1,0,0),P(3,4,0)A(0,0,0),B(1,0,0),P(3,4,0) とする。Pと直線ABの距離、Pと線分ABの距離をそれぞれ求めよ。

    ヒント

    方向ベクトルを (1,0,0)(1,0,0) とすれば、線分に対応する範囲は 0≤t≤10\le t\le1。

    解答・解説

    直線への足は H(3,0,0)H(3,0,0) で距離4。ただし t0=3t_0=3 は線分の範囲外。線分上の点 (t,0,0)(t,0,0) までの距離の平方は (3−t)2+16(3-t)^2+16 で、範囲内では t=1t=1 が最小です。したがって線分までの距離は PB=20=25PB=\sqrt{20}=2\sqrt5。

  3. A(0,0,0),B(2,4,4)A(0,0,0),B(2,4,4) を直径の両端とする球面の方程式を求め、平面 x+2y+2z=18x+2y+2z=18 との位置関係を判定せよ。

    ヒント

    中心は中点、半径はABの半分。中心から平面までの距離と半径を比較する。

    解答・解説

    中心 C(1,2,2)C(1,2,2)、AB=6AB=6 より半径3。球面は (x−1)2+(y−2)2+(z−2)2=9(x-1)^2+(y-2)^2+(z-2)^2=9。平面への距離は ∣9−18∣/3=3|9-18|/3=3 なので接します。接点は C−9−189(1,2,2)=(2,4,4)=BC-\frac{9-18}{9}(1,2,2)=(2,4,4)=B。Bを平面に代入しても 2+8+8=182+8+8=18 です。

条件の使い分けを確認

問1. 直線 x⃗=a⃗+td⃗\vec x=\vec a+t\vec d にPから下ろした垂線の足について、正しいパラメータはどれか。

問2. 半径5の球の中心から距離3の平面で切ったとき、切り口の円の半径はいくつか。

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