媒介変数表示 — 点の動きから曲線を表す

直線・円・楕円を共通の変数で表し、変数を消去した方程式と実際に描く範囲を区別する。

この単元の目標
  • 媒介変数の意味を説明し、直線・円・楕円を媒介変数表示できる。
  • 媒介変数を消去して直交座標の方程式を導ける。
  • 変数の範囲から軌跡の端点・向き・描く部分を判断できる。
📑 目次
  1. 1.一つの変数で二つの座標を動かす
  2. 2.直線・円・楕円の基本形
  3. 3.消去しても、範囲と向きを忘れない

1.一つの変数で二つの座標を動かす

点の位置を x=f(t), y=g(t)x=f(t),\ y=g(t) の組で表すとき、tt を媒介変数といいます。同じ tt の値を両方の式に代入して一つの点を決めます。tt は時刻と考えると直感的ですが、時間である必要はありません。

y=f(x)y=f(x) では同じ xx に対して yy は一つですが、円の上下には同じ xx をもつ二つの点があります。媒介変数表示なら、上半分と下半分を一続きの動きとして扱えます。式だけでなく、tt をどの範囲で動かすかも表示の一部です。

2.直線・円・楕円の基本形

直線:x=x0+at,y=y0+bt((a,b)≠(0,0), t∈R)\text{直線:}\quad x=x_0+at,\quad y=y_0+bt\quad ((a,b)\ne(0,0),\ t\in\mathbb{R})

これは点 (x0,y0)(x_0,y_0) を通り、方向ベクトル (a,b)(a,b) をもつ直線です。異なる2点 A・B を結ぶ線分は P=A+t(B−A)P=A+t(B-A)、0≤t≤10\le t\le1 と表せます。t=0t=0 が A、t=1t=1 が B なので、制限を外すと線分ではなく直線全体になります。

円:x=h+Rcos⁡t,y=k+Rsin⁡t(R>0, 0≤t<2π)\text{円:}\quad x=h+R\cos t,\quad y=k+R\sin t\quad (R>0,\ 0\le t<2\pi)

中心 (h,k)(h,k)、半径 RR の円です。t=0t=0 で右端 (h+R,k)(h+R,k) にあり、tt が増えると反時計回りに進みます。0≤t<2π0\le t<2\pi で円全体を一度描き、t=2πt=2\pi まで含めると始点に戻ります。

楕円:x=h+acos⁡t,y=k+bsin⁡t(a,b>0, 0≤t<2π)\text{楕円:}\quad x=h+a\cos t,\quad y=k+b\sin t\quad (a,b>0,\ 0\le t<2\pi)

単位円を横に aa 倍、縦に bb 倍して平行移動した楕円です。中心から左右端までの距離は aa、上下端までの距離は bb。a=ba=b のときは円になります。ここで aa が必ず長半径とは限りません。

🔍 楕円の媒介変数を消去する — 必要条件と逆の確認

  1. 中心を引き、各方向の倍率で割る
    x−ha=cos⁡t,y−kb=sin⁡t\frac{x-h}{a}=\cos t,\qquad \frac{y-k}{b}=\sin t

    a、b は正なので割れます。

  2. 三角関数の恒等式を使う
    (x−ha)2+(y−kb)2=cos⁡2t+sin⁡2t=1\left(\frac{x-h}{a}\right)^2+\left(\frac{y-k}{b}\right)^2=\cos^2t+\sin^2t=1

    媒介変数表示から得た点は必ずこの方程式を満たします。

  3. 逆にすべての点が表せるか調べる
    u=x−ha, v=y−kb,u2+v2=1u=\frac{x-h}{a},\ v=\frac{y-k}{b},\quad u^2+v^2=1

    単位円上の点 (u,v) には 0≦t<2π の角が対応するので、全周を動かす場合は楕円全体です。t の範囲を狭めた場合、この逆の確認が必要です。

3.消去しても、範囲と向きを忘れない

例題1:線分の式と進む向き

x=1+2t, y=3−tx=1+2t,\ y=3-t、−1≤t≤2-1\le t\le2 が描く図形を、tt を消去して説明しよう。

解答・解説

t=(x−1)/2t=(x-1)/2 を代入すると y=(7−x)/2y=(7-x)/2、つまり x+2y=7x+2y=7。ただし xx は tt とともに増え、−1≤x≤5-1\le x\le5 です。端点は t=−1t=-1 の (−1,4)(-1,4) と t=2t=2 の (5,1)(5,1)。両端を含む線分を前者から後者へ進み、直線全体は描きません。

