極座標と極方程式 — 距離と角で図形を表す

極座標と直交座標を変換し、直線・円の極方程式を導く。角の範囲や負の動径の約束も確認する。

この単元の目標
  • 極座標と直交座標を、象限と角の範囲に注意して相互に変換できる。
  • 直線や円の方程式を極方程式に変換し、図形を読み取れる。
  • 原点・負の動径・角の範囲に関する約束を説明できる。
📑 目次
  1. 1.原点からの距離と向きで位置を決める
  2. 2.直線の極方程式
  3. 3.円の極方程式を導く
  4. 4.負の r を使うときの約束

1.原点からの距離と向きで位置を決める

平面上に極 O と、右向きの半直線である始線を決めます。O から点 P までの距離を rr、始線から OP まで反時計回りに測る角を θ\theta とすると、(r,θ)(r,\theta) が P の極座標です。角は弧度法で表し、まず r≥0r\ge0、0≤θ<2π0\le\theta<2\pi を基本とします。

x=rcos⁡θ,y=rsin⁡θ,r2=x2+y2x=r\cos\theta,\qquad y=r\sin\theta,\qquad r^2=x^2+y^2

極から見た長さ rr を横と縦に分解した式です。直交座標から戻すときは r=x2+y2r=\sqrt{x^2+y^2}。r>0r>0 なら cos⁡θ=x/r\cos\theta=x/r と sin⁡θ=y/r\sin\theta=y/r を同時に満たす角を選びます。tan⁡θ=y/x\tan\theta=y/x だけでは、反対向きの角との区別ができません。

角に 2π2\pi の整数倍を加えても同じ点です。原点は r=0r=0 で、角がどの値でも同じ位置になります。したがって「原点の角」は一意には決まりません。極座標の組と平面上の点は、常に一対一とは限りません。
例題1:座標変換と象限の確認

極座標 (2,2π/3)(2,2\pi/3) を直交座標に直せ。また、直交座標 (1,−3)(1,-\sqrt{3}) を r≥0r\ge0、0≤θ<2π0\le\theta<2\pi の極座標に直せ。

解答・解説

前半は x=2(−1/2)=−1x=2(-1/2)=-1、y=2(3/2)=3y=2(\sqrt{3}/2)=\sqrt{3} より (−1,3)(-1,\sqrt{3})。後半は r=1+3=2r=\sqrt{1+3}=2。cos は 1/21/2、sin は −3/2-\sqrt{3}/2 なので第4象限の θ=5π/3\theta=5\pi/3 を選び、(2,5π/3)(2,5\pi/3) です。π/3\pi/3 では y の符号が逆になります。

2.直線の極方程式

ax+by=c⟺r(acos⁡θ+bsin⁡θ)=c((a,b)≠(0,0))ax+by=c\quad\Longleftrightarrow\quad r(a\cos\theta+b\sin\theta)=c\quad ((a,b)\ne(0,0))

直交座標の式に x=rcos⁡θx=r\cos\theta、y=rsin⁡θy=r\sin\theta を代入するだけです。例えば縦の直線 x=2x=2 は rcos⁡θ=2r\cos\theta=2。r≥0r\ge0 なら cos は正でなければならず、−π/2<θ<π/2-\pi/2<\theta<\pi/2 とすれば直線全体を表せます。この段落では角の代表範囲を基本の範囲から変えています。

r=2/cos⁡θr=2/\cos\theta と割る形では cos⁡θ=0\cos\theta=0 を除きます。基本の 0≤θ<2π0\le\theta<2\pi なら許される角は [0,π/2)[0,\pi/2) と (3π/2,2π)(3\pi/2,2\pi)。また r≥0r\ge0 で θ=α\theta=\alpha だけを固定すると、原点を始点とする半直線です。原点を通る直線全体には反対方向の角も必要です。

3.円の極方程式を導く

🔍 中心 (a,0)、半径 a の円から r=2a cos θ へ(a>0)

  1. 直交座標の方程式を展開
    (x−a)2+y2=a2⟺x2+y2=2ax(x-a)^2+y^2=a^2\quad\Longleftrightarrow\quad x^2+y^2=2ax

    原点を通り、右端が (2a,0) の円です。

  2. 極座標を代入
    r2=2arcos⁡θ⟺r(r−2acos⁡θ)=0r^2=2ar\cos\theta\quad\Longleftrightarrow\quad r(r-2a\cos\theta)=0

    r=0 は原点に対応するので、無条件に r で割らないようにします。

  3. 原点以外を表し、原点も確認
    r=2acos⁡θ,−π2≤θ≤π2r=2a\cos\theta,\qquad -\frac{\pi}{2}\le\theta\le\frac{\pi}{2}