例題2:同じ楕円でも半分だけ

x=2+3cos⁡t, y=−1+2sin⁡tx=2+3\cos t,\ y=-1+2\sin t、0≤t≤π0\le t\le\pi が描く図形と進む向きを求めよう。

解答・解説

消去すると (x−2)2/9+(y+1)2/4=1(x-2)^2/9+(y+1)^2/4=1。この範囲で sin⁡t≥0\sin t\ge0 だから y≥−1y\ge-1 となり、中心 (2,−1)(2,-1) の楕円の上半分です。(5,−1)(5,-1) → (2,1)(2,1) → (−1,−1)(-1,-1) と進みます。逆に上半分の各点には 0≤t≤π0\le t\le\pi の角が対応するため、この半楕円をすべて描きます。両端も含みます。

消去した方程式だけで軌跡を断定しない。 例えば x=t2, y=tx=t^2,\ y=t、0≤t≤20\le t\le2 は x=y2x=y^2 を満たしますが、実際には 0≤y≤20\le y\le2 の部分だけです。式の二乗や消去で失われた符号・範囲を、元の表示から戻しましょう。
  1. 基本値や端点の t を代入し、いくつかの点を表にする。
  2. 消去して曲線の候補を出し、座標の符号や範囲を付け加える。
  3. 候補の各点を元の t で表せるか確かめ、向きや重複も確認する。
発展:数学IIIへの接続。 媒介変数表示を微分でき、dx/dt≠0dx/dt\ne0 の点では dy/dx=(dy/dt)/(dx/dt)dy/dx=(dy/dt)/(dx/dt) で接線の傾きを調べられます。dx/dt=0dx/dt=0 の点ではこの商は使えず、別の検討が必要です。ここでの主題は、微分計算ではなく表示・消去・範囲の理解です。
練習問題:表示と軌跡を往復する
  1. A(−2,1)(-2,1)、B(4,4)(4,4) を結ぶ線分を媒介変数表示せよ。

    ヒント

    A に tt 倍したベクトル B−AB-A を加える。線分なので t の範囲も書く。

    解答・解説

    B−A=(6,3)B-A=(6,3) より x=−2+6t, y=1+3tx=-2+6t,\ y=1+3t、0≤t≤10\le t\le1。t=0,1t=0,1 でそれぞれ A、B となり、中間の t は線分内の点を表します。

  2. x=4cos⁡t, y=4sin⁡tx=4\cos t,\ y=4\sin t、π/2≤t≤π\pi/2\le t\le\pi の軌跡と向きを求めよ。

    ヒント

    円の方程式を出したあと、この角の範囲で cos と sin の符号を調べる。

    解答・解説

    x2+y2=16x^2+y^2=16 のうち x≤0, y≥0x\le0,\ y\ge0 の四分円弧です。(0,4)(0,4) から (−4,0)(-4,0) へ反時計回りに進み、両端を含みます。角の範囲が第2象限全体なので、この円弧をすべて描きます。

  3. x=t2, y=t+1x=t^2,\ y=t+1、−1≤t≤2-1\le t\le2 の媒介変数を消去し、正確な軌跡を求めよ。

    ヒント

    y から t を表す。x の範囲だけでは上下どちらの枝か区別できない。

    解答・解説

    t=y−1t=y-1 なので x=(y−1)2x=(y-1)^2、0≤y≤30\le y\le3。(1,0)(1,0) から頂点 (0,1)(0,1) を通って (4,3)(4,3) までの放物線の一部です。逆にこの範囲の y なら t=y−1t=y-1 が指定範囲に入り、各点を表せます。

確認クイズ

問1. x=3cos⁡t, y=2sin⁡tx=3\cos t,\ y=2\sin t、0≤t<2π0\le t<2\pi の軌跡は?

問2. x=cos⁡t, y=sin⁡tx=\cos t,\ y=\sin t、0≤t≤π0\le t\le\pi から消去した x2+y2=1x^2+y^2=1 に加える条件は?

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