    この範囲では r≧0。両端で r=0 となるため、除きかけた原点も含み、図形として円全体を表せます。ただし原点の極座標表現すべてを残すという意味ではありません。

x2+y2=R2: r=R(R>0),x2+(y−a)2=a2: r=2asin⁡θ(a>0).\begin{aligned}x^2+y^2=R^2&:\ r=R\quad(R>0),\\ x^2+(y-a)^2=a^2&:\ r=2a\sin\theta\quad(a>0).\end{aligned}

原点中心の円 r=Rr=R は 0≤θ<2π0\le\theta<2\pi で一周します。中心 (0,a)(0,a)、半径 aa の円 r=2asin⁡θr=2a\sin\theta は 0≤θ≤π0\le\theta\le\pi で全体を描きます。一定の r の円と、角によって r が変わる円を区別しましょう。

例題2:極方程式から円と範囲を読む

r=4cos⁡θr=4\cos\theta、−π/2≤θ≤π/2-\pi/2\le\theta\le\pi/2 が表す図形を求めよ。r≥0r\ge0 とする。

解答・解説

両辺に r を掛けて r2=4rcos⁡θr^2=4r\cos\theta、したがって x2+y2=4xx^2+y^2=4x。平方完成すると (x−2)2+y2=4(x-2)^2+y^2=4 で、中心 (2,0)(2,0)、半径 2 の円です。θ=−π/2,−π/4,0,π/4,π/2\theta=-\pi/2,-\pi/4,0,\pi/4,\pi/2 の順に、原点 → (2,−2)(2,-2) → (4,0)(4,0) → (2,2)(2,2) → 原点と進みます。円上の原点以外の点は x>0x>0 でこの角の範囲に入り、元の式も満たすので、余分な点はなく全円です。

4.負の r を使うときの約束

拡張として負の rr を認める場合は、角 θ\theta の方向と反対向きに距離 ∣r∣|r| だけ進んだ点と約束します。変換式 x=rcos⁡θ, y=rsin⁡θx=r\cos\theta,\ y=r\sin\theta はそのまま使えます。このとき r は距離そのものではなく、符号付きの動径です。問題ごとに負の r を認めるか確認しましょう。

(r,θ)∼(−r,θ+π)(同じ点を表す)(r,\theta)\sim(-r,\theta+\pi)\qquad\text{(同じ点を表す)}
範囲と約束を混ぜない。 負の r を認めれば (−2,0)(-2,0) と (2,π)(2,\pi) は同じ点です。r=4cos⁡θr=4\cos\theta を 0≤θ<2π0\le\theta<2\pi で動かすと円を二度たどります。一方、r≥0r\ge0 の約束では cos が負の角は許されません。極方程式を描く前に r と角の条件を書きましょう。
練習問題(断りがなければ r≧0)
  1. 直交座標 (−3,−1)(-\sqrt{3},-1) を 0≤θ<2π0\le\theta<2\pi の極座標に直せ。

    ヒント

    r を求め、cos と sin が両方負になる象限で角を選ぶ。

    解答・解説

    r=2r=2、cos⁡θ=−3/2\cos\theta=-\sqrt{3}/2、sin⁡θ=−1/2\sin\theta=-1/2。第3象限なので θ=7π/6\theta=7\pi/6、極座標は (2,7π/6)(2,7\pi/6) です。

  2. 直線 y=3y=3 の極方程式を求め、全体を表す角の範囲を 0≤θ<2π0\le\theta<2\pi 内で答えよ。

    ヒント

    y に r sin θ を代入する。r≧0 のもとで sin θ の符号は?

    解答・解説

    rsin⁡θ=3r\sin\theta=3、すなわち r=3/sin⁡θr=3/\sin\theta。0<θ<π0<\theta<\pi が必要です。このとき x=3cos⁡θ/sin⁡θx=3\cos\theta/\sin\theta は正の大きな値から負の大きな値まで連続して動き、直線全体を表します。端の角は分母が 0 なので含みません。

  3. r=6sin⁡θr=6\sin\theta、0≤θ≤π0\le\theta\le\pi の図形を求めよ。また、負の r を認める約束で極座標 (−2,π/2)(-2,\pi/2) を直交座標に直せ。

    ヒント

    前半は r を掛けて平方完成する。後半は変換式に負の r をそのまま入れる。

    解答・解説

    x2+y2=6yx^2+y^2=6y より x2+(y−3)2=9x^2+(y-3)^2=9。中心 (0,3)(0,3)、半径 3 の円全体で、角の両端は原点に対応します。後半は x=−2cos⁡(π/2)=0x=-2\cos(\pi/2)=0、y=−2sin⁡(π/2)=−2y=-2\sin(\pi/2)=-2 で (0,−2)(0,-2)。正の動径なら極座標 (2,3π/2)(2,3\pi/2) と同じです。

確認クイズ

問1. r≥0r\ge0 で θ=π/4\theta=\pi/4 を固定したときの図形は?

問2. r=2cos⁡θr=2\cos\theta、−π/2≤θ≤π/2-\pi/2\le\theta\le\pi/2 が表す円の中心と半径は?

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